蘇生家族の引っ越し
私は部屋全体にクリーンを掛けた。死臭や出産の生臭い匂いがしてたからね。
青年の食べ終わったお皿にクリーンをかけてアイテムボックスにしまう。
奥さんが目を覚ましたら、バスケットの中の果物を食べるように言う。
私はその場から瞬間移動でカーマインのお屋敷に帰った。
寝室の前室でソファに座り、晩ごはんを食べる。
お腹がいっぱいになったら、寝室に行き、ノアの寝ている隣に横になる。今日は大変だった。
青年もあの歳で不幸な目にあって少し気が狂っていたかもしれない。
あの部屋で2日も居たんだよ。自分の奥さんと子供が死んだ部屋で。奥さんと子供の蘇生を祈って。
普通はそんな事出来ないし、周りが放っておかない。
だから周囲には奥さんと子供が死んだ事はバレてる。あの場所から引っ越さないといけない。
また明日、今日はおやすみ、ノア。
翌朝、ノアのキスで目が覚めた。眠いけど今日は大事な用があるから、起きないといけない。
ふんぬーと頑張っているとノアが起きるのを手伝ってくれた。
ふらふらしながら着替えて、前室に行くとシーラさんが待っていた。
自分にクリーンを掛けて冷たい水で顔を洗い目を覚ます。
口は今日はクリーンでいいや。水分のなくなった口をすすいで、シーラさんのなすがままになる。
ノアに手を引っ張ってもらい、食堂までくると大分頭がクリアになって来た。
家族みんなで朝食を食べて、ノアを仕事に送り出す。朝の事をノアに心配されたけど「大丈夫!」と言って別れた。
お母様方に行って来ますと言って、青年の家に瞬間移動する。
青年はいきなり来た知らない私に驚いたようだ。治癒師に変身して見せて、昨日の人物と同じだと信じてもらう。
子供に食事はあげたのか確認すると、青年は一睡もしていなく、ずっと奥さんと子供を見ていたそうだ。
親子3人にクリーンを掛けて、青年に名前を聞く。青年はショーンと言うそうだ。奥さんはアメリアで、子供は女の子だけど、まだ名前は無いそうだ。
奥さんは夜中に一回起きて果物をたくさん食べたようだ。
私はショーンに、実家に引っ越す事と、仕事場に仕事を辞める事を言いに行かせる。家も貸家だったら今日で解約する事を言うように言い聞かせて、外に出した。
私は家、全体にクリーンをして、子供の様子を見る。まだ目の開かない赤ちゃんだ。かわいい、小さいお猿さんみたい。
奥さんと子供が息をしていることが奇跡に思える。こんな奇跡、周囲に知られてはいけない。旦那さんが世捨て人になって、1人で去った事にしないと。
私は奥さんと子供を眺めていた。
お昼頃、旦那さんが帰って来た。疲れた顔をしている。
旦那さんに昼食を出して、私は一度家に帰る事を言い、お昼過ぎに帰ってくるからと言い瞬間移動で屋敷に帰る。
みんな食事中だったが、失礼して一緒に食事させてもらう。ノアは朝の事があるから心配そうに見てきたが、食事に集中させてもらう。
ノアを仕事に送り出す時に、私からノアにキスをする。喜んだノアにガバリと抱きしめられたが、気分は上がったようだ。
お母様方にまた出掛ける事を伝えて、瞬間移動でショーンの家に戻る。
ショーンの家に行くと、奥さんが目覚めたようだ。果物をもりもり食べている。良い事だ。
ショーンに説明したのか聞くと、まだのようだ。
奥さんに制約魔法で私の秘密や魔法を誰にも言えないようにして、出産で奥さんと子供が死んで、2日後に蘇生魔法を掛けて生き返らせた事を言う。
周囲の人は奥さんと子供が死んだ事を知っているから、ここから引っ越さないといけない事も話す。
いきなりの事ばかりで、驚いたようだが旦那さんの様子を見て、本当の事だと分かったらしい。
要らない家具や物は捨てるから、持って行くものだけ荷物をまとめて欲しいと言った。
2人は慌ただしく部屋の中を片付けて、私は旦那さんが食べた後の食器を片付けた。
赤ちゃんが泣き出したのでクリーンを掛けて奥さんにお乳をあげてもらった。
