表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/67

25

 ミチカを相手に話すことで、物語はより上手い具合に、纏まっていった。

 つくづく物語って、生き物だなぁと思う。

 



「あのね、こわいことあったんだよ。そよちゃん」

 二人でおやつを食べだすと、ようやくミチカが話し出した。

「今日ね、集団下校で、五、六年生と一緒に帰ったんだけど」

 どうやらそこで、五年生と六年生が喧嘩を始めたらしい。

「バカー! とか、すごく大きな声で言って、先生やお母さんたちが止めても、やめないんだよ」


 側にいたミチカはそのとばっちりを受けて、五年の男の子に突き飛ばされたそうだ。

 見ると、ミチカの膝には絆創膏があった。

 かわいそうに。

 上級生にもなると、体格のいい子もいるだろう。

 そんな子たちの喧嘩は、ぴよぴよの一年生のミチカにとって、さぞ迫力あるものだったに違いない。

 それはともかく、なにも一年生を押さなくてもいいだろうに。


「喧嘩なら、みんなで集まったときもあるけどねぇ」

 いとこたちが集まると、楽しいことは勿論多いが、喧嘩だって負けず劣らずある。

 でも、こんな風に関係のない子をまきこむことは、ないように思えた。

「大変だったね」

 私が言うと、ミチカはそのことを思い出したのか、目がうるみ始めた。

「まぁ、ミーさん、飲みなせぇ」

 お酒を注ぐようにミチカのコップにジュースを注ぐと、ミチカはにこりと笑った。





 カサリと紙の音だけが響く。

 ごくんとつばを飲み込む音が、やけに大きく感じられた。

 水曜の放課後。

 紙芝居サークル。

 伍代君に四条君に双葉といった順番で、私の原稿が回し読みされていた。

 原稿は、「三匹のくま(仮)」だ。

 ミチカが帰った後、もう少し練り直しプリントアウトしたものだった。

 

 その間、私は三人の様子を意識しつつも、四条君が作った紙芝居の場面案を見ていた。

 四条君は一枚の紙を分割して、簡単な絵とその絵に付く一言程度の場面説明を書いていた。

 いうなれば、四コマ漫画の十二コマバージョンだ。


 自分が書いたものが、紙芝居になるってことは勿論わかってはいた。

 けれど、こうして四条君が場面を絵に起こしてくれたことで、それが具体的に見え現実味を帯びてきた。


 そして、震えた。


 これって、もしかして、すごいことじゃない?

 そもそも、自分の物語に絵がついたのだって、初めてのことだ。

 それが全編を通し、「絵」になっちゃうんだから。

 ……こりゃ、大変なことだ。


「面白かった」

 伍代君の満足そうな声で、顔を上げる。

「ほんと?」

「うん。女の子が『くま用心』として、くまの着ぐるみを着るとこなんか、絵にしたら面白そうって思った」

 四条はどう、と伍代君がふると「うん。絵にしやすいと思うよ。場面起こしも、今しちゃうね」と、スケッチブックを取り出し、いきなり作業を始めた。

「ってことで、これからの予定だけど」

 双葉がガサガサと、鞄から何かを取り出そうとしている。

「夢が訊いてきた病院のスケジュールと、ぼくが訊いてきた学校のスケジュールと、あとうちの学校の定期試験を擦り合わせて、とりあえずの予定を組んでみた」


 まだ、相手さんには伝えてないと言いながらも、既にパソコンで作成し打ち出された予定表が、机の上に置かれた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
web拍手 by FC2

cont_access.php?citi_cont_id=270017545&s
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