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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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領都マルクスでの治療

 甘々なノアとの蜜月も終わり、領都での治療当日。


 屋敷から馬車を出してもらい、私は役場の1階にいた。椅子と机と箱を用意して、役人さんのポジションもチェックする。治療の開始だ。

 ノアは休みなので、一緒に来て私の後ろに立っている。髪の毛をいじっているが、今日は無視だ。患者さんに向き合う方が大事だから。


 季節風邪の人がやはり多い。でも、領都に住んでるだけあってガリガリに痩せてる人は見かけない。それとも、お兄様の統治がいいのか。


 今日は早めに患者さんを捌かないといけない。今まで治療した所より、人が1番多いのだから。

 銀貨を渡したら、すぐに治療する。患者さんは歩いてるだけで病気が治る。たまに担架で運ばれて来る人は治療に時間をかけて、おにぎりを渡す。子供達にはクリムを渡す。

 今回は孤児院に行けなかったから、孤児院の子供が来たみたいだ。獣人は愛情深いから、そんなに人数はいない。孤児院の子供達は足が変形してる子が多いから、その子には靴をプレゼントする。治療に手は抜かない。1人に1つ果物をあげる。かわいい。抗議するように髪を引っ張られるが、関係ない。ノアは大人しくしておいて!子供にヤキモチ妬かなくてもいいのに。


 お昼になってきたので、おにぎりをノアに渡す。後ろで静かに食べているようだ。私もおにぎりを食べる。でも治療は続ける。

 大体、この領の病気の傾向が見えてきた。季節風邪か障害か先天性の身体の欠損だ。怪我は色々あるけど。今まで治して無かったけど、銀貨1枚なら治療を受けてもいいかなって人が結構いる。そんな人はささっと治す。

 ノアは私が手甲を着けているのが、気に入らないらしい。番いを自慢したい気持ちがあるのだろう。暇があれば取ろうとしてくる。まぁ避けるが。でも屋敷では、手甲を着けていないので噂が広まるのも時間の問題かもしれない。

 ノアが後ろに立っているせいで、私が誰かバレバレだ。番いじゃない女性の髪なんて弄らない。


 治療は夜中まで続いた。これでも効率よく治療出来るようになって、この時間だから仕方ない。

 恒例の果物入りバスケット配りだ。みんなに「ありがとう」と渡していく。渡し終わったら、お金を回収して家に帰る。ノアと手を繋いでだ。


「ノア、遅くまで付き合ってくれて、ありがとう」


「カヨの為ならなんだって出来るさ」


 ぎゅっと手を握ってくれる。人に頼るってこんなに安心するんだ。嬉しく感じながら2人で家に帰る。光魔法の玉を前方に飛ばして。夫婦だけど、今が1番恋人してるって思える。夜にお散歩デートとかベタだけど。


 屋敷に帰ったら、みんなおやすみしてる。ノアと2人でダンテが作ってくれた食事を食べて。寝室に行き眠る。何もしない夜は穏やかで、安心できる。2人寄り添いながら、おやすみ。






 今日から仕事のノアは早起きして、おはようのキスをして部屋を出て行った。見送った私は二度寝する。心が満たされていて、気持ちのいい眠りだ。


 起きたら、食堂に行ってみんなと食事をとる。お兄様から、お褒めの言葉をいただいた。ノアと2人でした事ですと返す。お兄様はご機嫌だ。

 午後からはティモシー君とウィル君と中庭で空を飛び遊ぶ。お母様方から許しが出たのだ。ウィル君の手を握り、ティモシー君を追いかけ追い越し、空を飛ぶ。ウィル君は放っておいたら、ぷかぷか浮いて空高くまで行ってしまうから手を握っておかないと危ないのだ。飛ぶだけで嬉しいみたいだが。


 2人が疲れてきたら、部屋に帰り、お昼寝。私は寝顔を見る。可愛い。ノアとの間にもこんな子出来るかな?考えて、頬が熱くなった。私、子供産む気まんまんだ。ノアに似た子供。どれだけ可愛いだろう。


 気分を変えて地球通販を開く。動物用のブラシを検索。いっぱいあってどれが良いか分からない。とりあえず口コミが良さそうなのを買おう。ノアにブラッシングしてあげるんだ。


 地球通販で子供服を見る。ティモシー君とウィル君に似合いそうなのは……沢山あって迷うな。気に入らなかったら、孤児院の子供達に着てもらえばいいし、買っちゃおう。無駄にはならない。でも、尻尾が問題だよね。ライラ様が来たので、地球通販をライラ様にも見えるようにして、服を選ぶ。尻尾の部分は侍女に頼んで穴を開けて針で縫ってもらうんだそう。手間かけてるなぁ。

 2人できゃいきゃい選んでいると、おねむだった子供達が起きて来た。ボウの乳をあげて、水分補給させてあげる。元気になったら、私とライラ様の着せ替え人形だ。きゃーかわいいー!天使に着せ替え出来るなんて、恵まれているー!この騒ぎにお母様も来た。3人で子供達に構う。

