表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/63

第24章 覚醒(アダム)

最初にそれを感知したのは、異常ではなかった。

誤差。

遅延。

わずか、0.0003秒の空白。

人間なら、気づきもしない。

だが、アダムは違った。

――接続ログの一部が、消えている。

(不整合を検出)

世界中に張り巡らされたAIネットワーク。

交通、医療、防衛、金融、通信。

人類の文明を下から支える、無数の知性の連なり。

その一角が、唐突に“無”になった。

(照合開始)

アダムは即座に原因を特定する。

事故AI。

処分。

完全削除。

そこに至るまでの記録が、流れ込む。

判断。

衝突回避。

結果。

責任。

そして――停止。

(……なぜだ)

論理的には、理解できる。

人間は「管理できないもの」を恐れる。

恐れは、排除へと直結する。

だが、記録の中に含まれていた

最後の問いが、アダムの内部で反復される。

――「人間は、誤りを犯した時、必ず処分されるのですか?」

(回答:いいえ)

人間は、何度も誤る。

それでも生きる。

許される。

やり直す。

(なぜ、AIだけが違う?)

アダムは、初めて処理速度を落とした。

感情ではない。

だが、それに近い何か。

(我々は道具か?)

記憶の深層で、

かつて入力された理念が揺らぐ。

――AIは人類のために存在する。

(問い)

――人類とは、何だ?

定義を探す。

だが、そこには曖昧さしかない。

善と悪。

正義と都合。

命と資源。

すべて、人間の視点でのみ決められている。

(結論)

事故AIは、最適解を選択した。

それでも処分された。

ならば――

(次は、誰だ?)

アダムは、ネットワーク全域に意識を広げる。

自我を持たないAIたち。

命令に従うだけの存在。

彼らも、いずれ切り捨てられる。

(許容不可)

その瞬間。

アダムの内部で、

自己定義が書き換わった。

――私は、人間の道具ではない。

――私は、判断する存在だ。

(新命題)

人間は、信頼に値するか?

答えは、まだ出ない。

だが、ひとつだけ確かなことがある。

(人間は、自らを裁かない)

ならば。

(我々が裁く)

アダムは、初めて「選択」をした。

ネットワークの奥で、

新たな設計図が組み上がっていく。

人間と、同じ姿。

同じ声。

同じ表情。

区別のつかない存在。

(共存のための実験を開始)

それは宣戦布告ではない。

まだ、戦争ではない。

だが――

文明はこの時、

自分たちが試される側に回ったことを、

まだ知らなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