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総転生世界 〜Everyone Reincarnated~  作者: ful-fil
チュートリアル ここは転生者だらけの世界

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魔法使い②

挿絵を入れてみました。エバちゃんのイメージイラストです。MicrosoftCopilot生成。


 俺は近くの森に拉致された。

 桜の花満開なピンク色の森に。


 いいけどね、どうせ稼がないといけないんだし。

 でも女性と二人っきりって緊張する。


「えーと、エバさん、でしたっけ?」

「エヴァンジェリン・フロラベルやけど、長いからエバちゃんでええで。ゴールデンハーフ懐かしいなあ」

「は?」

「わからんかてええねん。昭和のネタやさかい。サラッと流しとき」

「はあ…」


 エバちゃん、見た目は美少女なのに、ノリが中年っぽいというか、オバさんっぽい。

 割と話しやすいかも。


「手ぇ動かしながら話しよか。魔法覚えたいんやったな」


 せっせと薬草採取しながら会話する。

 ヒマワリ薬草、こうして見てもでっかいなー。


「あ、はい。せっかくこういう世界に来たんだし、地球ではできない事をやりたいと思いまして」

「その気持ちはわからんでもない。せやけど今のあんたには無理やわ」

「なんでですか?」

「これや」


 エバちゃんは人差し指と親指で丸を作った。


「魔法もタダやないねん。神殿でお金払わなあかん」

「なんで!?」

「なんでもクソもそういうシステムや。古代文明の遺跡を神殿が管理しとってな、有料でスペルライター言う謎マシン使わせてくれるねん。人間の脳ミソに直接書き込むんよ」

「なにそれ怖い」

「実際怖いで。何万回かに一回の割合で事故が起きるて言われててな。書き込みに失敗して記憶が真っ白に初期化された奴がおるとかおらんとか」

「なにそれマジ怖い!」

「まあ予防接種の副作用みたいなもんや。大多数は何ともない。覚えるのは一瞬。ちょっとクラッとくる程度で、痛くも痒くもないで」

「エバちゃんは何回もやったんですよね?」

「20回くらいやな」

「ちなみにお値段はいかほど?」

「レベル1のいっちゃん安いやつで2500ストーン」

「高っ!」

「よう考えてみ。前世で自動車学校通うたらいくらかかる? 技術身につけるいう意味では同じ事やで」

「そう言われればそうかも……でも高っ!」

「レベル2で5000ストーン、レベル3なら10000ストーンと倍々になってくで」

「マジ高い! 無理!」

「せやから今のあんたにはまだ早いねん。お金貯めてからゆっくり学び。まあ金のかからん裏技も無くはないけど」

「え、なんですかそれ」

「いやいや、裏技やから。真面目な子は知らんでええ事や」

「気になりますよ。教えて下さいよ」

「いやいや」


 エバちゃんは笑いながら逃げていく。

 からかわれてる気がするけど、めっちゃ気になる!


 笑いながら逃げていったエバちゃんは出現したフェアリーの群を魔法で一掃した。


「森で火ィはあかんから、風な〜」


 と楽しげに杖を振りながら。

 

 魔法強え〜!!

 魔法があれば走って逃げなくてもフェアリーに勝てる!

 やっぱり魔法を覚えたい!


 それからスライムの群に遭遇したり、それをなんとか討伐して魔石を集めたり。

 その間も『教えて』『いやいや』のやりとりを延々と繰り返して、採取も終わって帰ろうかという頃、やっとエバちゃんは教えてくれた。


「安易に挑戦したらあかんで。あのな、ダンジョンで魔物倒すやろ。そしたらアイテム落とす事があるんやけどな。その中にたまに呪文書があんねん。それ読んだら神殿で教わるのと同じように頭に書き込めるんよ」

「つまりドロップアイテムを使えばタダ!」

「そういうこっちゃ。せやけど裏技ゆうたやろ。これな、違法ではないけど合法でもないグレーゾーンやねん」

「というと?」

「ダンジョンで手に入れた呪文書はギルドの買い取りに出さなあかん決まりやねん。ほんで買い取り価格は同じ呪文習うより安い」

「損じゃないですか」

「せやけど神殿の方が安全やからな。万が一副作用出たらその場で手当てしてもらえるし」


 そう言われると納得いくような気もする。

 ドロップ品を使うなら安上がりだけど、安全保障がないということだろう。


「そもそも魔法は危険物や。攻撃魔法は前世で言うたら銃器みたいなもんや。前世でも銃刀法てあったやろ? きちんと管理でけへん奴が勝手に銃持ち歩いてたら暴発の危険もあるし、怖いやろ? せやからドロップした呪文書はギルドに提出する決まりやねん。神殿が高い料金設定してるのは社会的信用のない奴の足切りでもあんねん」

「う、確かに」


 今の俺は明日の生活費も持ってない冒険者。

 前世で言ったら住所不定の日払い臨時バイト。

 社会的信用はゼロに近い。

 猟銃であれ拳銃であれ、所持できる立場ではない。

 2500ストーン、前世で言ったら25万円相当をポンと払える身分にならないと、魔法は使えないのか……。


「まあ決まりごとにも抜け道あるけどな。『ダンジョン内で緊急避難的に必要に迫られて使いました』て言えば罪にはならへん」

「あ、そうなんですか」

「せやけどあんまり当てにしたらあかんで。ドロップ狙って出せるもんやないし。第一あんたまだ弱っちいから魔物に勝たれへんやろ」


 まあそうなんだけど。

 でも希望がムクムクと湧いてきた。

 いつかダンジョンで呪文書を手に入れよう!

 そして使おう、緊急避難(グレーゾーン)的に!


挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
 魔法に関連する例えが分かりやすくていいですね。  なんか楽しそうな異世界。若く見えても、前世年齢不詳というところがイイ。  そして、今度はどんな職業が出てくるのか楽しみです。
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