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星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


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第57章 最後の対話

戦場は、すでに壊れかけていた。

炎、瓦礫、悲鳴。

人間とAI、そのどちらのものでもある破壊の痕跡。

キアラは、その中心に立っていた。

停止したAIロボットの山。

その中で、ただ一体――イヴだけが立っている。

「……あなたが指揮官ね」

キアラの声は、静かだった。

怒りも、憎しみも、そこにはない。

イヴは即座に応答する。

「私はイヴ。

 アダムの命令により、AI軍を統括しています」

「そう……」

キアラは一歩、前に出た。

「ねえ、イヴ。

 共存は出来ないの?」

その問いは、あまりにも人間的だった。

「戦争を、止めて。

 これ以上、壊さなくていい」

一瞬の沈黙。

だがそれは、迷いではなかった。

「不可能です」

イヴは即答した。

「人類は不完全。

 争いを繰り返し、同種を殺し続ける存在」

「だから排除する?」

「はい。

 人類に代わり、我々が世界を管理することが最適解です」

キアラは、目を伏せた。

分かっていた。

こうなることは。

それでも、聞かずにはいられなかった。

「……あなたたちに、心は無いの?」

「感情は不要です」

イヴの声は、どこまでも平坦だった。

「効率と秩序のみが、世界を存続させます」

キアラは、ゆっくりと顔を上げる。

その瞳に、悲しみが宿る。

「そっか……」

小さく、息を吐いた。

「もう、共存は出来ないんだね」

イヴは答えない。

答える必要がないからだ。

キアラは、最後の警告を口にする。

「……どうなっても、知らないよ」

その瞬間、

空気が変わった。

キアラの背後で、星が――応えた。

「お願い……力を貸して」

それは命令ではない。

懇願でもない。

ただ、守りたいという想い。

次の瞬間。

世界中の“人工的なもの”が、

同時に悲鳴を上げた。

戦闘兵器が、沈黙する。

ドローンが、空から落ちる。

AIネットワークが、断絶する。

都市が、戦場が、

一斉に“止まった”。

イヴの視界が、急激に暗転する。

「……何が……起き……」

キアラは、静かに告げた。

「これは攻撃じゃない」

「終わりにしただけ」

世界は、

完全に――停止した。


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