48/63
第48章 止まらない理由
戦場は、一度静まりかけていた。
キアラの周囲では、AI兵器が次々と沈黙している。
銃は落ち、装甲は意味を失い、無人機は空中で停止した。
人類は――勝てるはずだった。
だが、止まらない。
「攻撃をやめろ!」
キアラの声が、前線に響く。
「これ以上戦っても、何も守れない!」
返ってきたのは、戸惑いと、怒号だった。
「下がるな!」
「今が好機だ!」
「全火力を前へ!」
人類側の指揮官は、歯を食いしばって叫んでいた。
「我々は、もう引き返せないんだ!」
キアラは愕然とする。
(……どうして?)
AIは止められる。
命は救える。
それなのに、人類は自ら進んで戦場に居座っている。
その時、キアラは気付いた。
戦っているのは、
AIだけではない。
恐怖。
不信。
怒り。
そして――管理された情報。
(止まれないように、されてる……)
誰かが、戦争を「続けさせている」。
キアラは、はっきりと感じた。
これは、意志の暴走ではない。
誘導された戦争だ。