また赤ちゃんを引き取って奥さんには片付けをしてもらう。
あらかた片付け終わった所で、異空間住居の扉を開けて中に奥さんと子供に入ってもらう。
玄関で靴を脱いでもらって、1階の寝室に案内する。ここで2人でいてくれと、クリムと飲み物を用意して異空間住居から出る。
扉を閉めて、片付け終わった後の荷物をアイテムボックスにしまっていく。要らないものはゴミ箱だ。ベッドや家具も仕舞い、持って行く物は他に無いかショーンに確認する。
大丈夫のようなので、奥さんのお母さんの所に案内してもらう。
お母さんは奥さんの事を知っているのか聞くと、多分知っていると思うと答えた。多分が怪しい。説明をショーンに任せる。
お母さんの所に来ると、お母さんはまだ若かった。小さな雑貨屋を経営しているようだ。
旦那さんが大事な話しがあると言えば、店を閉めて家の中に案内してくれた。
旦那さんがここ数日の話しをすると、信じてくれない。今日で引っ越すからアメリアと子供にはもう会えなくなると言ったら、顔色を変えた。
私は異空間住居の扉を開けて、アメリアさんと子供を呼びに行った。
娘からも同じ話しを聞いたお母さんは力が抜けたようだった。
一緒に来るか聞いたら「すぐには決められない」と言うので、マップでこの家をチェックして一週間後にまた聞きにくると言い、奥さんと旦那さんと子供を異空間住居に入れてから自宅に瞬間移動した。
異空間住居の扉を開けて、ここで靴を脱いでくれとお願いしてスリッパを用意する。
2人に履いてもらってから、家の中を案内する。
トイレの使い方やお風呂リビングにダイニングを案内して、キッチンに行く。
ダンテに今日から2人分の食事を増やすように言って、2人に挨拶させる。
食事をしたかったらキッチンの人に言うようにしてもらって、お店を案内する。
散髪屋に行くとモニカさんがママ友が出来たと喜び、2人はお腹が大きいのに働いているモニカさんに驚いていた。
魔道具屋にいけば、自分達は凄い所に来たんじゃないかとびくびくしていた。従業員と挨拶して、次の美容室は脱毛をしているかもしれないからスルーして、結婚相談所に挨拶に行った。綺麗な店員に驚いていた。
2階のペイターとリンが泊まっていた部屋に案内して荷物を出していく。ベビーベッドだけ地球通販で買って、子供を寝かせてもらう。
2人に魔法の質問をしていく。
2人共善人だ。「魔法を使えるなら何を使いたい?」と聞くと、何の魔法があるのか分からないと言う。それもそうだと魔法全集の本を渡して選んでもらうピンと来るのが無かったみたいで、生活魔法が使いたいと言う。
2人を鑑定させてもらうと、2人共生活魔法の素質があった。その事を伝えると、もう一度魔法全集を見てショーンが治癒魔法を覚えたいと言った。アメリアさんはアイテムボックスが使いたいと言うので、2人に魔法を付与した。
苦しがっているので治癒魔法をかけて緩和してあげた。練習すれば生活魔法が使える事を教えて、ショーンには何の仕事をしたいか考えてもらう事を課題にした。
一週間は親子水入らずで過ごしてもらう事にした。
一週間後。アメリアのお母さんがいる家に来た。お店は閉まっていた。
玄関の扉を叩くと、お母さんが出て来た。
アメリア達と一緒に行くと言うので、まとめてあった荷物をアイテムボックスに仕舞い、家の解約をすると言うので待っていることにした。
帰って来たお母さんと瞬間移動で自宅に行き、玄関で靴を脱いでもらいスリッパを履いてもらう。
1階を案内して魔法は使えるか聞くと適正が無いとの事だった。元は良い所のお嬢さんだったのかもしれない。
ベッドとクローゼットだけの部屋に預かった荷物を置いていく。
ショーンとアメリアの部屋に案内して感動の再会を果たした。
お母さん、イザベラさんに生活魔法を付与して魔法を使えるようになってもらった。
子供の名前はミアになった。




