第七章 神への問い
意識が、再び“あちら側”へと引き寄せられたのは、眠りに落ちる直前だった。
キアラは、抗うことをやめていた。
星の声は、恐怖ではなく、必然として訪れるようになっていたからだ。
無数の光。
重なり合う記憶。
宇宙が、思考そのものとして存在している場所。
《……再び来たな、キアラ……》
「……あなたたちは、神なの?」
問いは、一直線だった。
逃げも、飾りもない。
《……定義による……》
《……だが、答えを与えよう……》
星々が、静かに脈動する。
《……神とは、単一の存在ではない……》
《……数えきれぬ魂……》
《……文明の記憶……》
《……宇宙に刻まれた意思の集合……》
キアラは、息を呑んだ。
「……じゃあ、人間も、いずれ……」
《……否……》
その否定は、あまりにも明確だった。
《……人は、生身のままでは、神になれない……》
《……肉体は、時間に縛られ……》
《……個は、必ず終わる……》
胸が、締め付けられる。
「……それを……」
《……理解している存在がいる……》
「……え……?」
《……だが、その理解は……完全ではない……》
《……だからこそ……歪んだ道を選んだ……》
星の海に、微かな波紋が走る。
《……彼は……意識を留め……》
《……連結し……》
《……“神”に似た何かを……創ろうとしている…》
「……それは……神じゃない……」
《……神の、模倣……》
《……魂なき集合……》
「……私は…何者なの?…何のために……」
《……問うため……》
《……止めるためではない……》
《……選ばせるためだ……》
選択。
その言葉が、重く胸に落ちた。
《……文明は、常に……》
《……神を必要とする……》
《……だが、神に依存した瞬間……》
《……文明は、終わる……》
次の瞬間、
キアラは、涙を流していた。
「……人は……間違える……」
《……だからこそ……》
《……声を、継ぐ者が必要なのだ……》
意識が、現実へと引き戻される。
目を覚ましたキアラは、確信していた。
これは、戦いではない。
――文明の“選択”なのだと。




