あばれるダンジョン②
挿絵を入れてみました。戦う花子さんのイメージイラストです。MicrosoftCopilot生成。
俺たちはアパレルダンジョンの深層、イゴール少年の言う『悪魔合体の館』に閉じ込められてしまった!
脱出するにはイゴール少年が召喚したグレーターデーモンを倒すしかない!?
めっちゃ緊迫した局面なのに。
「大体、ゴスロリ着てれば可愛いと思ってるところが痛いんだよ! 自己愛全開でさあ!」
「やかましいわ、女の着物にケチつける男ほど了見が狭いもんはないんじゃボケ!」
魔法と魔法でがっぷり四つに組んで力比べ状態なのに、口喧嘩が止まらないイゴール少年とエバちゃん。
その口喧嘩の内容もくだらない方向に流れていく。
「そう言うあんたも黒ずくめやんか。使う魔法まで黒いとか、笑えるわ。悪魔とか吸血鬼とか好きなんやろ。中学二年生の病やなあ!」
「ファンシーな杖持った魔法少女よりマシだね! アレだろ、プリティーでキュアキュアなつもりなんだろ!」
「魔法少女と美少女戦士は別もんじゃ! 一緒くたにすな!」
「そっちこそ悪魔と吸血鬼をごっちゃにするな!」
「やるんか!」
「そっちこそ!」
「かかってこんかい!」
「上等だ!」
そして魔法で押し比べ。
子供の喧嘩じゃないんだから。
いや、どっちも子どもなんだな、精神年齢が。
一方、グレーターデーモンVSセシル&花子組は大人の貫禄、真剣に戦っている。
2対1の数の利もあり、ついに花子さんの武器がグレーターデーモンの片目を潰した。
『ルオオオオーン!』
犬の遠吠えみたいな咆哮を上げるグレーターデーモン。
「ふーん、少しはやるみたいだね」
「降参するなら今のうちやで」
「だーれが。そっちこそ詫びを入れるなら早い方がいいよ。なぜなら…」
『ルオオオオーン!』
再度響くグレーターデーモンの遠吠え。
それに呼応して空中に黒い穴が開き、いくつかの人影が滲み出るように現れた。
「…悪魔が悪魔を呼ぶからね」
仲間呼びか!
空間に開いた穴から出てきたのは、角と尻尾とコウモリ風の翼が生えた人間そっくりの美女1人と、同じく悪魔三点セット(角・尻尾・翼)を備えたイケメン5人だった。
見るからに露出度の高いセクシーな美女なのだが、これはいわゆるサキュバスというものだろうか。
とすると、取り巻きのイケメンはインキュバス?
……ハッ、まずい!
セシルさんを見ると、やっぱり目からハイライトが消えていた。
「……逆ハー」
もうその目はグレーターデーモンを見ていない。
彼女が見ているのはイケメン悪魔5人に囲まれた美女のみ。
セシルさんの手が弓矢に伸びる。
まさかあれを、ここで?
「許すまじ!」
「アカーン! みんな逃げてー!」
「矢雨爆裂!」
※
大地が鳴動した。
執務室で書類に目を通していた領主はガタガタと振動する窓に目をやった。
「地震か?」
その窓の向こうにはダンジョンの入り口がある。
現在、新人教育のため6名の冒険者が潜っている。
体感的には震度2か3か、元日本人の感覚では大した揺れではないが…。
「おかしな事になってなければいいが」
何かの予感がする、そんな気がする領主であった。




