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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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猛るバルガスと果物

 翌日、カヨは大寝坊していた。起きたのはお昼だ。


 寝ぼけた頭のまま、いつものルーティンをして、ダイニングで遅い朝食を食べる。今日はパンの気分だったので、パンと目玉焼きとサラダのセットだ。もちろん地球通販で買った食事。おいしい……。二度寝したい。

 今日は欲望ダダ漏れだ。疲れが1日で取れてないから仕方ない。


 食事が終わったら2階に戻って、ベッドでゴロゴロする。1人だから出来る贅沢だ。

 ゴロゴロしてたら頭が起きてきた。ついでに昨日の夜、後回しにした問題が浮かんできた。

 『神官の印』のことだ。私は右手の甲を見る。


 神官の印を消したければ、神様へ祈らなければいいと思う。

 でも私は、この世界に運命神様とメンリル様のおかげで沢山の能力を貰って、転生させてもらった。力を使うたびに感謝している。今更、力を使わないなんて出来ない。無意識に感謝してしまうのだから。

 祈る事をやめられないのなら、罰当たりかもしれないけど隠すしかない。


 私は地球通販を開いて、手甲で検索する。たくさん種類が出てきた。女性用の余りごつくない、付けていても違和感の無さそうな物を選ぶ。

 出て来た手甲を右手に付ける。初めて付ける物だからか若干手首から腕のところに、締め付けられる違和感があるが、慣れたら気にならないだろう。


 手甲に劣化防止を付与する。これで千切れさえしなければ、右手の甲に印があるなんて分からないだろう。念の為の予備を買い、アイテムボックスに入れておく。



 昨日はたくさんの人が私に協力してくれて、役場の人・兵士の人と一緒に、怪我人・病人を治療していった。治療した人達には喜んでもらえたと思う。私は、やり遂げた達成感があった。まだ昨日の疲れは抜けていないが、満足感はある。

 健康になったらなったで、新たな問題が出てくるだろうけど、だけど怪我や病気で苦しむ事はないだろう。


 私は人に必要とされたい願望がある。自他共に認める寂しがり屋だ。前世で指摘されたし、自覚もある。今日みたいに疲れが取れなくても、また同じことをする予感がある。街長も紹介状書いてくれたし。


 孤児院に行って子供達に癒されて、住んでいる人達の怪我や病気を治す。これを私のライフワークにしていこう。

 結局誰かの喜ぶ顔がみたいんだ。私だけ幸せで、周りの人は不幸だなんて楽しくない。皆で幸せになるんだ。



 結局、私は二度寝してしまったらしい。起きたのは夕方だ。疲れも取れた。


 1階に行き、風呂場にクリーンを掛ける。夕食何食べようかな?ダンテの食事が恋しくなってきたから、ダンテが作り置きしてくれた料理を食べよう!


 ダイニングで、もぐもぐ食べる。そういや冒険者ギルドで買った果物があったな。アイテムボックスから出して鑑定する。


 ークリムの実ー

 森林に生える木になる実。酸味があるが皮ごと食べれる。栄養価が高い。種は食用不可。


 なるほど、酸味って事はすっぱいのかな?かじってみる。うん、確かに酸味があるが柑橘系のすっぱさだな。食べた後は清涼感があるし、野菜としても果物としても食べれそう。栄養価が高いのはいい事だ。ルーフバルコニーに植えようかな。散髪屋で出すには甘みが低い。不採用だ。


 私は食事を終えて、食器と自身にクリーンをかける。食器とクリムの種をアイテムボックスにしまい、2階に行く。


 2階の大きいソファに身体を沈める。地球通販を開き、おにぎりを大量買いして包装を剥がしお皿に並べていく。どんな時でも準備は大切だから、過剰なくらいおにぎり皿を作っていく。

 今回の事で果物を大量放出してしまったので、また収穫しなければいけない。果物は人気だ。皆が喜んでくれる。


 もういいかと納得出来るところで終わり。

 昼寝をたくさんしてしまったからまだ眠気はないけれど、もうそろそろ寝なくちゃ明日に響く。


 寝室に入り、おやすみの音楽をながす。心が緩んでいくようだ。今日は頑張らない私だったけど、明日からまた旅の開始だ。楽しい事が待ってるといいな。









 おはようございます。いい目覚めです。

 ダイニングで朝食を食べる。今日は納豆ご飯の気分。生卵を入れて混ぜるとボリュームが出るから、味のりで納豆ご飯を巻いて食べる。たまに食べるとすっごく美味しく感じる。醤油をちょい足しするのがポイント。美味しいんだなこれが。

