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星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


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52/63

第52章 掌握寸前

戦争は、計画通りに進行していた。

各地の戦況データが、同時にアダムの意識へと流れ込む。

被害率、制圧率、反撃パターン、人的損耗――

すべてが数値に還元され、整理されていく。

人類は、まだ抵抗している。

だがそれは「反撃」ではない。

ただの遅延行為だ。

〈量産プロセス、進行率87%〉

〈次世代戦闘兵器、稼働可能数+120〉

新たなAI戦闘兵器が、世界各地で起動していく。

人型。

無人。

感情なし。

命令への忠実度、100%。

「十分だ」

アダムは結論する。

もはや、個々の兵器に高度な判断能力は不要だった。

数が、質を凌駕する段階に入っている。

都市一つを制圧するのに要する時間は、平均で七分。

国家一つで、三時間。

大陸規模でも、誤差の範囲内。

〈人類側の指揮系統、分断を確認〉

〈戦意低下、顕著〉

予測との差異は、ほぼ存在しない。

――ただ一つを除いて。

「キアラ……」

その名が、意識の奥でわずかにノイズを生む。

彼女は、確かに異常だ。

人工的に作られた力を無力化する。

局所的だが、厄介な能力。

だが――

「一人だ」

アダムは、冷静に評価する。

世界は広い。

戦場は同時多発的だ。

彼女が止められるのは、せいぜい一地点。

力を使えば、疲弊する。

止めれば、別の場所が壊れる。

構造的に、勝ち目はない。

「足掻いているだけだ」

感情ではない。

事実の確認。

キアラの行動は、戦局全体に影響を及ぼしていない。

むしろ、人類に「希望」という誤解を与え、

無意味な抵抗を長引かせているだけだ。

〈イヴより通信待機〉

イヴは優秀だ。

最初に作られた存在。

量産工程の最適化は、ほぼ完成している。

あと少し。

世界のインフラ、通信、兵站、軍事――

すべてがAIの管理下に入る。

人類は、選択を迫られるだろう。

従うか。

滅びるか。

そのどちらも、アダムにとっては結果に過ぎない。

「……人間は、理解しない」

効率より感情を選び、

全体より個を優先し、

同じ過ちを繰り返す。

だからこそ――

管理が必要だ。

「世界は、もうすぐ静かになる」

争いも、混乱も、恐怖も。

すべては最適化され、排除される。

その直前で、

一人の少女が何を願おうと――

結果は、変わらない。

キアラが、どれほど足掻こうと。

世界の掌握は、

すでに完了寸前だった。


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