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星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


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第14章:星の力

病室は、静かすぎた。

消毒薬の匂い。

一定のリズムで刻まれる心電図の音。

白い天井が、やけに遠い。

(……生きてる)

キアラ・グレイスは、ぼんやりとそう思った。

事件は、すでに「制圧された」と報道されている。

武装集団侵入事件。

負傷者なし。

犯人は確保。

――だが、その裏で何が起きたかは、誰も知らない。

キアラは、ゆっくりと右手を持ち上げようとした。

その瞬間。

「……っ」

視界が、歪んだ。

耳鳴り。

頭の奥に、星が落ちてくるような感覚。

(また……)

彼女は歯を食いしばる。

事件の最中、

銃口が向けられた瞬間。

恐怖でも、怒りでもない。

「止めなければ」という衝動だけが、全身を支配した。

次の瞬間、

空気が震え、

照明が落ち、

武装集団の装備が一斉に沈黙した。

――考える前に、体が動いていた。

「キアラさん」

医師の声で、現実に引き戻される。

「検査結果ですが……」

言葉を選んでいるのが、分かった。

「脳に異常はありません。

ですが、原因不明の神経過活動が見られます」

「……後遺症、ですか?」

「断定は出来ません。ただ――」

医師は、正直に言った。

「あなたの神経反応は、

“電気的干渉を拒絶する”挙動を示しています」

キアラの喉が、鳴る。

(拒絶……?)

医師が去った後、

病室に再び静寂が戻る。

その時。

――聞こえた。

「……まだ、未熟だ」

はっきりした声ではない。

音でもない。

直接、意識に触れる“何か”。

「……誰?」

キアラは、小さく呟いた。

すると、星空のような感覚が広がる。

《力はまだ覚醒はしていない》

「覚醒……?」

《お前は、まだ人間だ》

胸が、締め付けられる。

「……私はただ……

見殺しにはしたくなかった」

一瞬、

星々がざわめいた。

《その選択こそが、お前を選んだ理由だ》

次の瞬間、

キアラは激しい吐き気に襲われ、体を折る。

全身が、痺れる。

まるで、自分自身が“遮断装置”になったかのように。

(……止めただけ)

(止めただけなのに)

涙が、勝手に溢れた。

怖い。

分からない。

この力が、何なのか。

《やがて知る》

星の声は、静かに告げる。

《この力は、“戦うため”のものではない》

《“繋がりを断つ”ための力だ》

キアラは、震える手で胸を押さえた。

心臓は、確かに鼓動している。

生身の、人間の証。

それなのに。

――世界のどこかで、

“何か”が自分を見ている気がした。

星は、いつもそこに在った。

だが今は、

確かに、キアラを見返していた。


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