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シーフ ③

 やって来ました初ダンジョン。

 近くの森は採取地であって、ダンジョンって感じじゃないからね。

 やっぱり塔とか地下迷宮とか、そういうのがダンジョンでしょう!(個人の感想です)

 ダニエルさんイチオシのダンジョンはなんと町の中に入り口があった。

 町外れの建物に地下へ降りる階段が。

「ここ入っていいんですか? 私有地なのでは?」

「元々は個人の住宅だったんだけど、地下にダンジョンがあることがわかってね。町に寄贈されて、今では公有地だよ。危険度が低いから一般公開されてて立ち入り自由なんだ」

 なるほど。

 それなら安心かな。


 重たい金属製の扉を開けて、狭い石段を降りていく。

 遊びに来る人が多いのか、ゴミもなく綺麗に整備されている。

 照明までもが完備されてほんのり明るい。

 壁の高い所に等間隔で光る石が取りつけられているようだ。

 日本で言ったらトンネルみたいな感じだな。

 足音が反響する感じもトンネルに似ている。


「今の季節は入る人も少ないけど、真夏には結構賑わうんだよ。涼しいからね」

「鍾乳洞とか年中気温が一定だって言いますよね」

「そうそう、そういう事だね。鍾乳洞みたいな天然の洞窟と違って人工的なダンジョンだけど、地下にあるって点では同じだよ」

「人工的? このダンジョンは人が作った物なんですか?」

「半分はそうかな。このダンジョン、古代の都市の一部が変化したものなんだよ」

「つまり古代遺跡ですか?」

「うーん、遺跡と言えば遺跡なんだけど、君がイメージするものとは少し違うかもしれないな。ほら、あれ何だか分かるかい?」

 ダニエルさんが指差す先には。


「……入場ゲート?」

 カラフルな巨大看板とアーチ、花や動物のイラストで彩られた柱、その近くに駅の改札みたいな、いかにも人が通るためみたいな可動式っぽい低い柵があり、チケット売ってそうな窓口がある。

 もちろん全部無人の廃墟だけど。

 あちこち風化して年月を感じさせてはいるけど。

 でもその配置、そのデザインはあまりにも見覚えが有りすぎた。

 楽しげな音楽が流れていたり、人気アトラクションに行列が出来ていたりしたら完璧。

 ここは、まさかのあれですか?


「古代の総合レジャー施設だね。ネズミもいるよ」

 ダニエルさんはキラキラの笑顔でそう言った。

 やっぱり異世界版遊園地!

 ていうかネズミがいるの?

「直立二足歩行で手袋した頭の黒い大きなネズミですか?」

「それとはちょっと違うかなぁ」

 違うのか。

「じゃあお姫様のいるお城とかも」

「ないない。海賊船もないよ」

 ちっ。つまらん。

「そのネズミが今回の討伐目標なんだ。二足歩行じゃないし、手袋もしてないけど、それなりに面白いと思うよ。何と言っても」


 …出るよ、宝箱。


 そこだけダニエルさんの声が密やかに闇に溶けるように聞こえた。

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