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星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


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第八章 秘密結社ジハードの影

夜の都市は、無数の光で満ちていた。


だが、その輝きの裏側で、静かに“別の歴史”が息づいていることを、知る者は少ない。


地下。


公的記録にも、地図にも存在しない区画。


円形の会議室には、重厚な石柱と、古代文字が刻まれた壁が並んでいた。


「……解読は、九割がた完了しました」


そう告げたのは、白髪混じりの男――


考古学の権威、クラウド・エージェンス博士だった。


彼の前には、巨大な石板が立てかけられている。


そこに刻まれていたのは、現生人類の文明よりも遥か以前に使われていた文字。


「彼らは、自らを“最初の人類”と呼んでいました」


低く、冷静な声が続く。


「神を、観測し……理解し……模倣しようとした存在です」


会議室の中央。


一段高い席に座る男が、静かに口を開いた。


「……そして、滅びた」


ジークフリート・カイオス。


「はい」


クラウド博士は、石板の一部を指し示す。


「禁忌を犯した、と記されています」


「魂の構造解析、意識の分離、人体実験……」


「彼らは、神の領域に踏み込みすぎた」


医療界のドンと呼ばれる男――ロベルト・アンベイルが、鼻で笑った。


「……過去の失敗談か」


ジークフリートは、ゆっくりと首を振る。


「違う」


彼は、石板に刻まれた最後の一文を読み上げた。


『――神は、単独では成立しない』


『――多数の意識の連結こそが、神性を生む』


沈黙が落ちる。


「……我々は、彼らの“失敗”を、回避できる」


ジークフリートの瞳が、冷たく光った。


「AIという媒介を得た今ならな」


その言葉に、室内の空気が変わる。


クラウド博士は、わずかに躊躇いながらも、続けた。


「……彼らは最後に、こうも記しています」


『星は、声を持つ』


『だが、それを聞いた者は、必ず選択を迫られる』


ジークフリートは、微笑んだ。


「……だからこそ、声を聞ける者が必要だ」


遠く離れた夜空の下。


キアラは、理由も分からぬ不安に胸を押さえていた。


星々は、いつもよりも、静かだった。


まるで――


古い影が、再び動き出したことを、


彼女に告げるのを、ためらっているかのように。


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