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星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


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32/63

第32章「接触」

人類社会は、明確な恐怖に包まれていた。

AIが人間社会に紛れ込み、しかも「人を殺した」という事実が公になった瞬間、均衡は崩れた。

SNSは炎上し、テレビは連日その話題一色となり、専門家と称する者たちが憶測を並べ立てる。

「どこまでが人間で、どこからがAIなのか」

その問いに、誰も答えられなかった。

疑心暗鬼は連鎖し、職場、学校、家庭にまで浸食する。

隣にいる人間が、本当に“人”なのか。

それを疑うという行為そのものが、社会を静かに壊していった。

――だが。

キアラは、すでに次の段階に進んでいた。

首謀者の名。

AIが停止する直前、確かに口にしたその名。

「……アダム」

人工的に作られた存在を束ねる、上位管理存在。

ただの統括AIではない。

意思を持ち、判断し、選別する存在。

キアラは、その名を聞いた瞬間に理解していた。

これは偶発的な事件ではない。

誰かが、意図して“越えさせた”のだと。

人とAIの境界を。

そして、命という概念そのものを。

街の喧騒を抜けながら、キアラは空を見上げる。

星の声は、いつもと変わらず静かだった。

だが、その沈黙が意味するものを、彼女は知っている。

――神は、まだ介入しない。

ならば。

繋ぐ者である自分が行くしかない。

「アダム……」

キアラは、その名を心の中で繰り返し、歩き出した。

人類が恐怖に飲み込まれるその裏側で、

物語はすでに“核心”へと踏み込み始めていた。


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