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孤児院で生活 19

 数日前に、ルンカさんとバズさんに魔法が使えたら何を使いたいですか?と問いかけていた。

 今日は、その答えを聞きに行く。バズさんは厨房分かってる。バズさんを食堂に呼び、「魔法が使えたら何の魔法を使いたいですか?」問いかける。


「俺は魔法が使えたら治癒魔法が使いてぇな」


「本当に治癒魔法でいいですか?」


「治癒魔法がいいな。何度奴隷商で治癒魔法が使えたらと考えたよ」


「分かりました。バズさんこれから少し痛いめに合ってもらいますよ。付与魔法・バズさんに治癒魔法を付与!」


「くっっっ……」


 バズさんは痛みに強いのかな?誰よりも付与した後の状態が軽い気がする。


「バズさん、ヒールを自身にかけて下さい」


「ヒール」


 魔法が使えたね。これで大丈夫。


「バズさんに治癒魔法を使えるようになってもらいました。この魔法で孤児院の子供達を導いてあげて下さい」


「俺は治癒魔法が使えるようになったのか?」


「そうですよ」


「カヨさん、ありがとう」




 次はルンカさんだ。ルンカさんを探知!勉強部屋だね。ルンカさんを外に呼び出す。


「ルンカさん前に言った事覚えてますか?魔法が使えたらって話し」


「覚えてますよ。魔法が使えたら素敵ですね」


「ルンカさんは何の魔法を使いたいですか?」


「使えたら……どんな病気も治す力が欲しいですね。私目が見えなかったから、すごい不便だったんですよ」


「分かりました。ルンカさん今から少し痛い事をします。心構えをして下さい。付与魔法・ルンカさんに治癒魔法を付与!」


「ゔっ!ゔーーー」


 ルンカさんは苦しそう。付与魔法をしてそこまで辛くなさそうな人。痛くて苦しがっている人。その違いはどこにあるんだろう?


「カヨさん、私に何かしましたか?」


「しました。ルンカさんは治癒魔法を使えるようになりました。孤児院で魔法を修得したい子供達の助けになって下さい」


「そんなバカな事……出来るわけがない」


「出来ますよ。ルンカさん自身にヒールを使って下さい」


「……ヒール……!?魔法が使えた!」


「今ので魔法の使い方がわかったと思います。自身と孤児院の為にその力を使って下さい」


「頭が混乱しているわ……カヨさんが魔法を使えるようにしてくれたのよね?」


「そうですよ」


「これからの人生が変わるわ。とりあえず、ありがとう」


「はい。勉強部屋に帰ってもらって大丈夫ですよ」


 ルンカさんがよたよた帰って行く。私が孤児院の為に出来る事はこれまでかな。


 私は部屋に入り、異空間住居に行く。リビングにあるソファに座り、地球通販を起動し検索で「ヘアカタログ」を探す。カルロスさんとモニカさんへのプレゼントだ。まぁ、参考雑誌とも言う。男性用女性用を数冊、異世界言語に変更して買う。

 たまには甘いものも食べたいので海外王室御用達のメーカーのチョコを買い食べる。これが王室御用達かぁ、味が違うね味が。

 実は初めて食べたのである。日本にいた頃はいつもお金に困ってたからね。食べてみたかったけど、食べれなかったのさ。これは常備しても良い。たくさん買う。

 ぶどうも食べたかったのだ。巨峰と藤稔、ピオーネにブラックビート。一度は食べてみたかったルビーロマン。超高級品だ。食べるのが楽しみだ。

 種が出たら新しい家で、育てよう。ぶどう棚を作ったらおしゃれだろうな。



 地球通販で検索していたら、もうすぐ昼食の時間だ。

 異空間住居から出て食堂に向かう。椅子に座り先程買ったヘアカタログを読む。複雑なカットで切られている髪型も多い。

 モニカさんなら何回か切ったら修得出来そうだけど、初心者のカルロスさんには難しいだろうな。

 女性でもショートカットにする人が出てくればいいな。先進的でおしゃれかも。私?今世が髪を長くしたの初めてだもの。もう少し楽しみますよ。



 昼食で白桃が出てきた。バズさんちゃんと活用しているな。偉い。子供達は前に食べた果物だと気づいたようだ。とてもうれしそう。諸君この世界の果物を舐めちゃいけない。前に食べた物よりとても美味しいんだ。子供が口に入れたあと、目をつぶって味わっている。うん、良い食べ方だ。味覚にだけ集中しているんだろう。私も食べる。地球通販で買った物よりも数段美味しい。汁気が多いのに、逃げない甘さ。あぁ幸せ。ほっぺた落ちそうってこういう時に使うんだろうな。幸せ。


