61、読者と作家のリセットマラソン ☆
【作者】
弓軸月子様
【あらすじ】
図書館でぶつぶつと呪詛をはく男、読む専門のクロストと、その後ろで聞き耳を立てる女、冒険小説作家のスティ。
日常会話であろうとフラグらしものはひたすら叩き潰す二人でも、神様の強制呼び出しからは逃れられません。
成功するまでひたすら繰り返される地獄のリセットマラソン。
諦めれば人類滅亡するらしいけれど、成功が先か、折れるのが先か。
まぁ、神様だって折れないと分かっているから二人に頼んでるんですよね。それがセオリーというものです。
さあ、ゲームスタートです!
【感想】
タイトルが気になって読み始めた作品です。最初は面白いけどまあまあかなと思っていたのですが、途中からすごい面白い!となって、止まらずに最後まで読み切ってしまいました。
この作品は初めて自分がスコップしたと自信を持って言える作品です。今まで紹介してきた作品で、どんなにマイナーな作品でも、総合ptは3桁か4桁は行っているのですが、この作品を見つけたときの総合ptは38です。
面白いなと思ったのが、死に戻りや、タイムリープではなく、リセマラをするというところです。ゲームでよくあるリセマラです。世界の危機が訪れると、二人の主人公は神様に呼び出され、その当事者に乗り移り、危機を回避できるまで、リセマラを繰り返していきます。
主人公も読者の方は潔癖症、作家の方も普通の人ではないので、キャラクターも面白いです。
そして興味深かったのが設定です。特に言語です。異世界が舞台の作品だと、異世界語でひとくくりにされて、他の国でも通じるという、今まで少し疑問に持っても、そういうものだと納得して読んでたのですが、国によって言語が違っていて、主人公が乗り移った人物が話していた相手が、主人公の国の言語と違くて、これ何語だよ!って発狂してて面白かったです。異世界語で統一されているのもいいと思いますし、この作品みたいに何個も言語があって、現実感があるのもいいと思います。
主人公の一人が冒険小説作家というところも面白いです。今までにいろいろな作品があるわけですが、主人公が小説作家というのは斬新で面白いなと思いました。作中でその設定も活きていて、そういえば小説にこんなシーンあったなとなったり、今回のこの出来事は小説に活かせそうだなと言ったりしていて良かったです。
リセマラ以外の日常描写も結構あります
ジャンルはローファンタジーになってますが内容は完全にハイファンタジーです。
ストーリーも面白いです。最終章で少し話が変わります。主人公がリセマラをしていた時の記憶を消してもらうのですが、周囲の人が不可解なことに気が付いて、どういうことなのか探っていくという感じになっていて、それも面白いです。
少し残念なところは、エンドがどういうことなのかいまいちわからなかったところですが、そこを除けばものすごく面白いし、傑作と言える作品だと思います。皆さんもぜひ読んでみてください。
【評価】
8,5点
【詳細情報】
ジャンル…ローファンタジー
完結済み作品
文字数…約31万文字
目安読了時間…約10時間
作品URL…https://ncode.syosetu.com/n7232hx/