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ローゼット領での犯罪 2

 町長の屋敷の人を調べた後、今度は役場を調べる事にした。


 町の兵士を10人ほど連れて、役場に入り、1階のホールに集まってもらう。

 1人ずつ質問していく。その中の1人が気になる事を心の中で言っていた。


『町長しくじったな。でも、俺は手紙を渡す係りだけだと思われている。助かった』


「ちょっとあなたに質問したい事があるんだけど、手紙の差し出し人は誰か分かる?」


「何の手紙ですか?僕は役場の手紙を配る係りだったので」『驚いた。なんてタイミングだ。それより何でこの女俺が役場の手紙係りだって知ってたんだ?』


「役場の手紙じゃないわ。あなたから町長への手紙よ」


「僕は町長にも手紙を渡してましたが」『何だこの女、なんで、そんな質問してくる?まるで俺がラルド様の使いだって分かってるみたいじゃないか』


「ねぇ、ラルドって誰?」


「は!?し、知りませんよ」『何でこの女、今ラルド様の名前出したんだ?偶然か?」


「いいえ、何で嘘をつくの?」


「嘘なんて言ってません!」『何で嘘だってわかる?こんな所でラルド様の名前を出したら気付かれるだろ』


「誰か!ラルドと言う人の事知ってる!?」


「ラルド?」

「どっかで聞いたような名前だな」

「もしかして、隣り街の街長のラルド様じゃない?」


「そこの貴方!ラルドの事を詳しく話して!」


「え!ええと、ラルド様は町長の親類で、隣りの街の街長をしている人です」


「兵士!そこの手紙係りも共犯よ!捕まえて!」


「えっ!僕知りませんよ、やめて下さいよ」『何でバレたんだ。でもしらばっくれれば、証拠なんてない』


「証拠はあるよ!町長の部屋から沢山出て来たわ」


「そんな!ありませんよ」『バカ町長。手紙は燃やせって言われてただろ!』


「この男は、裁判所で真偽にかけた方がいいわ。それと、町長の家にあった手紙と関係あるわ」


「はい!そのようにいたします」『報告しないとな』


 他にも、荷物を運ぶ係りの者が1人いた。中身を知ってはいたけど、脅されてもいたのよね。兵士によく言っておかないと。こういうのって犯罪になるのかしら?分かる人に任せるしかないわ。


 次は兵士よ。その前にカーマインの屋敷で昼食に行かないと。


「ちょっと私ぬけます。お昼からは兵士を調べるので、そのように段取りお願いします」


「はい!」『食事かな?』


 そう食事です!瞬間移動で帰る。ノアの部屋から食堂まで歩く。あっ、クリーンしないと。今日はいろんな人の近くにいたから、ノアが気にするといけない。自身にクリーンをする。

 食堂で待っていると皆来た。昼食だ。ノアが背後から抱きしめて来たホッとする。今日は忙しいからなぁ。まだ解決してないし。ノアとちゅっとする。


「カヨ、今日はお疲れだね」『心配だよ。元気なカヨでいて』


「そうなの、ちょっと疲れちゃった」


「無理しないで。君は今2人なんだから」『愛しいカヨ。君は頑張り屋さんだから』


「そうね」


 ノアにも分かるんだ。しっかりしないと。王太子殿下にも協力してもらったんだぞ。

 食事をもりもり食べる。疲れてるが気合いは充分だ。午後からは、犯罪者を撲滅してくれるわ!


 心配するノアと別れて、町へ瞬間移動で戻る。近くの人に兵士はどこにいるのか聞く。教えてくれたので、お礼を言って目的地まで行く。


 兵舎があり、訓練場がある。一時的に犯罪者を閉じ込める建物もある。ここだ。

 近くの兵士にこの町の全兵士を集めるように言う。そうしたら、その通達はもう来ていてあと15分もすれば、訓練場に集まるらしい。午前中の兵士君やるじゃないか!

