表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/195

開拓村から帰る

 すべての畑のスペースに作物の種を植え終えた。私の役目も終わりだ。ペイターとリンに頑張るように言い別れる。背後から「ありがとうございました!」と声が聞こえて来た。私は振り返り手を振る。


 帰る前にバルドラさんに挨拶に行こう。


 集会所に来た。バルドラさんが居るであろう部屋をノックする。返事があったので、中に入る。用件を聞かれたので、帰る事を伝える。まだ開拓村にいればいいのにと惜しまれるが、ペイター達はもう2人だけで大丈夫だと私は安心して帰れると伝えた。


 バルドラさんに「家の事ありがとな」と言われる。改まって言う事かなと思いつつ話しを聞けば、ここに居る村人たちは、元冒険者や農家の次男三男だと言う。

 贅沢をした事がない奴等に一生住む良い家が出来たと感謝された。

 仕事でした事だけど嬉しかった。


 ペイターとリンをよろしくお願いしますと別れの挨拶をして村の入り口から外に出る。

 村の入り口が見えなくなったあたりで、カリオンにある自宅玄関に瞬間移動する。

 玄関を出て鍵をかけ、孤児院に向かう。



 孤児院に着いたら、院長を探知する。院長室にいるみたいだ。院長室まで歩いてドアをノックする。返事が返ってきたので中に入る。

 院長に久しぶりですと挨拶し、椅子に座る。院長は驚いたようだが「元気でやってましたか?」と聞いてきた。


「はい、元気ですよ!最近まで、開拓村に行って農業をしてきました」


「開拓村ですか?……まさか、ペイターとリンに」


「はい。着いて行きました。2人共土地と家を貰って元気に住んでましたよ!村長との仲も悪くないです」


 院長は、はぁ、と息をついて安心したようだった。


「カヨさんが一緒に着いて行ってくれたんですね。開拓村での生活も不安でしたが、道中はもっと心配でした。カヨさんありがとうございます」


「いえ、途中でウルフに囲まれましたが、ペイターとリンが全部倒してましたよ。孤児院の教育も凄いですね」


「いいえ、カヨさんが連れて来てくれた先生が良かったんですよ」


 2人で笑う。私は院長に寄付金を渡す。院長は不思議そうな顔をしている。でも寄付金は貰う。


「今回、ペイターとリンに結構お金使ったでしょ。また何かあった時の為に金庫に入れておいて下さいよ。私、開拓村でも儲けてきたんですよ!働き者です」


 笑いながら言った。院長は感謝して、金庫にお金をしまった。私は「子供達の所に行ってきます」と院長の前を後にした。


 勉強部屋にいた幼児さん達と戯れた。小さい子はかわいいのぅ。抱きしめてほうずりする。子供特有の匂いに安心する。

 疲れてきたら、みんなにバイバイする。


 孤児院からの帰り道、子供はいいなぁと癒し成分を貰ってカヨはご機嫌だ。

 今回の旅も良かった。幸せになるカップルを見届けてきたのだ。2人に子供ができた頃に逢いに行こうかなぁと漠然と考える。

 他の街にも行ってみたい。まずは家に帰って今の家族の顔を見ようと帰り道をいく。


 散髪屋に入り、モニカさんとカルロスさんに「ただいま帰りました」と報告する。

 モニカさんが自然に「おかえりなさい」と言ってくれた。おかえりなさいって良い言葉だなぁと思いつつ、「モニカさん鑑定していいですか?」と聞くと「やだ、なぁに」と言いつつ良いよって言ってくれる。

 私は期待してモニカさんを鑑定する。

 やっぱりと思いつつ「モニカさん、妊娠してますよ」と報告する。

 散髪屋に驚いた声が響いた。散髪屋に来ていた人が皆「おめでとう」と言っていた。


 カルロスさんとモニカさんも仲が良いからね、まだ年齢的に若いし、経済的にも困ってない。もう2・3人は子供が出来ると思ってたんだ。

 赤ちゃんかぁ可愛いだろうなぁ。


 私は夢を見る。いつか私も赤ちゃん欲しいなぁ。相手がいないけど。



 魔道具屋に顔を出しパルコに「ただいま」と声をかける。「店番ありがとう」と言えば仕事ですからと真面目に答える。在庫は大丈夫かと確認すると、石鹸の実が少ないと報告を受ける。また店番をお願いして、キッチンへ行く。

