第22章 恵梨子 薄情なあなたと白状な私
第22章 恵梨子 薄情なあなたと白杖な私
薄情なあなたに訊きます。
盲目の私が本屋に居たら、あなたは何を思うでしょう。
ページをめくって文字を追うことはおろか、
表紙を眺めることすらできないのでは、ですか?
確かにそうです、確かにそう。
でも、あなたは少し誤解しているのでは?
見えないこと=全てにおいて無能、
ではないんです。
昼飯時に訪ねたら、空いてる店内を店員さんが
案内してくれますし、付き添いが居れば、
いろいろな情報を得ることが出来ます。
結局、他人任せじゃないか、そうあなたは言いたげですね。
反論します、それが何か悪いのですか?
でも、白い杖を頼りにこつこつコツコツ歩く私は、
見えるあなたたちが見えない物を、
捉えることが出来るんですよ。
私たちは白杖のナビゲードで、
地面の状態を知り得ることができるのですが、
曲がり角からの空気の流れ、
例えば乗用車が左折することを
いち早く肌で感じることが出来ます。
トルコのエフレス・アーマガンが明らかにした、
「空間認知力」という概念です。
ジュール・ファイガーの言葉。
『芸術家は空を赤く塗ることが出来る、
なぜなら彼らは、空は青いと知っているからだ』
私は、正確には、「赤い空」も「青い空」も見たことがありません。でも、私の心のキャンバスには、
無限の色の空が広がっています。
全てにおいて無能、先程そう表現しましたが、
消極的になればなるほど
当てはまってしまうかも知れません。
少し饒舌になり過ぎましたね。私の性格上、
そこどけ、そこどけ、障害者様が通る
に、なりかねませんので、
薄情なあなたへの警告を終えたいと思います。




