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孤児院からの料理人

 今は午後、孤児院に来ている。

 家の料理人不足の為、院長と子供達と面談する為だ。


 院長を探知。井戸の近くにいる。子供達の魔法の練習でもしているのだろう。孤児院の裏にまわる。


 院長がいた。


「院長!こんにちは。お話しがあるのですが、いいでしょうか?」


 院長は顔を上げて、こちらを見て微笑んだ。


「カヨさんこんにちは。いいですよ。聞きましょう」


 魔法の練習をしている子供達から離れて、院長に今日の訪問理由を話す。


「院長、子供達の中で私の家に働きに来て、料理を覚えたい子はいるでしょうか?」


「料理人になりたい子は結構いますが、お店でなくカヨさんの家で働く子は聞いてみないと、分かりませんね。厨房が近いし、聞いてみましょうか」


 裏口からクリーンをかけて、厨房に行く。バズさんが迎えてくれたので「こんにちは」と挨拶をする。

 子供達は7人居た。


「皆さんお疲れ様です。今日は就職のお話しです。カヨさんの家で働きながら、料理の練習をしたい子はいますか?」


 子供達はいきなりの話しに動揺したように、周り子達の顔を見ている。その中で年長の子供だろう、声をあげる。


「お給料はいくらになりますか?」


「毎月金貨20枚を払います」


 私が答えると、子供達がギラギラしだした。言葉を付け加える。


「14歳の子がいいんだけど、いる?」


 聞いてみると、2人いた。2人は顔を見合わせて、自己主張を始めた。


「僕が行きます!行かせて下さい!」


「自分も行きたいです!」


 院長が困ったようにこちらを見てくるが、私は頷いて2人に答える。


「2人来たいんなら、私は大丈夫です。2人とも面倒を見ます。2人はいつから働きたい?」


「僕は孤児院の子供達に挨拶をしてからがいいです。数日ください」


「僕もです。みんなに挨拶してから働きたいです」


「分かった。5日後に迎えにくるから、子供達とお別れの挨拶をしてね。家に住み込みになるから、これからよろしく」


 2人共元気に挨拶してくれた。

 院長と外に出る。


「院長、うちに来る子供2人の生活の準備はすべてこちらがするので、準備金なんかはいりませんよ」


「はい。カヨさん、子供達に働く場所を提供して下さり、ありがとうございます」


「いいんですよ。子供達の将来は私も気になりますので。人数に限界はありますけどね」


「子供達が孤児院を卒業して、出て行く時、私はいつも不安なんです。この子は無事に生活していけるのだろうかと、心配になってしまって……。それでも最近はカヨさんの協力もあって、不安は少ないですけどね」


「解ります。孤児院の中という小さな世界から、大きい場所に出て行くんです。不安になって当たり前ですよ」


 共感すると、院長は少し不安が晴れた表情をした。


「5日後にまた来るのでよろしくお願いします」


 院長が了承してくれたので、家に帰る。

 2人共、体は成人した大人くらい背が高かった。細いけどね、前よりは肉が付いた。



 家に帰ると、2階に上がり空き部屋を人が住めるように、ベッドやクローゼットを置く。2部屋準備したら完了だ。


 ロアは生活魔法が使えるから、孤児院を卒業する子にしていた魔法付与の為の質問をしていない。

 新しく来る2人と一緒に質問問題をしてしまおう。


 私はルーフバルコニーに行き、果物を収穫してマジックバックに入れていく。

 沢山収穫しなきゃ。家で食べる分もあるし、散髪屋で販売している分もある。収穫は好きだから苦にならない。たまにつまみ食いしながら収穫していく。


 また新しい果物でも植えようかな?キンカンなんてどうだろう。独特の味が好きなんだよね。




 そういや、散髪屋でモニカさんがお客さんに聞いた話しだけど、塩の販売を今年の3月から王家が主導で行うらしい。塩の販売で儲けている人は慌てているみたいだけど、王家が塩の販売を取り仕切るなら塩の値段が安くなるかもしれないね。庶民は期待してるみたい。

 今まで塩を流通させてた、商人達は王家が雇って近隣に販売を任せるらしい。公務員になるって事かな?それとも下請けみたいな?時期がくれば分かるでしょう。



 5日後、孤児院に朝から2人を迎えに来た。お別れはちゃんとすましたようだ。前に見た時よりもキリッとした顔をして「よろしくお願いします」と挨拶してくれた。別れは人を成長させるよね。


 2人を連れて服屋に連れていく。新品の服を3着選んでもらう。下着と靴下もね。

 次は靴屋で靴を買う。雑貨屋で生活に必要な物を選んでもらいお会計。


 荷物は全部、私のアイテムボックスに入れて家にいく。


 2人は家を見て、驚いていた。孤児院の方が大きいんだけどね。


 2人に家の鍵を渡し、出かける時は鍵をかう事を約束させる。家の中に入り1階を案内した後、2階の自分達の部屋に案内して荷物を置く。場所を覚えてもらったら、1階のリビングに行く。


 ロアも呼び3人にソファに座ってもらう。私は正面に座り、3人に質問をしていく。

 孤児院から来て貰った2人は、顔がまだ幼くて髪が赤い男の子がロッキー、真面目そうな顔のブラウンの髪の男の子がアスベルと言うらしい。


 2人に制約魔法をかける。私の秘密と能力を内緒にしてもらう為にね。


 質問を続けていく。優秀だね。あの孤児院の子供達は素直で人間が出来ている。これなら魔法を付与しても大丈夫だ。


「魔法が使えたらなんの魔法を使いたい?ロアは生活魔法以外でね」


 3人は悩んでいるが、料理人の2人はクリーンが魅力的なのか、生活魔法が良いらしい。ロアが凄い悩んでいるが、やっぱり生活に役立つ魔法が欲しいのか、アイテムボックスが欲しいと希望した。


