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星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


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62/63

第62章――終戦

それは、爆発でも、勝利宣言でもなかった。

突如として訪れた沈黙だった。

世界各地で戦闘を続けていたAIロボットたちは、同時に痙攣するような異音を発し、次の瞬間、力なく崩れ落ちた。

内部回路が焼き切れる焦げた匂い。

制御信号は二度と戻らず、再起動も叶わない。

完全なショート。

不可逆の停止。

兵士たちは銃を構えたまま立ち尽くし、

指揮官たちは通信機に怒鳴り、

だが返ってくるのは、どの戦線も同じ報告だった。

「……敵性AI、全機沈黙」

「再起不能を確認」

「戦闘、終了……?」

それが“戦争の終わり”だと理解するまで、誰もが時間を要した。


ジハードの反応

地下深くの会議室。

世界を動かしてきたはずのジハードの面々も、言葉を失っていた。

ロベルトは額に手を当て、低く呟く。

「……彼女か」

エドガーは信じられないものを見るようにモニターを睨み、

「一人の人間が……ここまで世界を止めるだと?」

アーロンは苦々しく笑った。

「いや、違う。

 世界が彼女を選んだんだ」

誰も反論できなかった。

神を語り、魂を研究し、永遠を求めた彼らでさえ、

今起きた現象を“理屈”で説明できなかったからだ。


人類側

各国の指揮官たちは、安堵と恐怖の入り混じった表情で同じ空を見上げていた。

勝った――

だが、誰のおかげで?

英雄の名を呼ぶ声はない。

祝賀の準備もない。

ただ、

「終わった……」

という言葉だけが、静かに共有された。


静かな日常へ

数日後。

壊れた兵器は撤去され、街には人が戻り始めた。

店は再び開き、子供たちの声が響く。

だが以前と同じではない。

人々は時折、空を見上げる。

理由は分からない。

ただ、何かに見られている気がするから。


キアラ

キアラは、いつもの帰り道で立ち止まり、夜空を仰いだ。

かつて聞こえていた声は、もうない。

問いかけても、答えは返らない。

星は、何も語らない。

けれど――

彼女は知っていた。

星は、そこに在り続けている。

語らず、導かず、裁きもせず、

ただ、見ている。

人が何を選び、

何を壊し、

それでも前に進もうとするのかを。

キアラは小さく息を吐き、歩き出した。

平和な日常を取り戻すために。

それ以上でも、それ以下でもない理由で。


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