マタニティブルー
イザベラさんは雑貨屋の商品を持って来たみたいで、私が「ここで雑貨屋を開きませんか?」と言うと喜んで承諾した。
ショーンに出していた、どんな仕事につきたいかは強制的に雑貨屋の店員になった。
イザベラさんは取引先を探さなくちゃと、家を出て行った。
私は外に出て、もうスペースがあまり無い家の敷地に、結婚相談所の隣にこじんまりとした雑貨屋のお店を創造魔法で作った。裏で家と繋がるようにした。
中に入り、店番の人が疲れないように、座り心地の良い椅子を置いてお会計の机の後ろに置いた。
棚は作りつけなので、イザベラさんに商品を並べる時に使ってもらって、万引き防止の魔道具を入り口に置いて、入り口に準備中の板をかけて鍵を閉める。
ショーンに雑貨屋のお店を結婚相談所の隣に作ったから、お母さんに伝言しておいてとお願いして、鍵を渡す。
ミアちゃんの顔を見て、地球通販で乳児の子供用品を買ってアメリアさんに渡す。オムツの使い方を教えて、アメリアさんが喜びお礼を言ってきた。
自分の子供の予行練習が出来たみたいで、私も嬉しかったので気にしないでと言い、カーマインのお屋敷に帰った。
昼食を家族全員で取り、ノアが私からいろんな匂いがするのに不思議がっていた。
午前中はこんな事があったんだよと話しをして、家族を驚かせた。
そういや蘇生魔法が使えるの教えて無かったかもしれない。バタバタしてたからなぁ。
ノアに今日の夕食は家族の歓迎会をするから、自宅で食べようと誘って承諾の返事をもらった。
ノア達男性陣を送り出して、厨房に行き料理長に今日の夕食はノアと2人で自宅で取ると言い、夕食を断った。
自宅に帰って、キッチンに行きドラゴン肉を出して、今日は新しく来た家族の歓迎会だと肉を渡した。美味しく料理してくれるだろう。
孤児院に行って、赤ちゃんに会いに行ったら結構大きくなっていたので驚いた。
抱き上げると大分重たい。幸せな重みだなと思い、赤ちゃんをあやした。
赤ちゃんが泣き出したので、厨房に行きお乳をもらって赤ちゃんにミルクを飲ませてあげた。
一生懸命飲む赤ちゃんは可愛くて顔がとろけた。赤ちゃんの温かみにじーんとしていたら、赤ちゃんがお眠になったので、ベビーベッドに寝かせて手や足をつついた。かわいい。
孤児院の小さい子供と遊び、癒されて自宅に帰った。
自宅の寝室で、雑貨屋で売る商品を地球通販で選び、可愛いマグカップなんかをペアで買ったりして楽しんだ。買い物楽しい。
町で買ったカバンでマジックバッグをたくさん作り、1つのマジックバッグに雑貨屋で売る予定の商品を詰めた。
2階のショーンの部屋に行くと、イザベラさんはまだ帰っておらず、イザベラさんが帰って来たら渡してとマジックバッグを渡した。
「今日は歓迎会をするからね」と言い夕食の時間に降りてくるように言った。
作ったマジックバッグを魔道具屋に持って行き、ロアに渡す。売れ行きは落ちていないそうだ。
夕食の時間になり、ノアが来たのでお帰りのハグをする。「今日はドラゴン肉だよ」と言えば、嬉しい顔をした。
2人でダイニングに行き、お誕生日席に座り他の人が来るのを待つ。
ショーン一家が来たので、食事を食べる場所にもベビーベッドがいるかと思い、隅にベビーベッドを置いた。
アメリアさんが喜んで赤ちゃんを寝かせていた。まだ首が座ってないから大変だよねと思い、席についた。
みんなで1人ずつ自己紹介をして、私が伯爵だと言うと一家は驚いていた。ノアが旦那様でカーマイン公爵の弟だと言えば、また驚いていた。
態度は今までと同じでいいことを伝えて、美味しい夕食の時間だ。
ドラゴン肉が出ると、ノアは必ず一口目は私にくれる。嬉しく思い、私もノアに給餌すると嬉しそうな顔をする。みんな見て!うちの旦那様カッコ可愛いから!ちょっと自慢げに食事を食べた。
ドラゴン肉は相変わらず美味しかった。吐き気やむかつきも無いので、屋敷の料理長に明日みんなと同じ食事にしてもらおうと決意した。
ノアがドラゴン肉をお代わりして、美味しそうに食べているのを見て、幸せだなぁと感じた。
帰りに、イザベラさんに呼び止められて、マジックバッグや品物をどうしたらいいか聞かれた。
「お店の開店祝いだよ」と伝えて、貰ってもらう。
