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第21章 亜紀子 渦教一直線

第21章 亜紀子 渦教一直線

 以前、もしも、エッちゃんがギター1本担いで

上京するって言ったらって仮定をしたけど、

当の本人はそんな気は全くなく、

盲学校を卒業した後も、

徳島で精力的に音楽活動を展開するみたいだ。

 しかし、Blind Touchには

正式なドラムスが居ない。

エッちゃんは

「アッコちゃんと二人でも、

ウチらの音を伝えることはできるでぇ」

 と、楽天的に解釈していたけど、

エッちゃんは首尾一貫して

THREE PIECE論者だったはずだ。

 私が渦教(渦潮教育大学)に合格して、

軽音楽サークルに入会すれば、

必然的にドラム候補を探すことができる。

やはりここは現役合格。


重低音を身体の芯に響かせる日々は、

新しい学び舎で桜を拝むまで

控え目にするのが得策だと思う。

 学力に余裕があった訳ではないが、

受験勉強の傍ら、独学で少しずつ点字の勉強も始めた。

成就すれば、エッちゃんとのコミュニケーションが

もっと円滑に図れることだろう。


 後天的失明者は、なかなか点字を

習得することができないと聞く。

導入程度に学んでみた感じ、手に負えない程

難しいとは思わないが、

後天盲者の指先の感覚だけで

一つ一つ身体に叩き込む作業は、

なかなか骨が折れそうだ。


 私は過去の記憶から駅、

もっと言えば電車を嫌悪している。


しかし、思い出したことがあって、

先日最寄りの駅に立ち寄ってみた。

うん、やはりあったか。

そこには盲目の方の為の点字案内が

手すりやトイレの中など、至る所に散在していた。

それを携帯片手に撮影して行って、

自分で翻訳を予想しながら、点字時点で正しい訳を確認。

我ながら良く出来た発案で、

また少しエッちゃんとの距離が近づけそうな気がする。

 カカンカンカンカンカン―

 あ、この音、踏切……、嫌、そんなに鳴らないで……。

思わずその場に座り込む。

良く出来たとか浮かれてたけど、

隠していたトラウマが容赦なく顔を覗かせた。

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