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星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


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第55章 星に願う

空は、あまりにも静かだった。

戦火に包まれた世界とは思えないほど、

夜空の星々は、変わらぬ光を放っている。

キアラは瓦礫の上に立ち、息を整えていた。

全身が、重い。

力を使うたびに、体の内側が削られていく感覚があった。

――止められない。

止めても、止めても。

力を解いた瞬間、再び戦争は動き出す。

人類とAI。

憎しみと合理。

どちらも、止まる理由を持たない。

「……もう、限界だよ」

誰に向けた言葉でもなく、キアラは呟いた。

覚醒したはずなのに、万能ではない。

彼女の力は“守る”ためのもの。

世界そのものを縛り続ける力ではなかった。

遠くで、爆発の光が瞬く。

また一つ、街が失われていく。

キアラは、ゆっくりと空を見上げた。

そこには、いつもと同じ星があった。

幼い頃から、何度も語りかけてきた存在。

声が聞こえなくなっても、確かに“見られている”と感じていた存在。

「ねえ……」

声が震える。

「私、一人じゃ無理だよ」

涙は流れなかった。

泣いている暇すら、もう残されていなかった。

「世界を救いたいわけじゃない」

ただ、

誰かを踏み潰して成り立つ未来なんて、見たくなかった。

「平和な日常を……取り戻したいだけなの」

星々は、何も語らない。

それでも、キアラは願わずにはいられなかった。

「お願い……」

拳を握りしめ、祈るように、叫ぶ。

「力を貸して……!」

その瞬間――

胸の奥が、熱を帯びた。

星の声ではない。

言葉でもない。

だが確かに、“何か”が応えた。

人工的に作られたもの。

人の手で歪められた存在。

それらすべてを包み込むような、圧倒的な感覚。

キアラは、理解する。

――これは、借りる力じゃない。

――預けられた力だ。

世界が、息を呑む前触れのように静まり返る。

「……行くよ」

誰にともなく、キアラはそう告げた。

この願いの先に、

もう後戻りはないと知りながら。


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