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終末の北海道  作者: 秋山如雪
シーズン3 冬
21/35

エピソード21 最北端と、地平線の彼方

 その後すぐに、彼女たちが向かったのは、そこからほど近い岬だった。


「おおー! ここが最北端か!」

 バイクから降りた翼が、いつも以上に興奮気味に、三角形のモニュメントを前にして叫んだ。


 宗谷岬。


 かつて、サハリンが「樺太からふと」と呼ばれ、日本領だった頃を除くと、日本最北端の地だ。


 だが、興奮する翼に比べ、美宇はどこか冷静というか、落ち着いていた。というより、白けていたに近い。


「ねえ、何でバイク乗りは、こんな岬なんかに感動するわけ?」

 彼女がわからなかったのは、一応北海道生まれの彼女がかつて見た光景が頭にあったからだ。


 毎年のように夏になると、内地から大勢のライダーが、自分のバイクに乗ってきて、走り周り、彼らの多くがこの宗谷岬を目指したという。

 それ以外にも北海道内にある、数多くの岬を旅したと言われている。


「そうだねー。バイクに乗らない美宇にはわからないかもだけど、バイク乗りってのは、みんな『端っこ』が好きなんだよ」

「だから何で?」


「何でだろうね。きっと理屈じゃないんだよ、バイクってのは」

「意味がわからない」

 呆れる美宇に、翼は笑顔を返した。


「わからなくてもいいの。たとえ誰からも理解されなくても、バイク乗りたちは心の底から、ツーリングを楽しみ、岬に喜んで訪れる。それが最北端なら尚更ね」

(まったくわからん)

 バイクに乗らない、というより免許がないし、もちろん操縦経験もない美宇には理解できない感情だった。


 その後、宗谷岬を去り、走ること40分ほど。


 美宇が密かに行ってみたいと思っていた場所にたどり着いた。


 エサヌカ線。


 そこは、知る人ぞ知る、北海道の「直線道路」だった。


「うおっ! これはすごい!」

 美宇より興奮していたのは、もちろん翼だった。


 ひたすら真っ直ぐに走る一本道。道の両脇には草原が広がり、電信柱も電柱もなく、もちろん信号機もなく、人家もない。


 はるか彼方に地平線が見え、そこまで10数キロに渡って、ひたすら真っ直ぐな直線だけが延々と続く。


 まるで「荒野の中にある滑走路」と表現してもいい道で、まさに大陸的な北海道を体現する道だった。


 恐らくこの規模の道は、本州以南には存在しない。


「ああ。すごいな。これぞ北海道だ」

 美宇自身、北海道生まれとは言っても、どうやら記憶の中でこの道に来たことはなかった。


 もっとも、北海道自体がとてつもなく広いため、一概に北海道生まれと言っても、道内に「行ったことがない土地」なんてのはいくらでもある。


 はるか彼方にまで続くこの一本道があまりにも気持ちよかったのか。


 気が付けば翼は、時速150キロ近くまで飛ばしており、

「ちょ、怖いから! スピード出しすぎだ!」

 後ろの美宇が、泣きそうな声を上げていた。


「大丈夫、大丈夫。コケても下は雪だから」

「大丈夫じゃねえー! 死ぬ死ぬ!」


「あはははは!」

「笑い事じゃねえー!」


 北海道が日本に誇る、恐らく「日本一」真っ直ぐな道を堪能し、途中で停車して、写真を撮った後、彼女たちはさらにオホーツク海沿いに南下した。

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