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獣人の番い 3 スピード結婚

 翌朝、朝?に目が覚めたら、夜の事が思い浮かんだ。左を見ると元凶が寝ている。

 私はすっぽんぽんで横になっている。完璧に流された。噛み癖と舐める癖があるのか、全身やられた。

 今の私に恥ずかしい事はない。右手の神官の印も見られた。なんかちゅうされたけど。

 悟りを開いた僧侶の気分だ。番いってのは諦めたつもりでいたけど、私って結構ちょろいんだな。いや、前世から分かってはいたけども。

 それにしても出会って初日で夜這いってどう言う事だっての。手が早い。早すぎる。

 神様が選んでくれたんでしょ。神様ー。

 痛い関節を無視して起きあがろうとすると、後ろから手が伸びてきて抱きしめられた。起きてたんかい。右手を取ってちゅうされる。


「おはよう、カヨ」


「おはようノア」


 声がガラガラだ。名前呼びは昨夜おもくそ呼んだからね。諦めた。


「君は神が私の元に届けてくれたんだね」


「いや、そんな事は……」

「愛してるよ、カヨ」


 朝からもう1ラウンドかーい。ちーん。









 お昼近くに起きだす。引き留めてくる手を無視しながらクリーンを掛ける。

 ノアは複雑な表情をしている。ノアの匂いをつけた私がいいんだってさ。変態か。それとも、獣人の特性?わからん。そんな匂いさせて外に歩いたら鼻のいい獣人に宣伝して歩いてるようなものだ。

 ノアも諦めたのか服を着始める。お互い無言だ。私は手甲をつけて着替え終わりだ。それにしても、今からキラキラ家族に会うのか。気が重い。

 ノアがエスコートしてくれるので、ついて行く。


 食堂に行ったら、みんな、笑顔で迎えてくれた。何か恥ずかしい。急いでドリンクを飲む。喉が凄い乾いてたんだよ。身体が喜んでるのが分かる。メイドさんが笑顔でおかわりを注いでくれた。ありがとうございます。

 それまでノアは私の髪を触っていたけれど、お父様に一言、言われてしぶしぶ離してくれた。

 私も昼食食べよう。お腹空いてるから、ボリューミーな料理もペロリと食べてしまう。このお腹の空き具合なら食べれるわけね。


 ノアは今日の予定を聞かれていた。今日から一週間、お休みを貰ったらしい。


「カヨと教会で結婚しようと思います」


 何おうー。私の予定聞かれてないし、決定事項を話しているみたいだ。今更、逃げないけども。私の意思を無視されると、ちょっと嫌な気分になる。昨日の今日でスピード結婚かぁ。恋人期間の短い事。ノアは私に甘々だけど、かなり強引なんだよね。所作が柔らかいから騙されそうになるけど。

 あっ、料理長、果物出してくれてる。嬉しい、綺麗に盛り付けされている。技術の違いだよなぁ。


「私達もついて行きます」


 お母様方が言った。立ち会いしてくれるらしい。ティモシー君とウィル君も付いてくるのかな?見学するならいい経験になるかも。


 昼食が終わったら、馬車を準備してくれて私とノアと立ち会いしてくれるお母様方とティモシー君とウィル君が乗った。ウィル君はおでかけにご機嫌だ。

 私は窓から見える景色に夢中だ。獣人が、凄い沢山いる。赤ちゃんを背負って歩いている女の人がいる!獣人の赤ちゃん可愛い。小さい耳がラブリーだ。

 ノアが腰を抱いてきた。無視だ無視。私は景色を見るのに忙しいんだ。強引に上半身が引っ張られて口付けされる。ティモシー君がきゃあと言ったのが聞こえてくる。馬車の中でやめてよね!体格が違うから覆い被さるようにされる。う〜息苦しい。満足したのか、ノアが離れて行った。正面を見ると、ウィル君がライラ様に口を突き出してちゅうしようとしている。真似してるんだろうけど、かわいい。

 私は諦めて、ノアの片腕にもたれかかるように座った。まぁ、今から結婚する女性の態度では無かったかもしれない。でも仕方ないじゃん。昨日は街見れなかったんだよ。馬車から見る景色も新鮮だし。ちょっとお尻痛くなってきたけども。


 少し他より立派な教会についた。ノアが案内してくれる。用件をシスターに言い、シスターが先導してくれる。手順を説明してくれて、あとは教会の奥に案内される。なんだか、静謐な所に来た。小神殿があるのだろう。水の流れがどこからか来て涼しい。もう小神殿に入ったんだ。私が転生した時にいた部屋のようになってきた。今なら分かる。魔力の煌めきだ。ノアが中心で止まった。私も止まる。


「神々よ。私、ノアール・カーマインは番いのカヨを得て、結婚の儀式に来た!今より一生伴侶カヨを愛する事を誓う!」


 次は私とノアが促す。何を言えばいいのよ。ああ〜!