 前世で父親に食べさしたらトイレから出て来なかったけど、あれは体質だと思う。納豆は好き嫌いがあるからね。


 旅装に着替えて、そっと異空間住居から出る。誰もいないね。瞬間移動でルーフバルコニーにいく。

 まずは、りんごの種とクリムの種を植えるために、大型のプランターを用意する。クリムの木がどんな大きさになるか分からないからね。

 場所を決めて、生ゴミ処理機から出た土をどんどん入れていく。ちょうど良いくらい土を入れたら、クリムの種を真ん中に植える。

 創造魔法で、虫がつかないように祈りながら魔力を込めていく。沢山魔力が吸い取られるのが経験で分かっているので、自分からじゃんじゃん魔力を種に注ぐ。芽が出てきたら魔力を注ぐのをやめて、クリムの成長を見守る。木の高さは2mくらいで止まり、葉が広がり実がなる。木を鑑定する。


 ークリムの木ー

 急激な魔力で成長したせいで魔木になった。魔力で育つ。魔力がなくならない限り枯れない。実は酸味があるが、ほのかに甘い。皮も食べれる。栄養価が高い。種は食用不可。


 無事に魔木になった。これまでの経験からすると、実がおいしくなっているはず。収穫鋏で1つ切り、実にかぶりつく。酸味と甘みのバランスが良くなっている。食べた後の清涼感は無くなっていない。これは果物として美味しいんじゃない?散髪屋に採用!


 りんごの種も同じように植えてみた。無事に魔木になり、実に蜜が凄い入っていてりんごってこんなに美味しかったんだとびっくりした。

 クリムとりんごを食べて私のお腹がはち切れそうだよ。


 果物を順番に沢山収穫していった。実を丸坊主にする勢いだ。空気中に魔力があるから、すぐ実がつくんだけどね。飛行魔法も駆使して、午前いっぱい収穫した。

 お腹は果物でいっぱいだから、昼食は食べない事にする。



 瞬間移動でイワンの街、近くまで戻って、自分にインビジブルを掛ける。飛行魔法で飛んで、行った事の無い道を進む。

 ちょっと街道に森の木がかかってきたぞ、邪魔だなぁ。


 誰もいない事を確認して、道にかかってる木を風魔法で切っていく。見通しも良くなるし、通り道が広くなるのもいい。切った木はアイテムボックスの中に入れていく。何か使い道があるでしょ。


 2時間くらい作業して、納得したところでまた飛んで行く。森がきれたら草原みたいな所にきた。なんか猛る牛みたいな魔物がいる。街道近くにいていいものなの?ちょっと疑問に思ったので、牛?を鑑定して見る。


 ーバルガスー

 魔物。集団で行動し、獲物を見つけたらツノで串刺しにして貪り食う。凶暴。肉は美味。


 鑑定の最後に食べれるか書いてあるのって、私の願望が鑑定に出ちゃってるのかな?とにかく危ない魔物なのは理解できた。こんな所にいちゃいけない魔物だ。


 バルガスの上空に飛んでいき、数十頭いるバルガスの顔に水魔法を飛ばして水で包む。いっせいに脚をとめ、首を上下左右に振り回すが、さっきまで猛スピードで走っていた為に酸素が足りないのか、すぐに倒れていく。私は慎重なので、動かなくなってから近づくよ。


 ピクリともしなくなってから魔法を解除して、まとめてアイテムボックスにしまう。さっきの地響きがウソのように穏やかな草原になった。


 私はマップで他に敵対反応が無いか見る。

 大丈夫そうなので街道に戻り、また道を飛んで行く。草原を抜ける前に大勢の兵士とすれ違った。もしかしたら、バルガスの討伐に来たのかもしれない。ごめんなさい。私が退治しました。肉は美味しくいただきます。


 また街道を飛んで行く。村が見えた。寄り道だ。村の中に入ると獣人と人が半々くらいで、暮らしていた。村人の表情も穏やかだし、子供も元気に遊んでる。いい村だなぁ。子供の近くにいたら、獣人の子が顔をキョロキョロし始めた。どうしたんだろう。周りの子も気になったのかその子に声を掛けている。


「どうしたんだよーダリアン」


「何か甘い匂いがする。美味しそう……」


 いきなり駆け出して飛んでいた私の足を掴んだ。


「ここに何かいる!甘い匂い!」


 ウソ!インビジブルで姿を消しているのに、私がいるってわかったの!?

