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孤児院で生活 18

 孤児院に帰って来た。

 自分の部屋に行き、ベッドに座って地球通販を開く。子供達はきっと果物を食べたことがないだろう。食べさせてあげたい。が私と同じ気持ちを共感してもらいたいのもある。買うものは白桃だ!もちろん私が大好きだから。箱買いしちゃうぞー。

 買ったらアイテムボックス入れて厨房だ。

 まだ時間はあるけど、子供達の数が多いから出来るだけ早く準備したい。


「バズさん、厨房の片隅かして下さい」


「おう、いいぞ!」


 と言ってくれたので、以前買った折りたたみ椅子に座り、他の子の邪魔にならない所に桃の箱を出す。バズさんが近寄って来て「何だこれは?」と聞いてくる。私は箱の中から白桃を取り出しドヤ顔で「果物です!」と答えた。バズさんが驚いて桃を手に取ろうとしてきたので、段ボールのフタを閉めた。なんでだ?って顔で見てくるから注意する。


「桃は柔らかいから優しく触らないと指の跡がついたり、潰してしまうんです。優しく触って下さいよ!」


 と段ボールのふたを開けた。待ってましたと触るバズさん、柔さにちょっと驚いた様で匂いを嗅いで「良い匂いだなぁ」と言っている。他の子もそわそわして来ちゃったじゃないか!私は手早く桃を切って厨房にいる子たちに味見させる。

 みんな「美味しいおいしい」と食べてくれた。もちろん物欲しそうなバズさんにもあげましたよ。

 黙々と桃を剥いて皿がいっぱいになったらアイテムボックスにしまう。空気にさらしておくと茶色に色が変色しちゃうからね。

 子供達がくる直前に剥き終わった。ちょっと疲れた。


 夕食が始まり、食べ終わる子が出てくる直前に桃の皿を机の上に均等に置いていく。

 みんなが興味津々で見ているので「果物だよ!みんな食べていいからね!」と言うと、みんな、わぁわぁいいながらお皿によそって食べている。汁気が多かったのか、口から汁を垂らしていた子も居た。

 みんなお菓子を食べた時のように嬉しそうに食べてくれた。無くなったら残念そうな顔をしたけど夜で今から寝るんだ。トイレが近くなってはいけない。心を鬼にして「おわりだよ」とお皿を下げていく。みんなおいしかったと言いながら部屋に帰っていった。




 翌朝、朝食が終わり、カルロスさんとモニカさんに「新しい家の家具を設置していきませんか?」と誘い、買った土地まで行く。

 家を見てびっくりしているカルロスさんとモニカさんがいた。

 「どうしたんですか家」と聞かれたので「昨日作りました」と答えた。

 2人に店側の入り口ではなく家側の入り口に案内して、スペアキーを渡す。「開けてみて下さい」と一歩下がったらカルロスさんが鍵を差し扉を開けてくれた。


 玄関で靴を脱ぐのが、異空間住居の決まり事だったので、この家でも何も言わずに靴を脱いで上がってくれた。

 家を案内しながら、足りない物を言い合い地球通販で買っていき、設置して行く。家に付いている魔石はこっそり隠蔽していった。

 1階が終わったら2階に行き同様にしていく。奴隷の人に使って貰う部屋は直ぐに家具が揃ったが、カルロスさんとモニカさんは自分の部屋はこだわりたいのか、地球通販を見て結構悩んでいた。

 次はミーチェちゃんの部屋。やっぱり親心、子供の部屋はこだわりたいみたいで悩んでいたが、最終的には可愛いらしい女の子の部屋になっていた。2階にはまだ空き部屋があるが、使う予定もないので次だ。


 玄関に行き靴を履いて店と家の間に作った通路を店側に向かって歩いて行く。散髪屋のスペースに着くと、思っていたより大きなスペースにモニカさんが感動していた。

 私は孤児院で使っていた美容室の椅子を壁についている鏡の前に設置した。2人座れる仕様だ。

 入り口の近くに行き「この辺りにお客様が座るソファを置きたいんですよね」と言えばモニカさんはコクコク頷いていた。自分の店が出来上がって行く事に感動したらしい。

 地球通販を見せると一生懸命、どのソファを置くか考えていた。次はソファに合わせた机を選ばせると、高級そうなガラスの机を選んでセットした。

 髪を切っている時にカートがあれば楽ですよと言えばカートを選びお金の支払いは先にしてもらってこの辺りにカウンターを置けば支払いに使えますよと言えばカウンターを選ぶ。

 私はアイテムボックスから箒とちりとりを出し壁に立て掛ける。大分美容室らしくなったんじゃないだろうか?

 モニカさんに大きいゴミ箱も入りますよと選んでもらう。


 お昼になったのでみんな自分の持ち物から食べたい食事を出し食べ始める。私はおにぎりだ。


「モニカさん、美容室の看板、まだ取り付けていないんですよ。モニカさんがデザインしませんか?」


「いいんですか?」


「良いも悪いもモニカさんのお店ですよ」


 モニカさんは「デザインします!」と言いマジックバックからノートと鉛筆を出し、悩みながらもデザインしていく。


 私はカルロスさんに提案した。


「カルロスさんもモニカさんと一緒に散髪屋しませんか?」


「私は誰かの髪をきったこともありませんし……」


 と消極的に言う。


「私とモニカさんが初めに散髪した孤児院の子の髪がもうすぐ切りどきになります。モニカさんに教えてもらって、切ってみればいいじゃないですか?」


「私でも出来ますかね?」


「出来ますよ!私もモニカさんも初めての時があったんですから」


「……モニカに教わって頑張ってみます」




「出来たーー。カヨさん出来ましたよ」


「色はどうします」


「文字は濃い銀色でできます?」


「出来ますよ。作りますね」


 モニカさんが書いたデザイン画を見てイメージする創造!