 昼食を食べた後は、新居に住む奴隷を買う事にした。

 奴隷商に行く。扉をノックする。中から声だけで「誰だい」と聞かれ「奴隷を買いに来た」と言ったら少したってから扉が開いた。「いらっしゃい、入りな」と言われたので入る。「ついてきて」と店の中に歩いて行くので後ろに続く。応接室みたいな所に案内され、待っていてと言われた。奥のソファに座り待つ。

 ノックの音がして、男性が入ってくる。私を見ておやっとした顔をした後正面のソファに座った。


「お客様は再度のご来店ですね。私は前回担当させていただきました、ハリーと申します。今回はどの様な奴隷をご希望でしょうか?」


 そうだ、ハリーさんだ。うっかり名前忘れてたよ。


「前回はお世話になりました。今回は借金奴隷で、料理と経理が出来る奴隷を探しています。病気や怪我をしている奴隷でも構いません」


「そうでしたな、お客様は治癒魔法をお使いになられるのでしたな。今回もどうです?奴隷達の怪我や病気を治していただけませんか?」


「条件によります。先に奴隷を選ばせて下さい」


「承りました。……今条件に合う奴隷は10人はいますな。全員ご紹介しますか?」


「紹介をお願いします。奴隷達の状態を知りたいので、地下に奴隷を見にいきます」


「分かりました。では行きましょう。ついてきて下さい」


 2人で奴隷達のいる地下に来た。真偽判定を常時使い、紹介された奴隷に質問して行く。10人全員に質問が終わった。嘘をつかない真面目な人は3人だ。


 1人は経理が出来る人で30代くらい、商会で働いていたが、同僚が不正している所を見つけ、不正を止めるように説得していたが、いつのまにか自分が不正している証拠がねつ造され、借金奴隷に落とされたみたいだ。商会主は良い人だったらしく本来なら犯罪奴隷になる所を借金奴隷にしてくれたらしい。でも人を見る目はないね。

 2人目は元料理人の40代くらいの人だ。料理を作る腕が良く商売敵に恨まれて集団リンチされ怪我が元で料理を作れなくなったらしい。家族がいたようで、自身を売り、売ったお金は家族に渡したらしい。何ヵ所も骨が折れているようで、生きているのが奇跡みたいな人だ。

 3人目の人は珍しくパティシエらしい。28歳らしく、手足が段々と動かなくなる奇病にかかっているようだ。この方も家族が居たらしく、動けなくなる前に借金奴隷になりに行き、料金は家族に渡したそうだ。

奴隷商は後からその事を知ったが、奴隷の購入金額に利益を上乗せしているので、料金だけは高く買い手がつかないらしい。


 全員引き取りたい。家もある。皆、真面目で私の質問に嘘をついていない。よし、買おう!


「ハリーさん3人買います。精算をお願いします」


「いえいえ、お客様、病気怪我の奴隷を治していただきたいので、取引しましょう。全員料金タダで奴隷契約しますので、今、当商会にいる奴隷達全員の治療をしていただきたい。どうでしょうか?前回は借金奴隷だけでしたが、今回は犯罪奴隷もお願いしたいのですが」


「人数は?何人ですか?治療をする場合、契約書は作ってもらいたいです」


「借金奴隷は9人。犯罪奴隷は13人です。契約書も作らせていただきます。元経理の男性とパティシエの女性の値段が高いので、悪い話しではないと思いますが」


 そう、悪い話しではない。こちらは奴隷を無料で貰え、苦しんでいる人達を治療するだけで気分的にも良い。よし!契約しよう。


「良いですよ。契約しましょう。前回と同じで案内していただくのはハリーさんだけでお願いしたいです」


「わかりました、契約書を作るので一度商談室へ帰りましょう」


 部屋に行き、前回と同じ契約内容だったので、サインをした。


 犯罪奴隷は地下2階にいるらしく、ハリーさんに先導されてついて行く。地下2階は酷い匂いがした。

 犯罪奴隷は捕まる時にでも暴れたのか、いろんな場所に怪我をしていた。身体の一部を欠損している人もいた。私のヒールは魔力を強めに込めているので、一発ですべて治るが。病気の人は衛生環境が良くないせいで、体の弱い人が病気になったようだ。


「ハリーさん、犯罪奴隷の病気は環境が良くないせいでなったようです。改善しないとまた病気になりますよ」


「分かりました。そのように報告いたします」


 地下1階に戻ってきた。自身とハリーさんにクリーンをかける。


 次は借金奴隷の治療だ。借金奴隷で怪我をしている人は元冒険者の人が多い身体の欠損もある。病気は今の世界では高いお金を出さないと治療が困難な人が多いようだ。治療した人達全員に制約魔法をかけた。


