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ユーリア地方で活躍した人にドラゴン肉を

 私は翌日、被災地の役場で魔道具の漁船を買う人を募集してもらう事にした。


 役場の人は喜んでくれて、希望者を募ると約束してくれた。値段は被災地価格で漁船1つ金貨50枚。町長は、漁師さんが船を買う場合には、借金を無担保で請け負う事を決めた。


 漁師さんに通達するだけだから、明日の昼には希望者が集まると言い、その時間に来ると言い役場を出た。


 またアイテムボックスから漁船を出して、昨日行った場所まで来て、雷魔法を海に撃ち込んだ。魚がぷかーっと浮いてきたので、念動力で集めて鑑定を掛けて行った。

 昨日取れなかった魚もあるので、嬉しくなり、少し船を移動して、また雷魔法を撃ち込んだ。

 でかい魚が浮いてきたので、念動力で集めて鑑定してみると、生食出来る魚だった!感激して、これは屋敷で醤油をつけて食べる事にして、陸に帰った。



 それを見ていた漁師の人が「姉ちゃん良い船乗ってんなぁ」と声をかけて来たので「明日の昼に役場に行けば漁船が金貨50枚で買える」と教えた。おっちゃんは感激したように本当か確認してきたので、私が販売することを言うと「漁師仲間に言ってくる」と足早に去って行った。


 私は漁船をアイテムボックスにしまい、昨日行った炊き出しの所にまた差し入れをして、できた汁をもらい食べた。やっぱりおいしかった。もう一杯貰ってアイテムボックスにしまい、家を流された人達の新しい家の近くで、行商を開いた。


 服や食器など生活用品を揃えて販売する。キッチンに足りない物が多かったみたいで、結構売れた。まとめ買いしてくれる人が多かったので、こちらの通貨にまだ慣れていない私にはちょっと大変だった。

 お店をしまい、領地の屋敷に帰った。



 醤油を地球通販で買って、例の大きい生食出来る魚をアイテムボックス内で解体して、厨房に行き魚を出した。料理長に切ってもらい、醤油をつけて食べる。トロみたいでおいしい〜!!料理長にも食べてもらう。目を見開いて口をもぐもぐさせていた。今日の夕食に出してもらうようお願いして、厨房から去った。



 夕食の時間にノアとハグをして「今日の魚は私が取って来たの」と言い、料理長が食べ方を教えて、みんなで食べる。口の中でとろける感触にみんな幸せそうだった。これならお寿司もいけるかもしれないと思い、今度出してみる事にした。高級寿司は私も食べたことがないので楽しみである。


 食後ノアに美味しかったよと抱きしめられた。あら?もしかして私が求愛給餌したと思われたかしら?と思い出した。まぁ、間違ってはいないからいっかと思いハグ仕返した。





 次の日のお昼。役場には漁船購入希望者がたくさん詰めかけた。


 役人さんに手伝ってもらい、お金を貰った人は引き換え券を渡して端に寄ってもらい、借金をする人には役人さんが希望者に書類を書いてもらって、役場から購入代金を貰った。


 全員からお金を貰った所で、役人さんの先導で海まで行き、そこから地球通販で魔道具化した漁船を買い、その船が欲しいと思った人に引き換え券の代わりに船の鍵を渡す。同じ船は一隻も出さず、全部違う船を出した。最後の人は強制的に私が決めた漁船に乗ってもらう事になった。

 全員に翻訳した取り扱い説明書は渡したよ。魔石の隠蔽もバッチリさ。



 漁船が売れて、食料の自給自足が出来るようになったら、国からの食糧支援は終わりだ。災害がなかった頃のように生活していけるようになったから、ユーリア地方の災害はこれで終息した事になった。


 瞬間移動扉も取り外して、王家に売った。虹貨5枚だ。言った時は担当者さんが驚いていたなぁ。ぼそっと「もっと高いと思った」って言ってた。


 すまんな、貧乏人の根性が染み付いてるんだよ。虹貨5枚だって勇気を振り絞ったんだ。こんな高くて大丈夫かな〜って。



 災害が収束したお祝いにドラゴン肉を関係者の人に配ろうと、以前プイを採取した、ドラゴンの楽園に行く事にした。


 はぐれを狙おうと探知した場所に行ったら、可愛いドラゴンの子供がいたので、やる気を削がれて「勘弁してやるよ」と見逃した。どうして子供は可愛いのかね〜。


 次はやるぞと気合いを入れて大きな個体にターゲットを絞り、鑑定をする。マウンテンドラゴンね。大きいだけある。

 水魔法で水ましましでドラゴンの顔を覆った。暴れて木とかが倒れて怪獣大乱闘みたいになってたけど、ぴくりとも動かなくなってから、アイテムボックスに入れて解体したよ。肉の量が多いから楽しみだね!