「モニカさんこんな感じでどうですか?」


「いいです!抜群にいいです!」


「カルロスさん、看板を付けてもらえますか」


 カルロスが背伸びして看板を挿しカチッと音がなったら抜けなくなった。


「今日からモニカさんの店です。モニカさん出入り口に、カーテンをつけませんか?開店している時は開けて閉店したら閉めるんです」


「良いですね!付けましょう!」


 モニカさんはエンジ色のカーテンを選びつけた。内装も合わせてちょっと高級なお店に見える。あらかた準備が終わったので孤児院に帰る事にする。設置した椅子を1つアイテムボックスに入れる。

 玄関から外に出て鍵はモニカさんに締めてもらう。



 孤児院への帰り道、モニカさんにカルロスさんが散髪することを教える。モニカさんはちょっとからかったが、わたしが教えてあげます。とちょっと先生気取りだった。



 孤児院に帰り、モニカさんは今日から始めると散髪部屋まで3人で行った。私は椅子を出し前に使っていた散髪道具を出して、カルロスさんに渡した。地球通販の履歴から箒とちりとりを買い置いて置く。

 モニカさんが近くにいた子を連れてきた。初めはモニカさんが解説しながら切るらしい。夫婦で真面目に教えているのがほほえましい。

 ここは大丈夫かな、と魔法を教えている所へ向かう。フランさんと院長が子供達の背中に手を当て魔力を流している。


「調子はどうですか?」


「魔力を感じとれた子は何人かいるんですが、自分1人で使う事がまだ出来ませんね」


 魔力を感じとれた子に魔力を流すと、「凄い!」と魔力がしっかり分かるみたいだ。子供に「属性は何?」と聞くと「生活魔法とアイテムボックスと水魔法」と教えてくれた。確か孤児院の子供達は2属性が多かったから、この子は優秀なのかもしれない。創造魔法で共感を作ってみようかな。創造・共感!創造・生活魔法!


 その子の後ろから右手同士を握り、スキル共感を発動したまま、左肩に左手を乗せて飲み水を発動し続けると子供の手からちょびっと魔力が漏れ出した。じっと続けているとだんだんスムーズに魔力を流せるようになって来た様だ。手を離し、その子の前に行き私の手から飲み水を出す。「これが、飲み水。出来る?イメージして、自分の手から水が出るところを」と言うと、目を閉じてイメージしている。魔力が右手に流れている。その子の手からちょっとだけ水が出た。


「水が出たよ!」


 と言えば、目を開けて自分の右手を見ている。それからもう一度、次は手を見ながら「飲み水でろ」と呟いた。手から水が流れた。その子とフランさんと院長は喜びの声をあげ、他の子は羨ましそうにしている。


「一度魔法が使えたら魔力の使い方がわかったはず、飲み水が完璧に出せるようになったら他の魔法も練習してみて」


 と声を掛けると「はい!」と元気よく返事をした。アイテムボックスは出来るか聞くと意識したら出来たそうだ。なら問題ないか。


 フランさんと院長に「体から魔力を放出、出来るように訓練してあげて下さい」とお願いした。魔法が練習したら使える事が分かったのか、みんなやる気に満ちている。ちょっとズルしちゃったけどね。


 次は、石鹸の木がある所に行く。石鹸の木の隣にしゃがみ地球通販でスコップを買う。スコップで穴を堀り、白桃の種をアイテムボックスから取り出し穴の中に入れ、土を被せてスコップはアイテムボックスに入れる。

 地面に手を置く。魔力を流してイメージしていく。甘くて年中実をつけて虫に強い白桃になる様に創造する。魔力が土に、種を植えた所に流れていく。じっと魔力を流し続ける。魔力が吸われる。

 魔力の流れが止まると石鹸の木を創造した時みたいに芽を出し成長していく木の成長が2mくらいで止まり枝を張り小さい実を付け、それがどんどん成長していく。私が知っている白桃より一回り大きな実になった所で成長が止まった。桃の木を鑑定する。


 ー白桃の木ー

 虫が付かない魔木。魔力で成長する。甘くてみずみずしい実をつける。魔力がある限り枯れない。


 創造魔法で枝切りバサミを劣化防止で作り、実を1つ切り取り皮を剥いて食べてみる。この間の白桃より美味しい!もしかして魔力のある食材は美味しいのかもしれない。


 バズさんを呼びに厨房に行く。厨房でバズさんを呼び、一緒に来てもらう。白桃の木の所まできたらバズさんが口を開けていた。


「バズさん、立派な白桃が出来ちゃったので、みんなの食事に出して上げて下さい」


「出来ちゃったって、おま!、カヨさん‥‥昨日の今日って事はなんだ?カヨさんが作ったのか?」


「白桃の種を植えて魔力を流したのは私なので、私が作ったんでしょうね。バズさんこの木、魔木なんですよ」


「魔木……何ちゅうもんが孤児院に……。こんなに実がなってるから、子供達全員食べれるな、この木の事は俺は秘密にする」


「ありがとうございます。好きな時に取って活用して下さい」


 実を2つ切り取りバズさんに渡して、もう2つ切り取りバズさんについて行く。バズさんの味見用と厨房で作業している子の為だ。収穫はバズさんがするにしても皮を剥くのは、食事を主導するバズさんがするのは無理だろう。今の内に厨房の子を桃の実で買収だ。


 枝切りバサミはバズさんにあげた。

 

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