「神様方、私カヨは神に導かれて、生涯の伴侶ノアール・カーマインに出会いました。一生を共に生きていくことを誓います」


 こんなんでいいのかな?なんか上からキラキラした光が降ってきた。神の光だ。光の量が多くなる。ぎゅとノアにしがみついた。ノアは抱きしめてくれる。左の鎖骨と胸の間が熱くなってきた。光の量もピークだ。弾けるように光が霧散した。私は服を襟から捲って、熱くなった部分を見る。右手の甲と似たような印がついていた。これが結婚の印か。

 ノアが顔を近づけて胸の印にキスをする。なんだか神聖な儀式みたいだ。ノアが胸元をはだける。印が見えた。私と同じ印みたいだ。私も顔を近づけてノアの胸にキスをする。ノアにぎゅっと抱きしめられた。ノアは泣いているようだ。私と結婚出来てそんなに嬉しいのかな?何だか胸がキュンとしたので、ノアを抱きしめ返す。しばらくの間、お互いを抱きしめあっていた。

 小神殿から出ると、見学していたお母様が泣いていた。ライラ様と子供達はキラキラした目で見てきて、「おめでとう」と祝福をしてくれた。「ありがとうございます」と返す。ノアも結婚した事で落ち着いたのか、柔らかく手を繋ぐだけで満足しているようだ。

 ノアが片手でお母様を抱きしめた。お母様は感激してしまったようだ。私もこの世界で近親が出来た。嬉しくなってくる。自然と笑顔になっていた。ノアが私の顔を見て微笑んでくれた。嬉しい。ティモシー君が私に抱きついてくれた。抱きしめて頭を撫でる。あっ耳触っちゃった。幸せな感触がした。遊んでると思ったのか、ウィル君がティモシー君に抱きついた。ああ可愛い。結婚したんだなぁ、私。


 落ち着いたら、シスターにお布施を渡して馬車に乗り込んだ。行きと違って、ノアは私の手を握っているだけだった。


 屋敷に帰ったら、結婚の印をみんなに見せて、お父様とお兄様に「おめでとう、これで我が家の一員だな」と言われて、鼻がツーンとした。私の名前は、カヨ・カーマインとなった。


 お母様がお父様に抱きついて、どんなに素晴らしかったか話している。いいなぁ、私もあんなふうに歳をとりたいなぁと見てると、そういや私、歳取らないんだった。

 お兄様とライラ様もイチャイチャし始めたし、収拾つかなくなってきた。子供達も大人の真似をしている。可愛い。

 私もノアに抱きしめられた。大きい胸板が頼もしく感じる。私は結婚する前とは違う気持ちで幸せを感じていた。


 その日の夕食は豪勢だった。リンダのケーキは私が提供したけど、残りのドラゴン肉が料理されていて、また美味しく食べられた。私は、昨日からのカーマイン一家の肉に対する執着から、肉食獣かと当たりをつけている。ケーキは子供達に好評だったよ。


 今日から部屋はノアと一緒の部屋らしい。やだ、夜と朝の事が浮かんでくる。もう照れないと思いながら照れていればわけない。

 ノアに真面目な話しがあると、ソファに座ってもらった。私はノアの膝の上で向かい合わせだが。この体勢は納得いかない。が、話しをするのだ。

 私が転生されるまでの事、転生して運命神様と眷族メンリル様に沢山の能力をもらった事、まだ転生して1年もたっていない事、私が孤児院と人の病気を姿を変えて治している事。ノアは真面目に聞いてくれた。今まで、変身した姿を見せて欲しいと言われたので、ツブラと真面目な治癒師に変身してみせた。

 ノアは獣人なら、姿を変えても匂いで分かると言った。やっぱり獣人油断ならない。この領都では変身しないで、治療しようと決めた。

 ちょっと思いついて、獣人に変身してみた。ノアが固まった。耳を触り尻尾を見た所で、私が獣人になったら猫獣人になるんだと納得した。確かに猫っぽい性格かもしれない。素早くノアに捕獲されて、ベッドに押し倒された。どうしたのか聞くと、獣人に変身した私が可愛くて仕方ないらしい。鼻も良くなっているようで、ノアの身体から良い匂いがした。今夜は初夜だからいっかと思いノアの好きにさせた。







 翌日は、やっぱり昼まで起きさせてくれなかった。ノアが私の能力を自慢したいと言うので、家族だけにしてもらった。


 食堂で獣人に変身してくれと言われたので、変身すると食堂は驚きに満たされた。ノアは私が神官であるとバラして、カーマイン一家に見せて見せてと言われて見せた。何の神様か聞かれたので運命神様だと言うと、お母様方が、やっぱり2人は運命に導かれた番いなんだわと言って盛り上がっていた。


 私はお兄様に、紹介状を渡して読んでもらった。お兄様は領主の顔をして、本当に出来るのか確認してきた。自信を持って出来ると言い、協力して欲しいとお願いする。「分かった」と言ってくれて、3日間で準備すると約束してくれた。


 やっぱり偉い人に話しを通すと早いと思った。ノアが抱きついてきたので、どうしたのと聞けば、私と過ごす自分の休みの1日が、取られると拗ねていた。ごめんねとノアを甘やかす。休みの間は出来るだけ一緒にいてあげる事にした。





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