第04章 恵梨子 一見さん、いらっしゃい!
Blind TouchのLIVE当日。
メンバーの三人が何やら会談中。
汐音祇織から吹丘亜紀子の話題は出るのだろうか?
第4章 恵梨子 一見さん、いらっしゃい!
今日のライヴは、新たな聴衆の心を掴むことを中心に考えられたもので、
ベースの祇織も、ドラムスの幽香さんも、
新規のお客さんにチケットを配布済みだと言う。
2人と学校の違う私も、1枚でも多くBlind Touchのライヴに
足を運んでもらえるように、頭をさげ、
自分たちのバンドの良さを売り込んだ。
「祇織、祇織、どれくらい集まってる?」
心配性の私はステージの袖で俯いている。
「25~6人って所じゃない? 恵梨子は何枚さばいたの?」
「新しい人は4人だったかな、全部で10枚は売ったと思うけど」
新規獲得はそれなりに難易度の高い試みだった。
「幽香さん、今日新曲はどうします?
常連のお客さんも足を運んでくれているみたいだし」
「祇織、それはリーダーの恵梨子が決めることだと思うよ。
アタシはBlind Touchの最年長だけど、
曲を提供しているのは恵梨子なんだから」
話し合いではそう決まったけど、
リーダーが私だという事実は余り認めたくない。
まあ、それでバンドが回るのなら、辞退する事柄ではないのだが。
「幽香さん、今日、新曲演奏しますよね?」
「そうね、でも若干ハモりに自信が……。まあ全力を出してみるわ」
「幽香さんならできます! ね? 祇織」
「う、うん。幽香さん、本番前に要所要所を確認しておきます?」
「助かるわ、音程が取れない場合は、即断でハモりなしの方向で。
ごめん、話は変わるけど、祇織、例の塾友達は招待してくれたの?」
「ああ、亜紀子のことでしょ?
私は亜紀って呼んでいるんだけど、彼女は私たちの音楽性とは
ちょっと路線が違う、例えばビジュアルに走ったりする傾向が
少し見え隠れするの。
まあ良いも悪いも本質を掴むまで何度も聴き込むようなタイプだから、
きっと向き合ってくれるようになるよ」
祇織が何度も名前を挙げる亜紀子さん。
この人と、私の縁がとても深いということに、
当然のことながら、この時には気付くよしもなかった。
「うん、大体お客さん入ったんじゃない?
40人はいるわね。それじゃ行くよ」
いよいよLIVE開演-。
点と点が線になる、運命の日が動き出す。