「今から皆に付与魔法で、希望した魔法を付与していくからね。ロッキーに生活魔法を付与!アスベルに生活魔法を付与!ロアにアイテムボックス大を付与!」


 アスベルが1番苦しがっているので、ヒールを何回もかけてあげる。ロッキーはそこまで苦しまず、アイテムボックスの適正が無かったロアはそこそこ苦しんだ。ヒールをかけてあげる。

 アスベルに適正を聞いたら、魔法の適正がなかったようだ。

 もともと魔法の適正が無い子は魔法が使えない身体なのかもしれない。そこで私が魔法を使えるようにしたので1番苦しんだんじゃなかろうか。


 みんなに、希望の魔法が使えるので使ってみるように促したら、みんな感動していた。アスベルなんか泣きそうになっていた。

 もともと魔法適正がなかったのが、つらかったのだろう。歳のせいか、ホロリときそうになる。


 ロアは仕事に返し、2人に、この家の設備は自由に使っていい事を教え、キッチンのダンテに2人を教育してくれとお願いする。2人共しっかり挨拶していた。



 散髪屋に行って、カルロスさんとモニカさんに奴隷と孤児院から来た子に1週間のうち1日を交代しながら休日を与える事を話す。


 カルロスさんとモニカさんはどうします?と聞いてみる。2人共家族でゆっくりしたいみたいだ。

 羨ましいと言ってくるので、人を雇ったらいいと話しをすると、また悩む。

 散髪は専門職だからね。教育をしないと使い物にならない。

 モニカさんが孤児院で募集しようかなとぽろっとこぼしたので、良い提案だと今から行こうと誘う。




 今さらだが、無事モニカさんも生活魔法を使えるようになった。

 ミーチェちゃんは孤児院でも教わっていたが、モニカさんはカルロスさんから朝夕晩くらいしか練習の時間がなかったのだ。そんな中での取得だから、嬉しくない訳がない。

 散髪屋でも髪を切る前にお客さんにクリーンかけてるからね。

 自分で出来るようになった恩恵は大きいでしょう。




 モニカさんと孤児院に来た。院長を探知。勉強部屋だ。

 勉強部屋に行くとルンカさんが授業をしていた。院長は小さい子供達の相手だ。モニカさんと一緒に挨拶する。


「院長、散髪屋に孤児院の子供を雇いたいと考えているのですが、いい子いますか?」


 モニカさんが問いかける。


「あら!最近は孤児院の子供が就職先に困らないわね。ついこの間14歳になったばかりで、進路が決まってない子がいます。本人の意思しだいですが、勧誘してもらって構いませんよ」


「院長、紹介してもらえますか?」


「いいですよ。ミリーこちらに来なさい!」


 勉強している子供達に向かって院長が声をかける。ミリーと言う女の子がこちらへ来た。


「院長、何でしょう?」


「こちらのモニカさんが貴方を散髪屋で雇いたいと話しを持って来られました。貴方の意思を確認したいのです」


「こんにちはミリーちゃん。モニカです。髪を切る仕事なんだけど、どうかな?」


「……自分の将来着きたい仕事がわからないんです。どうしたらいいでしょう?」


「やっぱりまだ悩んでいるのね。貴方の気持ち次第なんですよ。15歳になれば孤児院を出なくてはいけません、よく考えて」


 ミリーちゃんは黙って立ちつくしている。モニカさんが提案する。


「孤児院の子供の髪を貴方が切って、それから考えましょうか?私が教えるわ。もし仕事にしなくても将来子供や旦那様が出来たら貴方が散髪してあげれるし」


「まず試してみなければ解りませんよ。ミリー」


「分かりました。子供達の髪を切ってから考えます」


「モニカさん、ミリーをよろしくお願いします」


「はい!きょうのお昼過ぎから散髪の練習をしましょうか。院長、いつもの部屋をお借りします」


 そういう事になった。

 私は前に散髪していた部屋で履歴から、散髪道具一式と椅子を購入した。

 孤児院の子供達の髪がいい具合に伸びてるから勉強になるでしょう。

 モニカさんはカルロスさんも教育した事があるからね。


 私は、お昼になるまで小さい子達と遊んだ。やっぱりかわいい。



 お昼になったので家に帰宅する。昼食をもらい、食べる。子供達と遊ぶとお腹すくなぁ。


 昼食を食べ終わったら、カルロスさんに孤児院での事を話す。

 「今日から当分の間1人か」とちょっと寂しそうだった。




 ここ数日孤児院に行っていたモニカさんが、指導を終えた。

 結果はどうだったか聞くと、手に職が付いたのでミリーを雇うことになったようだ。一週間後に来るらしい。

 モニカさんが控えめに家賃と食費を払うから、ミリーを家に住まわせてくれないか、とお願いにきた。私はすぐに了承した。


 2階に行って部屋の準備をする。ベッドとクローゼット。女の子らしい部屋にね。





 一週間後、ミリーがきた。一階を案内して、いつもの質問問題を出す。初めて解答不正解の子が出た。

 まだ自分がはっきりしてないんだ。この子は善と悪の間で揺れてる、ちょっと危ない子だ。

 2階の自室に案内して。ゆっくりしてもらう。


 またこの家に同居人が増えた。





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