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「最初が病院な。次が幼稚園。その次は続けて小学校が二校」


 上演日が土曜や日曜のそれと違い、一番最後の小学校は水曜になっていた。

 ミチカの学校だ。


「最後だけ、学校の希望として水曜で、この日は試験の最後日で、午後は空いているからそこにしたけど」

 でもなぁ、と双葉が言う。

「この日、以知子は既に頼まれたナレーション撮りが入っていて、できないっていうんだ」


 どうしようかねぇと双葉の目が散々泳いだ挙句、ぴたりと私で止まった。

 視線を逸らすべく、すっと体をずらす。


「そんな逃げなくても」ねぇ、と双葉。

「で、できないでしょ。紙芝居なんて」


 さっと抜くとか、ゆっくりと抜くとか、読むだけじゃ済まないってことは既に知っていたわけだし。


「国府田君が向いていると思う」


 体を思いっきり椅子の上で斜めにしながら、提案する。

 だって、暗記が得意な双葉だ。

 それこそ、そういった分野は得意だろう。


「うーん。まぁ、ぼくでもいいけどさぁ」


 ねぇ、夢と、双葉が伍代君の顔を見た。


「え。ええと、双葉が読むってことは……」


 伍代君の頭の中では、何かがカチャカチャと動いたようだ。


「え、あ、だめだよ! だってそうなったら、手話は誰が……」

 四条君が「伍代がやればいいんじゃないの」と言う。

「え? 手話? どういうこと?」

「うん。紙芝居のときにね、その語りを手話でもしようと思ってね。そうしたら、耳からだけじゃなく目からも楽しめるでしょ」


 手話って。


「できるの? 二人とも」

 双葉と伍代君を見ると、双葉が首を傾げながらも、頷いた。

「ぼくは、ビギナーもビギナーだけど、夢はビギナーに少し毛が生えているかな。実践を積んでいる分、ぼくよりも明らかに上手いんだけどね」

 上手い。

「あ、ごめん。こんなこと聞いていいかあれなんだけど」

 双葉が頷く。

 それに励まされるように聞く。 

「その……手話に、上手いとか下手とかあるの?」

「あぁ。うん、あるよ。手話のスピードとか、滑らかさっていうのかな。あと言葉の選び方とか、物語ならそれを臨場感たっぷりに表現するとかさ。声を出しての朗読でも上手い下手があるだろ。同じだよ」


 そうなんだ。

 双葉の話を聞くと、なるほどと納得できた。

 そして、私たちがこれから向かう先には、手話を使う子もいるんだと知った。


「伍代君、だめなの?」


 私が聞くと、伍代君は黙ってしまった。

 黙りの伍代め。


「……だ、だめっていうか。人前が苦手っていうか」

「人前って、子どもたちだよ」

「子どもだって、人だろ」


 そりゃそうだけど。


「私もさ、大人や私達と同じ年くらいの人に向いお話会をしろって言われたら怯むけど。でもね、子どもって案外大らかだから。だから、手を抜いていいとかそんなんじゃないけど。……やってみたら」


 伍代君はうっと詰まった挙句、「ほんと、三矢さんは、容赦ない」とぼやく。

 そのあと伍代君はゆうに三分は黙った後、「わかった。やる」と言った。


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