表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
総転生世界 〜Everyone Reincarnated~  作者: ful-fil
ゲスト ここは冒険の島

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/96

けれどもお前は釣れなくて

 火を吹く浜マンドレイクカレーで嫌と言うほど体が温まった俺たちは浜辺をそぞろ歩いていた。

 魔物が出るので迂闊に水には入れないが、それでも海辺は癒される。

 水着の美女は一人もいないけど。

 いるのは……。


「カニがおった!」


 小さいカニを見つけて追いかけている、可愛い顔して横暴な先輩エバちゃんと。


「僕は種族的に汗腺がなくてね。暑いと体温が上がりやすいんだ。そんな時には水に入るのが一番なんだよね。寒い時にも入るけどね」


 意味不明なトークを聞かせてくる、つるつる美肌の魚人、ハリーさん。

 この人、毛穴もなさそう。

 俺は遠くではしゃいでいる男女のグループを羨ましく眺める。

 彼女が欲しいとかの贅沢は言わない、普通の友達が欲しい…。


 ……ん?

 なんか様子がおかしい?

 楽しげにはしゃいでいた男女グループが慌てたように逃げ惑っている。


「なんか騒がしいなあ」


 エバちゃんも気づいたようだ。


「魔物でも出たんでしょうか?」


 それにしては怪しい影は見当たらないのだが。

 あ、一人転んだ。

 と思ったらその人は転んだ姿勢のまま砂の上を引きずられていく。

 水の方へと。

 だが彼を引きずる物は何もない。

 彼の体には何も巻き付いていないのに、見えない手に掴まれてるみたいに無抵抗に引きずられていくのだ。

 一体何が?

 ていうか助けないと!


「出たね」

「主やな」


 ハリーさんとエバちゃんは何が起きているのか分かっているようだ。


「先に行くよ」


 ハリーさんは一言残して走り出す。

 その手には短剣が握られている。

 短剣の刃が赤く光って見えるのは気の所為だろうか?

 あっという間に距離を詰めたハリーさんが引きずられる人と海との間の空間を斬りつける。

 何もないように見えるその空間を、しかし短剣が切り裂いたことによって何かが断ち切られたらしい。

 引きずられていた人は立ち上がって陸地へと駆け出した。


「よう見とき。あれがバカ島の海の主、人呼んで『不可視(インビジブル)触手(テンタクルス)』や」

「『不可視(インビジブル)触手(テンタクルス)』!?」

「ああして海辺にいる人間を一本釣りして海に引きずり込むんや。生き延びた被害者の証言によると、大蛇に巻き付かれたような感じで手も足も動かされへんらしい。なのに何が締め付けてきてるのか目には見えへん。見えへんから回避が難しい。それがこの海の主なんや」


 それはなかなか恐ろしい魔物なのでは?

 ていうか『よう見とき』と言われても、不可視だから見えないんですけど!

 海面の一部が不自然に持ち上がった。

 あそこに何かいる?

 だが見えない!


「こんな時こそ魔法の出番や。光よその道筋を変えよ! Αλλάξτε την πορεία του φωτός!」


 エバちゃんが呪文を唱えるとファンシーな杖から魔法の光が飛び出した。

 魔物がいるであろう辺りに命中、何者かの姿形を浮かび上がらせる。

 船ほどもある丸い胴体、蠢く無数の触手。

 その触手のいくつかはハリーさんを襲っている。

 短剣一本でそれらを切り払い、回避するハリーさん。

 デカくて、触手がいっぱいで、海の魔物といえば、やっぱりアレか?


「クラーケン!」

「チッチッチッ」


 エバちゃんが『違うんだよなあ』という感じで人差し指を振る。


「惜しいなあ、一文字違いや。あれはクラーケンやない」


 ハリーさんが触手の一つを抱えて魔物を持ち上げ、呆れるほどの怪力で砂浜へと投げ飛ばした。

 陸地へと投げ出されたその全身は水のように透明で、触手は細長く、所々に光の点が明滅している。

 そして頭部には目も口もなく、ツルンとしてまるでスライムのよう。


「あれはクラーケンやのうて、『クラーゲン』や」


 海の主は巨大で透明なクラゲ!?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 イカでもタコでもない、クラゲがきましたか。ネーミングセンスがこの作品らしくて笑いました。  この異世界、本当に何でもアリですねー。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