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総転生世界 〜Everyone Reincarnated~  作者: ful-fil
チュートリアル ここは転生者だらけの世界

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シーフ ①

 近くの森の桜が散り、散った後の軸に小さな実が付き始めた。

 葉桜になったので、森はなんとなく緑色っぽくなった。

 やはり森はピンクよりも緑色であるべきだ。(個人の感想です)


 薬草は見た目がヒマワリなので、群生地はそこだけ目に染みるほどの鮮やかな黄色なのだが、まあこれは一年中咲いてて、咲いていない時期がないとの事なので仕方がない。

 神様が転生者のために用意してくれた物らしいから、ありがたく採取しよう。


 一人での薬草採取や魔石採取にも慣れてきた。

 なぜか頻繁にフェアリーが出るけど、全力疾走で逃げれば大丈夫。

 足腰が強くなってきた気がする今日この頃だ。

 もちろんスライムを見つけたらすかさず倒す。

 俺の今宵の糧となれ!



「新しい棒ください」

「あんたね、いつまでも甘えてんじゃないわよ。武器くらい自分で買いなさいよ」


 いつものように『ただの棒』を借り換えようとしたら、ソニアさんに怒られた。


「えー、でもー、鋼の剣とか高いしー。5000ストーンくらいするしー」

「ビギナーが分不相応な武器買おうとしてんじゃないわよ。スライム狩りなら棒で十分でしょ。棒を買いなさいよ、棒を」

「と言われても」


 武器屋に行けばまっさらな棒が売られている。

 商品名『さくらの棒』1本30ストーン。

 握りやすい太さで振り回しやすい長さで、手触りも悪くないのだが、見た目は単なる木の棒だ。

 大して強そうでもないし、ギルドで借りれば無料だと思うと、わざわざお金出して買う気が起きない。

 そもそも倒す相手がスライム一択。

 酸を吐くので、敵が弱い割に武器が傷みやすいのだ。

 すぐに傷むと知ってて買うのはなんだかなー。

 それに『さくらの棒』ってネーミングもほのぼのしすぎて、いまいち心が躍らない。


「近くの森に桜が山ほど生えてるじゃないですか。棒の元が雑草みたいに生えてるあれだと思うと有り難みがなくて、お金出す気になれないんですよ」

「あんた贅沢なのよ!」


 ソニアさんから『さくらの棒』がいかにコストパフォーマンスに優れた道具であるか、滾々とお説教された。


「というわけで、あんたこれからは自分でお金出して武器を買いなさい」

「えー」


 コツコツ貯めて鋼の剣を買おうと思ってたのに。

 武器屋の奥にあるやつ、初めて買う武器はあれにしようと目をつけてたのに。 

 そんな不満が顔に出たらしい。


「文句があるの?」


 ソニアさんの目つきが険しくなった。

 そこへ明るい声が割って入った。


「まあまあ、ソニアちゃん。ここは大目に見てあげてよ。僕に免じてさ」


 割って入ったのはキラキラした笑顔のチャラそうな男だった。

 この人は酒場にたむろしているいつものメンバーの一人、職業はシーフで、確か名前は……。


「ダニエルさん?」

「なんであんたに免じてやらなきゃならないのよ」


 ソニアさん、何か嫌そう。


「彼には僕の探索に付き合ってもらおうかと思ってさ」


 キラキラした笑顔がこっちに向けられた。

 えーと、なんだかキツネに笑顔を向けられたウサギの気分。

 信用ならないので、逃げていいですか。

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