 私は訓練場に行く。


 もう沢山の兵士が集まっている。心の声が聞こえる。


「何でこんなに集められてるんだ?」『今日休みだったのに。たりー』

「兵士長が犯罪者だったらしい」『兵士長、横暴だったからな』

「まだかよ、早くしてくれねーかな」『今日の巡回経路にアンナちゃんの店があるのによー』

「もう少し待てば全員集まるよ」『こいつ事件だって自覚ねーのかな?』


 以外と普通の人が多い。まぁ人間だもの普通じゃない人が少ないか。あっ、午前中にお世話になった兵士君が来た。


「ああ、来て下さったんですね」『兵士達が不満を覚えてる。早くしないと』


「ありがとう。午後からもよろしくお願い」


「いえ、皆!整列!今から1人ずつ質問していく!素直に答えるように!」


「「「「「はい!」」」」」


「では、お願いします」『中間管理職も楽じゃないよ』


「分かったわ、ありがとう」


 兵士君、ちょっと偉い人だったのか。苦労が偲ばれる。


 私は1人ずつ質問していく。兵士は以外とまともなのね。兵士長だけが犯罪をしていたのかしら?あら?あそこで、質問が終わった組に入ろうとしている男がいる。


「兵士君、あそこの男怪しいんだけど、連れてきてくれる?」


「あいつめ!分かりました!」『手間掛けさせるなよ』


 怪しい男は黒だった。質問が終わった兵士に尋問するようにお願いする。続けて質問していく。


 共犯は5人いた。多いと見るか、少ないと見るか。


「兵士君、ありがとう。私は尋問に協力してくるから、自由にしてくれていいわよ」


「いえ!自分も付いて行きます。王国兵から言われているので!」『この人のこと頼むって言われたんだよな』


「そう?ありがとう。今からもよろしくね」


「はい!」『頑張ろ』




 尋問室に行くと、町長が尋問されていた。尋問室にいた兵士に、進歩状況を聞く。あまり有力な話しは聞けてないみたいだ。


「尋問するの、私が変わるわ」


「では、お願いします」『町長粘り過ぎだろー』


「町長、貴方の手紙は見つけたわ。共犯者も捕らえた。そこから貴方の罪が暴かれていくわ。王国兵も王太子殿下の命令で調査に動いている。貴方が何も言わなくても罪は確定されるわ」


「わしは何も知らん」『そんな、王太子殿下まで出てくるなんて、何て事だ』


「ラルド様、親しいみたいねえ」


「知らん!」『ラルド様の事までバレておる。何故だ、何故分かる?』


「みんな自白しているのよ。貴方の仲間は誰も信頼出来ないわねえ」


「仲間なんぞおらん!」『あいつらめ、自白したのか。何て奴らだ!目を掛けてやったのに、裏切ったな』


「貴方も話したら楽になるわよ」


「知らん!」『ラルド様が助けて下さる。それまで我慢だ』


「貴方、まだ助けが来ると思ってるの?バカね」


「バカとは何だ!町長だぞ!」『この女、バカにしおって、捕まるのはお前だ!』


「誰も私を捕まえられないわ、私は神官なの。神がお許し下さるわ」


「神官だと!」『何故神官が、私は神の怒りに触れたのか?』


「神様はお怒りよ。貴方達が法に触れた事ばかりするから」


「そんな事……」『心当たりがありすぎる。やっぱり殺人は不味かったんじゃないのか』


「貴方、人を殺したわね」


「そんな……」『ラルド様の命令でも、するべきじゃなかった。あんなに沢山』


「1人どころじゃ無いわね。何人殺したの」


「……」『神はすべて見ておられるのだ。お許しを』


「白状すれば、楽になるわよ」


「私がやったんじゃない……ラルド様だ」『ああ、神よ』


「ラルド様がどうしたの?」


「あの方の命令で、人を殺したのだ。私の罪じゃない」『そうだ、すべてラルド様のせいだ。私はちょっと金に手を付けただけだ』


 落ちたわね。それからはポロポロ罪をこぼしてくれた。書記官が全て紙に書いている。


 他の共犯も手紙男以外、罪を吐いた。手紙男は相当手懐けられている。ラルド本人を捕まえるしか無いね。


「私は今から街に行くわ。ラルドを捕まえてくる」


「1人じゃ危ないですよ!誰か人を連れて行かないと!」『この人、女だって自覚あるのかな?』


 失礼な!女だから妊娠してるのよ!心配してくれてるの分かるけど。……いや、この世界、男も妊娠するんだった。


「運命神様が助けて下さるわ。行ってくる」


「ちょっ、まっ……」


 私は空に飛び上がった。街が見えるまで高く。小さいけど見える!あそこだ!瞬間移動!


 かなり大きい街だわ。通行人に役場の場所を聞く。神官の印を見て驚いてたけど、教えてくれた。神官の印隠すの忘れた。まあ、いいや。お礼を言ってマップにチェックした場所まで行く。


