ノアを紹介
お兄様に瞬間移動扉があるから、セットして欲しい場所はあるかと聞くと、王都の屋敷と領都マルクスを繋いで欲しいらしい。
馬車の移動は王都にいる時だけか聞いたら、普段の生活やカーマイン領を視察する時も乗るらしい。
お兄様に馬車が置いてある場所まで案内してもらい。その横に王家に渡したのと違うデザインで効果は同じキャンピングカーを4台魔道具にして、購入した。目の前に出て来たので、驚いていたお兄様と中に入って見学する。驚いた時の耳が可愛いかったのは内緒だ。
お兄様に、これは馬で走るのではなく、魔石で走るのだと行ったら驚いていて、人が操作して動かすから誰かに教えなければいけないと言えば、御者の人を1人連れて来て、この人に教えてくれと言われた。
私は翻訳された取り扱い説明書を御者の人に渡して、車の中についている物の名前と役割を1つずつ教えていった。椅子の調節とミラーの位置を合わせてもらい、シートベルトは事故の時にあなたを救うから絶対閉める事と教えて、鍵も閉めてもらう。私は助手席に乗り、ゆっくり発進してもらった。
屋敷の前庭を走りまた同じ場所に止めれたので、とりあえずは合格だが、止まる時はゆっくり止まるように注意した。
今度はお兄様が助手席に乗るようだ。ゆっくり前庭を1周走っている。停止位置で止まったら、お兄様が興奮して降りてきた。これは凄い!揺れが少ない、眺めも良かったと。
お兄様は執事の人に指示して、側面にカーマインの紋章を入れるように言っている。
お兄様に瞬間移動扉が使えるのは、私が王都のカーマイン屋敷についてからだが、マルクスの瞬間移動扉はどこに付けるか聞いたところ、空き部屋に案内された。調度品に合った瞬間移動扉を創造して作り、部屋に一つセットする。瞬間移動扉のポケットに私の髪を入れて、おしまいだ。一応まだ使えないが、使い方をお兄様に教える。
終わったら、お兄様の執務室に案内されて、カーマイン家の紋章がついた身分証を渡される。「先日出来た物だが、君も貴族になるので持っていなさい。使う時がくるから」と言われたのでありがたく貰い。名実共にカーマイン家の一員になれた事に喜ぶ。
翌日はノアが仕事休みで、仕立て屋を呼んだので部屋でお茶をして待ちがてら、ノアの事を聞いていく。ノアは私とどこか触れ合っていたいのか、座りながら手を繋いでいた。
ノアは、生活魔法と風魔法と時空間魔法が使えるらしい。だから私が街に入った時にすぐ近くにいたのねと納得した。移動出来る範囲は領都の端から端までくらいだそう。
ノアの小さい時からの話しを聞くと、家族仲がよくのびのびと育ててもらったそうだ。貴族で跡目争いがなくなるように、特にお兄様と仲良くなるようにしてもらったみたい。成人になったら、王国中を旅して番いを探していたらしいが見つからなかったので、外国まで足を伸ばしたそうだ。ノアの苦労話しをごめんと思いながら聞いていた。旅から帰って来た時はほぼ諦めていたそうだ。それで私が見つかった時の家族の喜びか。
仕立て屋が来たので、大きめの応接間に案内された。ソファに座ると正面にいる人が自己紹介をしてくれた。仕立て屋のデザイナーさんだそうだ。ノアはデザイナーさんと話しがあるので、私は別室で寸法を測ってもらうらしい。
移動して、服を脱いでくださいと言われたのでブラとショーツを残して服を脱いだ。採寸するお姉様方はきゃーと興奮して、ブラジャーとショーツのデザインを褒めた。この世界にしたら、かなり攻めている下着だと思う。この世界ブラジャーはなく、ショーツはおへそまで隠れるおばちゃんパンツみたいな物だ。
何処かで普及しないといけないなぁと考えながら、体の採寸を受けた。細かい所まで測った所で終わり。元の応接間に行く。