 上の階に戻ると、話しがあるとハリーさんに商談室に案内された。


「今日はありがとうございました。これで奴隷達に買い手が付くでしょう。どうでしょうか、お客様。今後も継続して、定期的に奴隷の治療をお願いできないでしょうか?奴隷の仕入れ代金と治療後の販売代金との差額の半分を治療費としてお支払いしますので」


「いいでしょう。治療費も貰い、人を健康にするだけです。もちろん契約書は作って貰い、神殿に奉納してくれますね?私の能力は秘密にして貰いますよ」


「分かりました。こちらも奴隷を安く買い、高く売る事が出来れば損もありません。担当も私がさせていただきます」


 それからは、購入した奴隷の書類を貰い、私の名前と住所を教え、魔法契約書で契約した。別室で、奴隷契約を行い、3人の奴隷を連れて奴隷商を後にした。


 奴隷商を出た所で、40代の男性とパティシエの女性に特級ポーションを飲んでもらい治療した。


「ありがとうございます。ご主人様」


 と言って涙ぐんでいたので、私の事はカヨと呼ぶ様に言い、服と靴に日用雑貨、食糧品を買い新居に連れて行った。

 玄関で靴を脱ぐように言い奴隷用に購入していた物とお客様用のスリッパを出して履いてもらう。奴隷は2人買う予定だったのだ、1人増えちゃったけど。

 リビングに行き、全員に「カヨの秘密・魔法・能力を秘密にする」制約魔法をかけ。アイテムボックスから、飲み物とサンドイッチを出して皆に食べさせる。

 奴隷商では痩せない程度の食事しかしておらず、自由に食事するのはいつぶりかと喜んでいた。

 その後、全員で自己紹介。経理が出来る男性はパルコ、料理人の男性はダンテ、パティシエの女性はリンダと言う名前らしい。

 全員に役目を教えていく。パルコは今からお店を開くので、サポートして欲しい事。ダンテにはこの家に住む全員の食事を作って貰いたい事、リンダには家事とたまにお菓子作りを頼む事。全員理解してくれた事で、お茶とお菓子を出して、私は全員の部屋の準備をすると言い、2階に行った。

 2部屋しか準備していないので、空き部屋に入り、リンダの部屋を準備する。地球通販で、家具を選び女性の使う部屋に仕上げ、買ってきたリンダの荷物を置く。隣の部屋にはダンテの荷物を置き、その隣の部屋にはパルコの荷物を置いた。


 地球通販で斜め掛けの大きめのショルダーバッグを買い、アイテムボックス特大を付与する。


 1階に行き、全員を鑑定する。アイテムボックスから紙を出し魔法適正を書き全員に渡す。この家では魔法が使えないと生活出来ないと聞いて奴隷達は愕然としていたが、私が生活魔法を付与すると言うと、よく分からないが魔法が使えるようになる事は分かったようで、全員に生活魔法を付与した。

 前から疑問だった、付与魔法をかけると苦しみや痛みに個人差がある事の正解が多分分かった。ダンテさんとリンダさんは生活魔法の適正があり、比較的苦しみが弱そうだったのに対して、生活魔法の適正が無かったパルコさんだけが強めに苦しんだのだ。


 全員にクリーンを自分にかけて、と言うと個人差はあるが皆綺麗になった。全員に、リビング・ダイニング・キッチン・洗濯場・お風呂・洗面台・トイレを案内し使い方を教え、お店予定の場所を案内した。2階に上がり個人の部屋の割り振りをして、私はまだここで暮らさない事を言い、今月の金貨5枚を全員に渡し、食材を買うお金はダンテさんに管理してもらう事とした。

 ダンテさん1人をキッチンに呼び、さっき作ったマジックバッグをアイテムボックスから取り出しダンテさんに渡す。


「ダンテさん、これはマジックバッグです。さっき買った食糧品を私が出していくので、バッグに入れて行って下さい」


 とアイテムボックスから大量の食糧を取り出して行く。ダンテさんは慌ててバッグに食糧を入れていく。

 全部終わったので、「このマジックバッグはダンテさんが管理して下さい」と持っていてもらう。家のスペアキーをダンテさんに渡して、私は今住んでいる所に帰る事を伝え、孤児院に帰る。


 あっスライム買って無かったと思いだし、慌てて必要数を数えて、履歴からバケツを1個買う。前回のバケツがマジックバッグに入っているので、スライムを15個買えるだろう。

 前回スライムを買った所に行き、スライム15匹を買う。新居にもどり以外と重たかったスライムを排水溝の下に穴を掘り放りこんでいく。これで安心と、今度こそ孤児院に帰る。

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