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第11章 汲子 演奏家と教育者の狭間

 以前は、テーピングしないとドラムスのスティックを構えることはできなかった。

今はシャープペンシルを握り締めるくらいまでの回復力。

 希望を持って受験勉強に挑みたい。

 得意科目は日本史だが、目指す最高の教師になるには

オールマイティになるべきだろう。

 そして今日もシャープペンシルを握り締める。

第11章 汲子 演奏家と教育者の狭間

 カリカリ、カリカリカリ。

 フィギュア・スケートの様に、

ノートの上を滑りながら踊るシャープペンシル。


 完治には程遠いが、私の両翼は、

筆記用具を巧みに操るまでに回復してきた。

 浅指屈筋腱の傷を負った当初は、

教師という道を諦めることしか考えられなかったが、

今は黒板にチョークを走らせる自分の姿が浮かぶ。

 模擬試験での渦潮教育大学の合格判定はC。

来年のセンター試験までにはA、いやそれは高望みか、

せめてB判定に標準を合わせたい。


 晴れて合格したら、軽音サークルに入会? 

私は果たしてドラムス・プレーヤーとして機能するだろうか? 

ある程度のレベルまで叩けたとしても、

心臓のビート(鼓動)は最高水準のリズム感覚を知り尽くしている。

おそらく、脳内モルヒネはおろか、

アドレナリンすら分泌されることはないかも知れない。


 この両翼の傷が、世間に認知される必要なんてないが、

事情を知らない人が見たら、

ごくごく普通で平凡な演奏家に映ることだろう。

どうあがいても『神の指先』と称賛された過去には帰れない。


 駄目だ駄目だ、ドラムはもはや人生のメインじゃない、

今は受験勉強に全力を注がないと。


 得意科目は日本史、これは以前にも触れた事項。

では苦手科目は? それをここで発表することにより、

得点力が上がる訳ではないので、あえてスルーするが、

それが英語であれ、数学であれ、残された時間の中で

得意科目に昇格させるまでだ。


 そもそも勉強自体は嫌いじゃない、

ましてや人(未来の教え子)に学ぶことの大切さ、

面白さを伝えてゆく職業を目指している身だ。

自分で楽しめない事柄を、

他人に伝授することなんてどうしてできよう。


 教職に就けたら、当然のように社会科を専攻する。

第一志望は中学課程なので、

得意の幕末時代は教える機会が少ないかと思うが、

授業の準備をする流れの中で、好きになる時代や人物、

出来事なんかもきっと出てくると思う。

数字で脳を活性化させるには

歴史的年号にもアプローチしてみる。

英語と社会の接点か……。

現代史、近代史には関与があるかも?

General HeadQuartersとか。

(GHQの正式名称)

迷う暇があるなら、脳細胞(特にシナプス)を刺激せよ。

私は進路の狭間で一皮剥けようとしていた。

 一次指名は社会科志望。叶わなくてもオールマイティスタンスで。

好きなことは教え伝えることで、得意なことは日本史の幕末時代。

私は史上最高の中学教師を目指す!

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