ノアの方は終わっていたみたいで、仕立て屋の人達が礼をして帰って行った。
昼食を食べたら、ノアの部屋からカリオンの自宅に2人で行き、家の人に、結婚して旦那様が出来たと報告したら、みんなに驚かれたが「おめでとう」と言ってもらえた。そうだよね、驚くよね。ちょっと旅に出たら結婚して、獣人の旦那様を連れてくるんだもんね。わかる。
家のみんなに紹介が終わったら、次は孤児院だ。ノアと2人で手を繋ぎながらゆっくり歩いて行く。
なんでもないことが、幸せだと感じた。
孤児院に着いたら、院長を探知して、庭で子供達に魔法を教えている。院長に声をかけて私が結婚した報告と、ノア・旦那様の紹介をした。
院長は我が事のように喜んでくれて、祝福してくれた。周りの子供達も「おめでとう」を言ってくれた。
私は幸せな気分になり、小さな子供達がいる畑にやってきた。子供達を抱きしめたり、遊んでいたりしたら、ノアが妬いたのか後ろから抱きしめられた。私は笑いながら、子供達に別れを告げて、赤ちゃんがいる部屋に行く。
赤ちゃんが起きていたのでちょこちょこ構っていたら「カヨは子供が好き?」と聞いてきたので「大好き!」と答えた。ノアが「私達の子供が出来るように頑張るよ」と言ったので、ちょっと赤くなりながら「うん」と答えた。
手を繋いで歩く帰り道は、ちょっと甘い雰囲気だった。
ノアの部屋に帰り、夕食までノアの尻尾のブラッシングをして過ごした。顔をもふっと埋めると柔らかくて幸せになる。ノアがちょっかいかけてくるけど、「ダメ!」と言い、ふわふわな尻尾のブラッシングを続けた。
夕食の時間になり、食堂で食事をいただいた。相変わらず美味しい。量は多いけど。毎日残さず食べるからね。子供達はもう上手に食事ができてる。マナーが悪いけど、食事中をデジカメでパシャりと撮る。拙い可愛い食事風景が撮れた。お母様方が「あとで」とおっしゃっている。分かってますよ、独り占めしませんて。
食事が終わり、みんなでリビングへ。私が撮った写真とお母様方が撮った写真をプリントしていく。お母様方はお父様やお兄様に見せながら、アルバムに挟んでいく。私も、自分用のアルバムに入れて行く。可愛いは正義だ。
ほどほどの所で切り上げて、各々部屋に帰っていく。私もノアと手を繋ぎながらノアの部屋に行く。部屋に着いたら、ノアにベッドに押し倒された。ノアが言うには、私の知り合いに結婚した報告をしてくれた事が嬉しい。妬いたのでちょっと悔しい。最後のブラッシングで歯止めが外れかかっていたらしく、2人になったら我慢出来なくなったそうだ。仕方ない夫婦だからどんと受け止めましょう。その日のノアはしつこかった。
翌日、仕立て屋のお店に来ている。ブラジャーとショーツの見本を沢山持って。お店に入り、名前を出してお店の責任者を呼んでもらう。応接室に案内されて、責任者の方に紹介を受けた。コナーさんと言うらしい。
コナーさんにブラジャーとショーツを見せて、この2つをこの店で作り、2人で商業ギルドに登録しませんか?と話しを持っていく。
コナーさんは興奮して「一緒にいきましょう!これからよろしくお願いします」と言ってくれた。
さっそく商業ギルドに行き、魔道具化したミシンとブラジャー・ショーツを各大きさごとに登録した。商業ギルドの人に、ミシンの値段を決めて貰い。現物をギルドに置いて、コナーさんのお店まで戻ってきた。
コナーさんに初期費用だと、ミシンを1台渡して使い方を教えたら、もう3台欲しいと言われたので、3台は売った。1台金貨80枚だった。商業ギルドの人が値段を付けたので、それほど画期的だったと言う事だろう。