 倒れた木は回収した。腐らせるより何かに使えるでしょ。



 あげる前に試食だよね!悪阻で肉はちょっとむかっとするけど、一欠片くらいなら大丈夫。

 料理長にお願いして少し焼いてもらったのを2人で食べた、やばい、口の中で肉がとろける!いままで食べたドラゴン肉が最高に美味しいと思ってたけど、常識を覆された。料理長も感動している。


 レッサードラゴンよりレッドドラゴンの方が美味しかった。今回はレッドドラゴンより大きなマウンテンドラゴンが美味しかった。大きな個体になるほどドラゴン肉は美味しいのかもしれない。


 今日の夕食にこのマウンテンドラゴン肉を屋敷全員に食べてもらう、と言ったら厨房中から『あなたは神か』って目で見られた。照れるなぁ。



 美味しい物はみんなで食べなきゃねと王宮まで行ったら、顔パスされた。この間の神託で顔が割れちゃったからね。仕方ない。王太子殿下が会ってくれるって話しだから、案内の人について行く。

 いつもの応接間で王太子殿下が迎えてくれた。


「カヨ夫人、今回のユーリア地方の災害は最後まで頼らせてもらいすまなかったね。家を建ててくれて、漁船を販売してくれた事で、王家の負担がずいぶん減った。ありがとう」


「いえ、勿体ないお言葉です。今日の用事はそのユーリア地方の災害に関わったすべての王宮の方にマウンテンドラゴン肉をプレゼントさせていただきたいと思い来ました。大人数で大変でしょうが、配るのを手伝ってはいただけませんか?もちろん王族の方から兵士まで」


「君はそんなに沢山ドラゴン肉を持っているのかい!?」


「はい。今日仕留めたばかりなので新鮮ですよ」


「君には常識が通じないね。驚いたよ。沢山ある肉でも、配ってしまえば無くなってしまうよ。売ったら凄い値段になる。素材だって、ドラゴンは血一滴だって無駄になることはないのに……だが、それが君の意向なら従おうじゃないか。私達にもご馳走してくれるんだろう?」


「はい!もちろんです」


 王太子殿下が案内してくれるそうだ。近衛の方に囲まれて厨房まで行く。


「料理長!カヨ夫人が、マウンテンドラゴン肉を今回ユーリア地方で活躍した面々にご馳走してくれるというんだ。人数分切り分けてくれるかい?凄い人数になるのだが」


「王太子殿下のご希望なら大変でも致しましょう。カヨ夫人ドラゴン肉はどちらに?」


「アイテムボックスの中に入っています。小さな丘くらいの量があるので少しずつ出していった方が良いかも知れません。全部出したら、この厨房が埋まってしまいます」


「ははっ、面白い事を言いなさる。さあ、どどんと出して下さい」


「分かりました。出しますね。少し大きいですよ」


 私は言われるままにドラゴン肉を机いっぱいに出した。


「まだまだあるので、無くなったら言ってくださいね」


 料理長は度肝を抜かれたように驚愕の表情だ。周りの料理人達も驚いている。


「コホン!驚くのも分かるが料理長、取り掛かってくれるかい?ひとまず今日王宮にいる者だけでいい。今日休みの者は明日渡す事とする」


「わかりました」


 料理長が指示を出して他の料理人が切り分けている。100人以上いる王宮の厨房を賄っているだけあるなあ。手際がいい。大きなブロックが小さなブロックになっていくのは、ちょっと面白い。お皿に乗せていっている。


「カヨ夫人また出してもらえますかな?」


「分かりました」


 私は同じだけお肉を机に出す。それをまた料理人が切り分けていく。なにこれ面白い。解体ショーを見てるみたいだ。「次を」と言われれば肉を出す。


 厨房に適当なお皿がなくなった事で終わりになった。魔物肉は常温で置いておいても、すぐには傷まないんだって、1ヶ月くらいは余裕で待つらしいよ。味は落ちるらしいけど。

 私は「足りなかったら教えて下さい。また来ます」と言って、王太子殿下とお暇した。料理長が「多分足りすぎですよ」と言ってたけど分からないからね。



 王太子殿下とまた応接間に来た。何か話しがあるらしい。


「カヨ夫人。マウンテンドラゴンは今日仕留めたと言ったね。ならドラゴン肉以外の素材は頭から内臓から血まで、すべて売って欲しい」


「あの〜私、ドラゴンの素材がそんなに貴重だと思わなくって、アイテムボックスにすべてあるんですけど、量が4頭分あるんですよね。どうしましょうか?」


「何!4頭分もあるだと!それはすごい!内臓や血は専門の者が扱わなければならない。準備が出来たら手紙を出すので来てもらいたい」


「分かりました。大量にあるので準備をお願いします。種類は、レッサードラゴンが2匹分、レッドドラゴンが1匹、マウンテンドラゴンが1匹です」


「分かった準備しておく。今日はありがとう。王宮中の者が喜ぶよ」


「戦友みたいなものですからね。お祝いは全員でしないと。私のカーマインのお屋敷も今日はドラゴン肉なんですよ」


「それはいい!きっと私も今夜ドラゴン肉を食べれるだろう!感謝する」


 いえいえありがとうございました。とお暇する。喜んでくれて良かった。あのお肉美味しかったもんなぁ、私も悪阻じゃなかったらお腹いっぱい食べたい気分。


 カーマインのお屋敷に戻ってティモシー君とウィル君と遊ぶ。「今日の夕食はドラゴン肉だよ」と教えれば「やったー」と無邪気に喜ぶ。ドラゴンよ尊い犠牲だった。


 食堂に移動するとお母様方、ティモシー君ウィル君がそわそわしてきた。2回目だから解るぞ。ドラゴン肉に反応してるんだ。待ち遠しいと思ってくれるのも嬉しいな。何よりそわそわしてる姿が可愛い。


 旦那様方も来てノアもすっごい反応している。可愛い。ドラゴン肉が並べられて、神に感謝をしたらいただきますだ。ノアが自分も待ち遠しいのに私に一口目をくれる。愛しい。「美味しいよ」と言えばニコっとして自分も食べる。愛しくて可愛い旦那様。私幸せ。





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