 ダンテに帰って来たから、今日から食事をお願いするとルーフバルコニーに行く。


 変わりなく全ての木に実がたわわについている。

 私は石鹸の実の収穫を始める。

 収穫って好きなんだよね。開拓村での農業はつらかったが収穫は好きだ。

 ぽんかんが好きだし、また種を植えようか考える。

 カゴがいっぱいになったら、次のカゴに実を入れる。

 柿もおいしいと考えつつ梨も好きだ。庶民的な物だと、まくわうりも好き。安くておいしいから時期になったら購入していた。

 この世界特有の果物を探してみるのも良いかもしれない。おいしいらしいから。


 カゴ10個に入れた石鹸の実をアイテムボックスに入れて、パルコのところへ持っていく。

 パルコにしまうように言い、カゴを10個出すと空いたカゴを渡してくれた。とりあえずアイテムボックスにしまう。


 もうお昼だ。昼食を食べに行こう。またパルコに店番をお願いして、私はキッチンに向かう。

 ダンテに昼食をお願いして、食事を貰う。昼食を食べながら、すっかりダンテのごはんが家の味になってるなぁと思う。旅でも食べていたけど自宅で食べる食事はまた違う。

 食事を終えたら、パルコに昼食を食べてくるように言う。


 店番を交代して、定位置の椅子に座る。今回の旅で、冷蔵庫を新しく出したから店にも置こうと考える。新商品があったら楽しいからね。

 商業ギルドに登録に行かないと。



 あっ!思いついた!地球では手に入らない物だけど、地球通販なら手に入る。

 医療脱毛に使っている大型の脱毛器を使って女性相手に施術出来ないかな?結構毛の処理って面倒なんだよね。その割に男性が気にするって聞くし。

 まずはこの家にいる女性陣に試験的に試してもらって感想を聞いてから、商売にしよう!モニカさんは妊娠してるから何があるか分からないから除外して、そうしたらリンダと私しかいない。

 男性の髭の脱毛もあったはずだから、これも商売になるかも。


 今は人も場所もないから、借金奴隷を買ってきて教育して、場所は店を増築しよう!まだスペースがあるからね。

 完全予約制にしないと店がまわらないな。


 異世界初!脱毛店!新しい事考えるのって楽しい!



 小物を買ってくれるお客をさばきながら、大型の魔道具を買ってくれる人には、配達日と住所を確認する。

 日が沈みかけてきたら閉店。



 夕食でモニカさんに無理して働かないように言うが、モニカさんは一度妊娠出産したからか大丈夫大丈夫と言い、強気だ。母は強し。



 翌朝、朝食が終わった後、モニカさんを連れて散髪屋へ。

 空いたスペースに昨日の夜、地球通販で買った座り心地の良さそうな寝椅子を置く。

 モニカさんに、疲れたらここで横になるように言う。「ありがとう」と座ってくれた。


 今日もパルコに店番を頼み、私は魔道具屋の隣りに新しく作るお店のイメージを固める。

 店の裏で家と繋がるようにして、創造魔法を使い建物を造る。

 外観は散髪屋と魔道具屋と一緒にしてある。中には小さい小部屋が一室。お客様が安心して服を脱げるように、施術室だ。

 脱毛は結構値段が高いから来るとしたら富裕層だろう。


 一度家の中に入り、2階にいく。奴隷に住んでもらう部屋を準備する。地球通販を開き、ベッドに布団、シーツにクローゼットを買い設置していく。


 奴隷商まで行き、着いたらいつものやりとりで中に入る。商談室で待っているとハリーさんがやってきた。


「ご来店ありがとうございます。カヨ様、今回は奴隷の購入ですか?ついでに怪我病気の奴隷の治療をお願いしたいのですが」


「お久しぶりですハリーさん。借金奴隷を1人、営業トークや接客が上手な方が欲しいです。奴隷を選び終わったら治療しますよ。契約どうり」


「分かりました。いつものように奴隷を見に行かれますか?」


「はい」


「該当する奴隷は……3人ですね。ご案内します」


 奴隷のいる地下に2人でいった。奴隷を紹介してくれる。

 私は奴隷に話しかけながら、真偽判定を使っていった。嘘をついていない奴隷は1人。20代後半くらいの女性だ。顔も綺麗めだし、値段が高そう。病気持ちだが、契約した後に治してあげよう。