 役場の1階で、王家の指輪を出して、役人に街長ラルドの元まで案内させ、部屋に入る。


「何ですか?騒がしい」『ノックもしないなんて、常識がない。楽園送りにしてあげましょうか』


「貴方がラルドね。町長アクドから話しは聞いてるわ。殺人を指示したわね?」


「誰ですか?貴方は?」『アクドの事を知っている?楽園送りにした者達の仲間か?』


「神官よ。貴方は罪を犯しすぎた。許さないわ」


「神官ですか!そうですか!神は全てを見ておられるのですね!」『素晴らしい!私が楽園送りにした者を知っておられるのだ。だが何故許さないと?』


「楽園とは何?」


「罪を犯した者達が行く場所ですよ。現世では罪を償いきれない」『楽園を知っておられる。私がした事は正しかったのだ』


「貴方の行いを神は許さないわ。神が許すようなら私に神罰が下るはず」


「何故許さないと決めるのです!?貴方が何を知っている!?」『何です?この神官。私の事を許さないなどと。神が私の行いを認めて下さっているのではないのか?』


「神は犯罪を許さない。貴方は認められてなどいないわ!」


「私が犯罪をしたと!?そんな事はしていない!神の代わりに罪ある者達を粛正しただけだ!」『私は犯罪などしていない!』


「貴方はサイコパスね。狂人だわ」


「私を否定する貴方が犯罪者だ。粛正してくれる!」


 私に魔法で攻撃して来たのだろうが、指輪の自動結界に阻まれた。見えなかったから、風の魔法?

 その時、ラルドに雷が落ちた。目の前で建物の中なのに雷が落ちたのだ!

 ラルドが崩れ落ちた。動かない。気絶したようだ。

 扉で事を見ていた役人が腰を抜かしている。


 私は創造魔法で、浮遊魔法を造った。ラルドに浮遊魔法を掛けて、仰向けにさせる。顔に黒い模様がついている。今のは神罰?神の怒り?震えがきた。神様がご覧になっていたのだ。

 私を助けてくれた?運命神様、メンリル様本当ですか?私は右手の甲を見た。淡く光っている。包み込むような温かさを感じた。私は、ひざまづいて運命神様とメンリル様に祈った!ありがとうございます!本当は怖かったの。

 涙がポロポロ落ちてくる。ラルドみたいには、ならないと誓った。ラルドは盲目的に神を信じていた。でも、心が歪んでた。ラルドが殺した人に罪はあったのかもしれない。でも、私的に殺人はしてはいけない。その罪は自分の身に返ってきたのだ。



 少し落ち着いた私は、ラルドを浮遊させたまま、バインドを掛けた。

 腰を抜かした役人に声を掛けた。何故か震えられた。

 腰を抜かした役人にも浮遊魔法を掛けた。一緒に役場の1階に降りて行く。


 役人達が驚いた顔をしていた。言い争っていたのは聞こえたはずだ。


「誰か、この役人さんを介抱してあげてもらえますか?お願いします」


 近くにいた他の役人さんが恐る恐る、腰を抜かした役人さんの側にくる。浮遊魔法で床まで下ろした。


「街長のラルドは神の怒りに触れました!罪人の為、連行します!ラルドがいなくても、問題無く役場を回して下さい。領主から何か沙汰があると思うので」



 私は瞬間移動で王宮の前に出た。門番さんがまた驚いていたが、神の怒りに触れた罪人を連れてきたと言ったら、飛ぶように王宮の中に入って行った。


 私はラルドをバインドで縛って、浮遊魔法で浮かせたまま、誰かが来るのを待った。




 王太子殿下が来られた!罪人がいるって言ったのに!


「カヨ女伯。これはいささか想定外なのだが」『神の怒りって何してるの』


 あっ!読心きるの忘れてた。Offにして。


「黒幕を調べてたら大量殺人の自白を聞いてしまったので、指示していた人を問い詰めたら、雷が、神の怒りが落ちてきて、それで、どうしたらいいでしょう?」


 王太子殿下がため息をついた。


「黒幕は誰だったの?」


「町の隣りの街長ラルドでした。町長アクドの親類だそうです」


「また領主に手紙を出さないと。カヨ女伯、頑張ってくれたね。罪人は引き取るよ。神の怒りに触れた者だからね」


「ありがとうございます。縛る物がないので、ロープなどが欲しいんですけど」


「こちらで全てやるよ。君、ロープの用意を」


 王太子殿下が兵士に指示を出す。闇魔法と浮遊魔法を消して、ラルドを渡す。


「あっ!あと、ラルドは凄い自分が正しいと主張してくるので、騙されないようにして下さい。楽園とか言い出すので」


「牢番に指示を出しておくよ」


「派遣してくださった、王宮の兵士達はどうしましょう?」


「領主の代理人が来るまで、そのまま仕事をさせておいてもらえるかな」


「分かりました」


 私は瞬間移動で町まで戻り、王宮の兵士に領主の代理人が来るまで町で仕事するように伝言するのだった。



 カーマインのお屋敷に帰ったら、ノアに物凄く心配された。そういやガン泣きしてから、治癒魔法掛けるの忘れてた。腫れた瞼で王太子殿下の前にも出たのか。今さら恥ずかしい〜。





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[一言] 思ったことを勝手に感想しているだけなので 何ら問題ありません。 ただ、書き方は今後気をつけようと思います。 世界観大事だし。 でも頑張り過ぎてるカヨさんは心配。 胎教には凄く悪そうよね。 ス…
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