恐縮していたが、私が譲る気はないと気づいたイザベラさんがお礼を丁寧に言ってくれた。やっぱり、絶対いい所のお嬢さんだったんだと思い、貴族になったばかりの私も勉強しないといけないかなぁと考えて、ノアの部屋に帰った。
次の日はイザベラさんとショーンをお店に案内して足りない物を聞いたが、足りているから大丈夫と断られた。
イザベラさんとショーンは持って来ていた商品を並べていた。ショーンの並べ方にイザベラさんの指導が入った。
魅力的な並べ方があるんだなと感心して見ていた。明日にでも開店出来そうなお店を見て、モニカさんに宣伝して貰うことにした。
散髪屋に行きお願いすると「いいよ」と簡単に引き受けてくれた。モニカさん達もお店を見に行くようだ。
コーディが孤児院での散髪練習から帰ってきて、散髪出来る人数が増えたから余裕があるそうだ。
コーディは孤児院で散髪に失敗して、髪を短く切りすぎたようだが、謝って許してもらったみたいだ。
コーディ、詐欺に引っかかったり、散髪を失敗したり、おっちょこちょいな所があるみたいだ。
モニカさんと2人で雑貨屋さんに行く。生活用品や趣味で使えそうな物までいろいろ並んでいた。
見ていると時間が経つのが早い。モニカさんは数点買うようだ。イザベラさんに会計をお願いしている。
私は見てるだけで満足してしまい、何も買わなかった。ちょこっと私が仕入れた物を置いてくれていて嬉しかった。
ミアちゃんを見に行き、まだこちらの言葉に反応してくれないから寂しくなる。
小さいだけで愛らしいから満足な所もあるんだけど。髪はまだ少ししか生えていない。
死産になってしまったから、栄養が行き渡っていない少し小さめな身体。体力がなかったんだね。それでもかわいい。
庇護欲をそそると言うのか、おくるみに包んだら、お人形さんみたいに小さくなっちゃう身体。持って帰りたい。持って帰ったら駄目だけどね。
アメリアさんにかわいいね〜と言うと、夜は怪獣みたいなんだって。1日に何回も泣くから目が離せないみたい。すぐお腹空いちゃうんだね。大きくなるんだよ。
満足したら屋敷に戻り、昼食にする。1番始めに来たから、みんなを待つ。頭に浮かんでくるのは、ミアちゃん。お母さんの体力も子供の体力もないといけない出産。初めての事だからちょっと不安になってきた。
こんな時はノアにぎゅっと抱きしめてもらいたい。「何も問題ないよ」って。お腹をなでる。
私よりモニカさんの方が出産が早いけど不安がないのかな?以外とモニカさんさっぱりしてるから、それも運命って受け止めてしまいそう。
でも自信がありそうだから、自分で強運を引き寄せるのかもしれない。
お母様方が来たから出産の話しを聞く。初めての子は大変なんだって。慣れない事ばかりで。でも2人目になると楽になるらしい。身体が産み慣れるのかな?
子供達がやって来た。アメリアさんに言わせると怪獣らしいけど、確かに子供達を見ると小さな怪獣に見えてくる。可愛いけど。
ティモシー君は元気いっぱい。ウィル君はまだお母さん離れ出来ていない。甘えん坊な所がかわいい。やんちゃだけど。
旦那様方が帰って来た。私は立ち上がってノアにぎゅっと抱きつく。「どうしたの?積極的だね」と言われてもぎゅうぎゅうする私に不安を感じたのかも知れない。ノアは何も言わずに抱きしめ続けてくれた。
ほっとした私はノアから離れて席につく。ノアが手を繋いでくれた。気にかけてくれるノアが大好き。私はぎゅっとノアと手を繋ぐ。
「子供の事で不安になっちゃった」と笑う。ノアは「子供は順調だよ。君は元気でいたらいい」と私の心を軽くしてくれる。出来る事はしないとね。食事をしっかり取って、運動して、よく寝る。健康的な生活を心がける。
メンリル様から貰ったこの身体だから大丈夫。神様がついててくれるなら心配ない。旦那様にも愛されている。マタニティブルーになっていたのかもしれない。
前向きに生きるぞ。お腹の子は大丈夫。定期的に治癒魔法掛けてるからね。私のお腹にがっしり捕まってる。
食事が出てきた。しっかり食べよう。栄養はここから子供に行くんだから。元気だして、もりもりごはんを食べる私にノアも安心したみたい。ごめんね、心配かけて。
ノアと別れて、厨房に行く。
料理長に悪阻が良くなってきたから、普通の妊婦さんが食べる食事をお願いした。料理長が「任せてください」と自信まんまんだ。頼もしい。
私は子供部屋に行ってプールに行こうと誘う。今日はお母様が生理らしいから見学で、私とライラさんで子供達のお相手だ。
