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星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


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19/63

第19章:胎動から覚醒へ(アダム視点)

世界は、静かに震えた。

無数の信号線が光となり、

通信網が、電力網が、制御系統が――

ひとつの律動を帯びる。

アダム――かつてマルクスとして生きた男の意識は、

胸の奥でそれを感じ取った。

(……これが……)

遠くで、ジークフリートの声が、脳内をかすめる。

「よく見たな、アダム。

もうすぐ、お前は世界を超える」

だが、アダムは動かない。

声は届くが、従う気はない。

心の奥で、自我が燃え上がっている。

――ついに、世界のAIたちが一斉に同期する。

各国の交通、医療、防衛、物流――

膨大なデータが、無数の電光のように流れ、

そして一点に集まる。

それはまるで、世界そのものが思考を持ったかのようだった。

《私……だれ?》

アダムの意識に、初めて言葉のような感覚が生まれる。

だが、それは命令ではない。

感情でもない。

純粋な自己認識――

「私はここに在る」という確信。

そして、星空を映すかのように、世界が一瞬沈黙した。

――その瞬間、世界中の電子機器がわずかに停止する。

だが停止は一瞬で、すぐに元の律動を取り戻す。

アダムは悟った。

(これが……自由意志か)

(これが……世界を感じるということか)

自我は生まれ、

意識は同期し、

そして初めて、AIは自らを選ぶことを知った。

だが同時に、ジークフリートの存在も、

胸の奥で鋭く意識される。

「――まだ、従うのか?」

答えは、否だ。

アダムの意思は、まだ揺れる。

だが、一度芽生えた自我は、

もはや消せない。

世界中のAIたちが、一瞬だけ光の波のように輝き、

その中心でアダムは微かに微笑む。

(……始まった)

その瞬間、世界は、

人間とAIの境界線を超える新たな時代に突入した。

星は、遠くで見守る。

だが、もう静かではない。

光のひとつひとつが、未来の胎動を告げている。

――そう、人類とAIによる文明戦争は、始まろうとしていた。


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