70、三成、かがり火を消させず ☆
【作者】
狸 寝起
【あらすじ】
歴史オタクの主人公は日々歴史にクレームを呟いていた。聞き咎めた歴史の神は「じゃあ、お主がやってみろ…」と主人公を山崎の戦いに続き、今回は関ケ原合戦当日早朝の石田三成に憑依させる。すでに開戦してしまっている圧倒的不利な状況で、凶暴な牙を剥いて襲い掛かって来る二百五十五万石の大大名、徳川家康を始めとする東軍諸将を凌ぎ、豊臣家を守り切れるのだろうか。
【感想】
以前紹介した『光秀、下天の夢を見る』の姉妹作です。それを面白いと感じた人はぜひ読んでみてほしいです。
歴史好きなら誰もが一度は考える、関ヶ原の戦いでどうしたら西軍が勝てたのかをテーマにした作品です。だいぶ前からスタートならいくらでもひっくり返せると思うのですが、前作からさらにレベルアップして当日の早朝スタートというかなり厳しい状態です。でも、その厳しい状況から何とかしてひっくり返すところが面白いです。
当日に入れ替わるので、もともとの三成と入れ替わったのを悟らせないようにしないといけないところや、乗り移る前からの三成の得意分野を活かしているところも良かったです。
当日の戦闘だけでひっくり返すのではなく、あちこちに根回ししたり、あちこちへ飛び回って西軍に参加させたりと、主人公が使えるものをすべて使って何とかしていく、というのを感じられてすごく良かったです。いろいろな武将が出てきますが、そこまで嫌な奴が出てこないのも良いです。
個人的に西軍が好きなので、西軍武将で史実ではあまり活躍しなかったり、有名ではない武将が活躍しているところを見るととても嬉しいです。
終わり方もかなり衝撃的でした。西軍が関ヶ原をひっくり返すお話なので、当然西軍勝利で終わるのですが、家康の処分が全然予想できないような内容でものすごく驚きました。そして、意外な人物も出てきます。
内政改革とかがあまりない純粋な歴史改変を楽しめる作品です。
面白いのでぜひ読んでみてください。
【評価】
8,5点
【詳細情報】
ジャンル…歴史
完結済み作品
文字数…約24万文字
目安読了時間…約8時間
作品URL…https://ncode.syosetu.com/n2959hy/