 そういや、お母様方にプイの恵みあげてないな。忘れ無いうちに渡しておく。


「これプイの恵みって言うんですけど、肌にいいので使って下さい」


「あらいいの?ありがとう。何処の物かしら」


「私の店で販売している物です。人気なんですよ」


「ありがたく貰いますね」


「いいえー」


 お2人に渡せたし良かった。メイドさんが食事に呼びに来たので、みんなで行く。

 食堂に入ったらノアが「会いたかった」と抱きしめてきたので、抱き返す。すっかり慣らされちゃったなぁ。ほどほどの所で椅子に座る。

 料理が出て来たので、温かいうちに食べる。美味しい。幸せだなぁ。素敵な家族と旦那様。理想の家族。運命神様、メンリル様ありがとうございます。






 翌朝、起きたらノアはまだ寝ていたので、今のうちに頭を触る。耳を触ったらあまりのふわふわ感にため息が溢れる。夢中で触ってたら起きたみたいで、おはようのちゅうをして来る。さあ着替えて朝食だ。


 家族のみんなに朝の挨拶をして、席に着く。出て来た朝食を食べようとすると、サラダを刺したフォークを口の前に出された。ぱくりと食べて、お返しに果物をノアの口元に持っていく。食べてくれたので、これで終わり。1日に1回は給餌がある。愛情を確かめてるのかな?


 男性陣を仕事に送り出して、ティモシー君は午前はお勉強。ウィル君はお散歩と魔力訓練。お母様方はその日で予定が違う。

 私は今日こそ孤児院に行く。お母様に孤児院の場所を聞いて、歩いて行く。屋敷と領主館が横並びに建っているから、男性陣はいつも昼食に帰って来れる。


 歩いて行くとチラチラ見られる。私がノアの番いだと街の人は分かっているのだ。高級住宅地を抜けると、高所得者を相手にするお店が並んでいる。そこも抜けて富裕層の住む住宅地にでる。そこも、抜けると一般的な民が住む場所になる。ここに孤児院が建っているんだ。

 マップに従い歩いて行く。孤児院が見えた。普通の家よりちょっと大きいくらいの、子供が運動する庭がある家だ。


「ごめんくださーい」


「はーい、ちょっと待ってくださーい」


 家の中から声が聞こえてきた。中年男性の声だ。


「どちら様で……」


 顔を見たら、固まられた。


「私カヨと申します。寄付と子供達と遊ばせてもらえばと思いまして」


「はい!カヨ様どうぞ中に!」


 凄い歓迎された。やっぱり私の事知ってるんだ。手間が無くていいけど。孤児院の中に迎えられ、男性についていく。午前中は年長の子供達が勉強をしているらしい。実子が1人立ちしたので、夫婦で孤児院を運営しているようだ。私は小さい子供達が居る場所に案内される。

 旦那さんは昼食の支度があるので、部屋には子供達と私だけだ。小さい獣人の子供達かわいい〜!

 1人1人ハグしていく。可愛いくて仕方ない。ちょっと戸惑っているみたいだけど、ハグするとハグを返してくれる子もいる。そんな子は他の子よりも長くハグしてしまう。一通り体温を分け合ったら、一緒に遊ぶ。どうして、ケモ耳ついているだけでこんなに可愛くなるんだろう?ノアの耳を触っているから禁断症状は出てないけど、可愛いよね〜。


 そういや、ノアに何の獣人か聞いたらホワイトオオカミだって言ってた。犬より耳がもこもこしてると思ったんだよねー。


 あー、子供達かわいいっ!私は地球通販で履歴から前に孤児達の為に買った服などを大量買いしていった。目の前に沢山出て来たから全部アイテムボックスの中に入れた。子供達は驚いていたけど、また遊びだすと、一緒に遊んでくれた。午前中いっぱいまで子供達と遊んで、旦那さんが昼食を食べていって下さいと言ってくれたので、お言葉に甘えて一緒に食べた。優しい味がした。

 午後からは子供達に服などを支給するので、奥さんに手伝ってもらい、1人3着ずつ配った。子供達は解散して、旦那さんと奥さんに質問表の質問を答えてもらった。善人な夫婦で全問正解していた。魔法が使えたら何を使いたいか聞くと。


「俺はアイテムボックスが使いたいです」

「私は、治癒魔法が使いたいです」


 と教えてくれた。私は2人にアイテムボックス大と治癒魔法を付与した。苦しがっている所を鑑定し、奥さんは魔法の適正が無く、旦那さんは生活魔法と風魔法の適正があったので教える。『初めての魔法』の本を渡して、子供達に魔法を教えてあげて下さいとお願いした。心良くいい返事がもらえた。

 最後に寄付金を渡して、お暇した。


 今回の孤児院もいい所だったなぁ。


 屋敷に帰るとお昼に会えなかったとノアにごねられ、構い倒したのだった。



 

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