子供が付けるブラジャーから、胸の大きな人が付けるブラジャーまで、千差万別に置いていって、見本にしてもらう。ショーツもだ。サイズを教えていって、慣れてもらう。
1つブラジャーを解体して、ブラジャーに使う柔らかい布を解体したブラジャーと同じサイズで裁断してもらう。それを縫い合わせれば、同じブラジャーが出来る。
新しい商売が出来ると、コナーさんも大喜びだ。ブラジャーとショーツが売れる度に入ってくるお金は私もコナーさんも売り上げの5%だ。参考になるかならないかは分からないが、いろんなデザインの物を置いてきた。ホックの所が難しいらしいが、この世界の鍛治師の人に頑張ってもらおう。コナーさんに挨拶して、屋敷へ帰る。
昼食を食堂で食べて、男性陣を送り出す。そういや、買った果物があったと、包丁で切った所、中は虫が入っていた。美味しいのだろうが、もう死んでいる。私は種だけ取り出して、他は捨てた。野生だからこんな事もある。金貨30枚……。
ノアの部屋から自分の部屋に行き、大きめのプランターに土を入れて、真ん中に種を植える。魔力を注いで虫がつかないように創造しながら魔木にする。鑑定!
ーミポアの木ー
魔力を注がれて、魔木になった。実は甘く皮は食べれない。種も食用不可。
ミポアの実は皮が硬めなので切って食べる。甘さが増したまくわうりみたい!食感はちょっと違うけど、美味しい!収穫収穫。ルーフバルコニーの果物をたくさん収穫して満足だ。ついでにプイの恵みも作ろう。
錬金釜に材料を入れて、腕がだるくなるまで混ぜる。光れば出来上がり!容器を作って中に入れていく。半分は詰め替え用に劣化防止のケースを作り、入れておく。錬金釜にクリーンをかけて、アイテムボックスの中に入れる。
マジックバッグの特大を作り、もう一度果物を収穫して、マジックバッグに入れる。バッグを持ってマルクスの屋敷の厨房へ行く。料理長を呼んでもらい、マジックバッグ特大を料理長に渡す。時間経過がないから、腐らないよとバッグを渡し、中に入っている果物はいつでも使ってねと渡す。
料理長はこんな高価な物受け取れませんと言っていたが、私達の健康の為に受け取ってと無理矢理渡しておいた。これで料理が今よりもっと美味しくなるだろう。
夕食になった。ノアとハグをして、食卓につく。いつもの美味しい食事がでてくる。うまうまと食べて、そういや、家族はマジックバッグを持っているのだろうか気になった。みんなに持っているか聞いたところ、家で共同のマジックバッグが1つあるだけらしい。みんなにマジックバッグをいるか聞いてみたら、全員欲しいらしい。
食事後にリビングに行き、地球通販を出してお父様からバッグを選んでもらった。渋めのボストンバッグだった。アイテムボックス特大を掛けて、お父様に渡す。凄い嬉しそうだ。次はお母様。可愛らしいピンクの掛けカバンを選んでいた。アイテムボックス特大を掛けて渡す。こちらも嬉しそう。次はお兄様だ。キッチリした格好の時も持ち歩けそうなカバンを選んでいた。アイテムボックス特大を掛けて渡す。満足そうだ。次はライラ様。ライラ様は実用で使える女性らしいシンプルなデザインのバッグを選んでいた。アイテムボックス特大を掛ける。子供達はまだ早いからなし。物を預けたい時は、ライラ様に渡すことになった。
解散してノアと手を繋ぎながら部屋に帰る。ちょっとノアは拗ねてるみたい。「私だけのプレゼントだったのに」とソファで私を抱えながら口にしている。創造魔法でノアと私のデフォルメしたぬいぐるみを作り、ノアに渡す。可愛らしさに顔が綻んだ。「笑ってるノアが好きだよ」とほっぺにちゅうする。ぬいぐるみをソファに置いてお返しに瞼にちゅうしてくれる。幸せ。