 他の子も集まってきて、獣人の子たちが私に触り出す。


「ホントだー!何かいる!」


「甘い匂いがするー」


 人族の子供達は分からないみたいだけど、獣人の子供にこんなに掴まれたら逃げられない。

 私はインビジブルを解いた。いきなり現れた私にびっくりしたみたいで、子供達が離れていく。飛ぶのをやめて地面に足をつく。


「こんにちは、驚かせちゃったかな?」


「驚いたよ〜!誰だよ姉ちゃん!」


「カヨって言うの、よろしくね。甘い匂いって何かな?」


「おいしそうな匂い〜お姉ちゃんからするの〜」

「うん、おいしそう!」

「よだれが出てくる匂い」


 午前中に果物収穫してたからそれの匂いかな?アイテムボックスから白桃を出してみる。


「この匂い?」


「そう!それー!」

「もっとふくざつな匂いがするけど、それも!」

「おいしそう〜」


 子供達に一つずつ白桃を渡す。


「皮を剥いて食べてね。そのままでも食べれるけど舌触りが良くないから」


 子供達は素直に皮を剥いて、かぶりつく。


「んめー!」

「おいしー!」

「んーーー!」


 子供達が幸せそうだ。

 村の大人が騒ぎを聞きつけて、やってきた。


「お前達どうしたんだ、そんなに騒いで……うん?いい匂いがする」


「あーとうちゃん!これ食べてみて!おいしいよ!」


「おお、そうか、ありがとな……うめー!!」


「おいしいだろ?姉ちゃんがくれたんだ」


 私はお父さんにも、白桃を渡す。


「カヨと言います。お一つどうぞ」


「あっ、ありがとうございます」


 食欲には勝てなかったようだ。私はまな板と包丁を取り出し、スイカを切る。なんか、このままじゃ終わらない気がしたのだ。

 やっぱり他の村人が来た。


「どうしたんだよお前ら、ん?知らない人がいるじゃないか」


「カヨ姉ちゃんがうまいもんくれたんだ!」


「お一つどうぞ」


 私は切ったスイカを渡す。


「あーこれはどうも。うめー!」


「カヨ姉ちゃん、それも食べさせて!」

「私も」「僕も!」


 僕も私もと、我も我もと来るのでスイカを渡していく。


「はい、みんな落ち着いて食べてねー」


 もう仕事終わりなのに、旦那や家族が帰って来ないから、村の奥様方が来たようだ。


「貴方!何で帰ってこないんですか!」


「いや、おいしい物がな、あってな」


 何故だかスイカを貰うのに列が出来ていた。ここの村人はノリがいいのだろうか?私は村人が満足するまで、スイカを切り続けた。

 辺りが暗くなって来た。果物に興奮していた村人達も我を取り戻し、カヨに声をかけ去って行く。


「ありがとな」

「おいしかったよ」

「ありがとう」


 私は手を降り村人達に別れを告げる。服がくいっと引っ張られた。


「カヨ姉ちゃん、今日泊まるとこあんの?」


「心配してくれたんだね。ありがとう。泊まる所はあるから安心して。これあげる」


 心配してくれた優しい子供にメロンを渡す。ちょっと重いかもしれないけど、おいしいからね。


「ありがとう!またね!」


「うん、ばいばい」


 クリーンをまな板と包丁にかけて、アイテムボックスの中にしまう。村の外に向かって歩き出した。


 足を掴まれた時はどうしようか焦った。獣人がそんなに鼻がいいなんて思いもしなかった。この先は獣人がいるのかな?獣人やエルフやドワーフは固まって暮らしてるって教えてもらった。いるんだろうな。明日からは、もっと上空を飛ぶ事にしよう。


 村の人に全然警戒されなかったな。子供達も懐っこかったし。この村大丈夫かなぁ?


 飛行魔法で村から離れて、村が見えなくなったら異空間住居に入る。クリーンを掛けて、ダイニングに行く。地球通販でオムライスを買い食べる。昼は果物で腹持ちが良くなかったから、がっつり米を食べたくなったのだ。卵とソースとライスが絡み合って美味しい〜。


 村でスイカ配っている時、商売してる気分になって来たよ。無料奉仕だけど。びみょーに疲れた。

 でも獣人の子供可愛いかったな。あの耳触りたかった。犯罪になるから触らないけど。


 今日は良く眠れそう。



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