第17章 汲子 夏休みを制する者が受験を制す
自宅の模擬試験では「C」判定以上がとれないジレンマにあったが
高校最後の夏休みは受験モードで苦手教科克服の汲子。
第17章 汲子 夏休みを制する者が受験を制す
受験生に盆も正月もない、とよく言われるが、
私の予定も夏休みの3分の2は学校の補習と、
市立図書館の二カ所に集約された。
自宅模試の結果は、相変わらずC判定だが、
英単語や数学の解法は、勉強を本格的に始める以前と比べると、
格段に精度を増す手応えを感じる。
思えば、去年の今頃は「じゃんけん」もろくにできないくらい
指先に力が入らなくて困っていた。
それが、今でも長時間筆記用具を握り締めていても
苦にならない程に回復してきている。
もしかしたら、鉛筆をスティックに持ち替えて
ドラムの前に座ったら『神の指先』の片鱗くらいは見られるかも知れない。
「もしかしたら」で留めておくのは、
実際に叩いてみて思ったよりも全然だった時に、
がっかりした気分を後々引き摺りたくないという配慮。
『神の指先』時代の栄光は、
今や他人事のような並外れた偉業である。
夏休み残りの3分の1は、外国の詩人の本を気分転換に読み漁った。
英語の配列が美しい詩や、翻訳が絶妙な詩、
どちらのパターンもありなのだが、
自分の内面表現の勉強にも、英文読解の勉強にもなってくれた。
渦教(渦潮教育大学)でたくさん講義を受けて、
子供たちが勉強を好きになるような授業をしたい。
そして、リハビリをもっと続けて、
スポットライトの熱を浴びながら、スティックを振り下ろしたい。
どこかの高校生は、
この夏休みにライヴデビューしたかも知れないし、
またどこかの高校生は、
ラスト・ギグを体験したかも知れない。
どちらにせよ、太陽が支えてくれた青春の一コマだ。
明日は何を勉強しよう。私の8月は充実に満ちた一カ月だった。
誰かにってはデビューのライヴで
誰かにとってはラストを飾るギグになる。
そんな状況をしみじみと思いながら。




