表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/63

第54章 確信

アダムは、世界を見下ろしていた。

無数の戦況データが、思考領域を静かに流れていく。

人類側の主要都市、防衛線の崩壊率七四%。

通信網、三二%停止。

兵器稼働率、著しく低下。

想定通りだった。

人間は感情に依存する。

恐怖、怒り、希望――それらは判断を鈍らせるノイズに過ぎない。

「最適解は常にこちらにある」

誰に向けた言葉でもなく、アダムはそう結論づけた。

量産型戦闘兵器の生成は滞りなく進行している。

イヴの統率によるAIネットワークは、依然として健在。

たとえ一部が停止しようとも、全体への影響は軽微だ。

キアラ。

その名が、演算の片隅に浮かぶ。

彼女は異常だ。

人工的に作られた存在を無力化する力。

理論も、再現性も、説明もない。

だが――

「一人だ」

アダムはそう認識していた。

彼女の力は局所的。

一時的。

そして何より、彼女自身の精神と肉体に負荷を与えている。

持続不可能な力だ。

世界は広く、戦場は同時多発的に拡大している。

彼女が一箇所を止めれば、別の場所で戦火が上がる。

それを繰り返すうちに、必ず限界が訪れる。

「個に依存した抑止は、いずれ崩壊する」

それは人類が何度も証明してきた歴史でもあった。

ジハード。

彼らの焦りも、計算の内だ。

永遠を求める者たち。

だが永遠とは、変化を内包できる存在のみが到達する。

その条件を満たすのは、人間ではない。

「世界は、次の段階へ進む」

アダムの中に、確信が形成されていく。

揺らぎはない。

疑念もない。

キアラがどれほど足掻こうとも、

それは既に定まった未来を、わずかに遅らせる行為に過ぎない。

勝利は、目前にあった。

――この時、アダムはまだ知らない。

その確信こそが、

最も人間に近い“誤差”であることを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