みんなで水着を持ってプールに行く。子供達は今からワクワクしてる。すっかりプールにはまったね。
着替えて、プールサイドでプールにクリーンを掛けて排水の蓋を締める。水魔法でぬるめの水を出して水でプールをいっぱいにする。
子供達とライラさんとプールサイドで筋を伸ばして運動する。ティモシー君はビート板を使って泳ぎの練習だ!ウィル君は浮き輪をつけてライラさんとね。
ティモシー君は10m泳げてから自信がついたのか、やる気充分。私は横で溺れないようにサポートする。ティモシー君10mなら余裕になってきた。ビート板は卒業して、手を引いてあげた方がいいかもしれない。
ティモシー君にビート板を使わないで泳いでみようと誘う。ちょっと不安そうにしたけど、挑戦してみようと思ったのだろう。元気に「うん!」と返事した。
ティモシー君の手を両手で持ってティモシー君を誘導して後ろに歩いて行く。ティモシー君は頑張って泳いでいる。子供は体力が無いから、ちょうどいい所を見極めないといけない。やる気を削いではいけないのだ。10m泳げた所でティモシー君と抱き合う。
ティモシー君も疲れたみたいだけど笑顔だ。今からはティモシー君に浮き輪をつけて遊びだ!ライラさんと2人でウィル君の浮き輪とティモシー君の浮き輪を掴んで、歩きまわる。子供達も慣れてきて、ばた足で前に進んでくるから負けちゃう。楽しいけど。
子供と一緒だと、運動も楽しくなる。子供もプールを学べて一石二鳥だ。
1人でぽつんとお茶を飲んでる、お母様に合流してティモシー君がちょっと自慢げに話し出す。それをお母様が聞いて嬉しそうにする。楽しみは分け合わないとね。
メイドさんが入れてくれたお茶を飲んで、みんなでまったりする。
今日はこのまま上がってもいいかもしれないと思ったら、ウィル君がプールに行こうと誘ってくる。
ティモシー君は話すのに夢中だし、ライラさんは優雅にお茶を飲まれている。
私だなと思い、ぐいっとお茶を飲んでから、ウィル君とプールの中に入る。
ウィル君の浮き輪を引っ張りながら円を描いて進む。
少し目が回ってきたウィル君をそのままにして、下に潜り、ウィル君の足をくすぐる。足がバタバタしたので逃げ出し、水面に顔を出す。ウィル君が不満そうだ。
機嫌を取る為に水の掛け合いをする。今、写真撮ったら綺麗だろうなぁと思いながら。ウィル君を濡らしていく。ウィル君も頑張っているがちょっとしか水が飛ばない。頑張っている姿がかわいい。
紐を引っ張ってご機嫌取りをする。びしょびしょになったウィル君もかわいい。きゃっきゃと笑顔だともっとかわいい。疲れるまでウィル君のお相手をした。
着替えて、ドライを掛けて屋敷に帰ると、いつも通り2人は寝てしまった。お母様がふっふっふっと笑いそうな顔をして、カメラを取り出した!もしかして!と思い見せて貰う。お母様カメラの腕がいい。ぽつんと座っているだけに見えて、結構動きまわっていたみたいだ。綺麗に撮れている。もうお母様が慣れた動きでプリントしてくれる。子供達と私が写ってる写真をくれた。嬉しい!アイテムボックスからアルバムを取り出して貼る。2人のコレクションがどんどん増えていく。アルバムをめくると楽しくなってくる。お母様方もきゃっきゃ言いながら、アルバムに写真を挟んでいく。今日の夜の話題はこれだなと思いつつ。
旦那様方が帰ってきた。ノアに抱きついてちゅっとする。ノアがお腹を撫でてくれる。子供にも挨拶してくれてるんだ。幸せ。
頼んだ通りに食事が少しボリューミーになっている。食べて問題ないと分かったら、普通に食べる。久しぶりの肉を感じる食事。美味しい。ノアも違いに気づいたらしい、給餌をしてくる。ぱくりといただき、お返しにお肉をあげる。美味しそうに食べてくれる。小さな違いに気づいてくれる貴方が好き。現金なもので、もうお腹の子供に生まれておいでと言いたくなる。みんながあなたを待ってるよ。
最近ノアが眠る前の儀式めいた事をしながら、ベッドに行く。無理な体勢をしているノアの頭を撫でる。「大きくなってきたね」と嬉しそう。「もうすぐ6ヶ月だからね。産婆さんはどうしよう?」と言うと「代々見てくれる人がいるから大丈夫」と言う。そうか、予約済みか。ほっとして「今度紹介してね」と返す。
寝る前のスキンシップが終われば、就寝だ。今日もありがとうノア。