「ハリーさんこの奴隷を貰います。精算をお願いします」


「先に、怪我や病気の奴隷の治療をお願いします。その金額で相殺しましょう」


「分かりました。今回は何人ですか?」


「カヨさんがいるので、怪我や病気の奴隷を安く仕入れているんですよ。今回はカヨさんに使いをやる前に来ていただけたので、借金奴隷10人と犯罪奴隷を12人お願いします」


 了解の意を示して、ハリーさんに案内してもらい、借金奴隷を1人ずつ治療していく。この前よりもひどい怪我人が多い。

 借金奴隷が終わったら、犯罪奴隷の治療だ。住環境はこの間指摘したとおりに改善している。良い事だ。

 全ての治療が終わったら、商談室に案内されて「精算するので少し時間がかかります」と1人で待たされた。暇だったので本でも読んで時間を潰す。


 結構時間がたった後にハリーさんが来て、お金を渡された。


「購入予定の奴隷の金額は引いておきました。後は治療費です。お納め下さい」


 購入予定の奴隷がただになった。お金まで貰えるとはラッキーだ。

 奴隷と契約して、書類を渡され店を後にした。


 奴隷に治癒魔法をかけて、名前を聞く。


「タエと申します。ご主人様、病気を治していただきありがとうございます。今後宜しくお願いします」


 呼び方は、ご主人様ではなくカヨと呼ぶように言い、よろしくと挨拶した。

 帰り道で服屋と靴屋と雑貨屋に寄り、生活に必要そうな物を買って貰う。

 家に帰り、1階を案内して2階の自分の部屋で荷物を片付けてもらう。


 その間に私は、新しい店、脱毛店の器具や施術台、待合室にソファと美容関係の商品が置ける棚やカウンターを地球通販で用意する。もちろん機械は魔道具化だ。施術服も3着出しておく。


 準備ができたら、タエを呼びに行く。タエに脱毛店を開くこと、この施術服を着て仕事すること、施術する前にはお客様に十分説明すること。説明は、脱毛は1日で終わらないので違う日に最低3回〜10回は同じ部位を脱毛する事と最終的にかかるお金の説明。どの部位を脱毛するかのカウンセリングをしっかりするように説明して、出来たら次回の来店日を施術した2ヶ月後に予約してもらうことを、お願いする。


 施術は今から私がタエにしながら、説明する。クリーンをタエにかけ、裸になるように言い施術台に横にならせる。顔、わき、腕、希望されればお腹と背中も脱毛するように教える。デリケートゾーンと足の脱毛が終われば、肌のダメージ予防の為に水溶性のジェルを脱毛した部位に塗るように教える。


 次は私で練習だ、裸になり施術台に横になる。新しい身体は毛が薄くて助かっているけれど、全くないわけじゃない。タエに器具の使い方を教え私に施術して貰う。

 タエは器用なのか、初めは戸惑っていたが、足を施術する時には、スムーズに出来ていたと思う。


 名前は脱毛店じゃ何か嫌だなと思い、美容室と名前を付ける事になった。

 タエに魔法が使えるか聞いて、生活魔法なら使えるらしいので、制約魔法だけかけて、店の看板を作る。

 店のドアから外に出て、飛行魔法で少し飛び看板をつける。名前は「タエの美容室」。まんまだね、分かりやすい方がいいのさ。

 タエに店と家の鍵を渡して、閉店後には必ず鍵をかける事を言う。


 お昼になったので、タエと一緒にキッチンに行き、ダンテにタエを紹介する。昼食を貰いダイニングで2人で食べる。

 タエにやって行けそうか聞くと、良い部屋を貰い食事もおいしい。生活に必要な物も買って貰えた事で、やる気が出てきたそうだ。


 夕食の時に皆揃うから紹介するね、と言い、今月の金貨5枚を渡し、部屋に戻ってもらう。

 散髪屋に顔を出し、魔道具屋の隣に新しい店が出来た事を報告して、散髪屋で宣伝してほしいとお願いする。

 モニカさんは「いいよ」と引き受けてくれて、どんな店なの?と興味津々だ。身体の毛を脱毛する所だよと教えれば「痛くない?」とちょっと恐々だ。「脱毛専用の道具を使うから、痛くないよ」と言えば興味が湧いて来たらしく、私もやってもらいたい!と言われるが、モニカさんは妊娠しているから今は出来ない事を説明。残念そうにしていた。



 夕食の時に、みんなへ、タエの事を紹介して新しい店を開く事を発表する。


 食後には歓迎のケーキが出される。やっぱりミーチェちゃんの食いつきがいい。かわいい。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