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魔法使いツブラふたたび

 今は夜、今日は代官屋敷に行く日だ。変身魔法で「妖艶な魔法使い」に変身する。鏡を見て、前回と同じ姿だったので、インビジブルを自身にかける。準備完了だ。


 こっそり孤児院を出て今日は空を飛んで行くことにする。飛行魔法で空を飛び、代官屋敷に向かう。屋敷に近づいて行くと何か賑やかだ。光の魔道具を持った兵士さん達がそこらじゅうに居る。私は代官屋敷に近い場所で地上に降り1人の兵士の横に行き、インビジブルを解除した。


「こんばんは、今日は何かあるんですか?」


 声を掛けたらすごい驚かれた。


「えっ!?はいっ。……あのもしかしてツブラ様ですか?」


「そうですけど」


 兵士は細い棒を口に咥え、息を吹く。細く高い音が辺りに響き渡った。


「ツブラ様、代官様のお屋敷にご案内いたします」


 と言うので、着いて行った。今回はすんなり門をくぐりお屋敷まで行く。前回案内された場所、広い応接室に入る。


「魔法使いツブラ様が参りました!」


 案内してくれた兵士が高らかに告げる。


 中に促されて入ると、そこには警護の人間と文官ぽい人が数人、前回対応してくれた執事っぽい人。身体が逞しい初老の男性となんかキラキラした青年がいた。

 初老の男性とキラキラした青年が執事っぽい人を見ると、執事っぽい人が口を開いた。


「ツブラ様でございます。ツブラ様、正面のソファにお座り下さい。応対は正面に座っておられる王太子殿下が行います」


「王太子のメルセドム・ティニースと言う。ツブラ殿よろしく頼む」


「ツブラと申します。王太子殿下よろしくお願い致します」


 カヨは内心で悲鳴をあげていた。顔が引き攣っていないだろうか?なんでキラキラ王太子殿下がここにいるのよ〜。


「さっそくだが、ツブラ殿。金銭の準備は出来ている。確認していただきたい。そこで、価値に見合うだけの瞬間移動扉を用意してくれるだろうか?」


「はい。分かりました」


 文官ぽい人達が机の上に大きなカバンを置き出した。そこでカバンの蓋を開けていく。目が飛び出るかと思った。初めて見るけどこれって虹貨よね?こんなに沢山まさか、全部瞬間移動扉の代金じゃ無いでしょうね。王太子が口を開く。


「虹貨10000枚だ、この金で頼む」


「全部でございますか?」


「そうだ」


 何枚出せばいいのよ〜!!


「何組ご入用ですか?」


「この金で買えるだけ」


 ツブラは立ち上がり、前回セットしてあった瞬間移動扉を2枚外した。王太子殿下が慌てて立ち上がり。


「この金では足りなかったのか?」


 と聞いてくる。え?なんで?足り過ぎなんだけど。


「いいえ、充分足りております。1度セットした瞬間移動扉は私でないと取り外しが出来ませんので、先に取り外させていただきました」


「そうか……」


 王太子殿下はホッとしたように座った。私は瞬間移動扉を順番に壁に立て掛けて出して行く。18組出し終わったあとで置く所が無くなったので王太子殿下に聞く。


「まだあるのですが、扉を何処にだせば宜しいですか?」


 王太子殿下は呆然としながらも「幾つあるのだ」と聞いて来たので「まだまだあります」と答えた。頭を痛そうにしながら「あと2組だしてくれ」と言った。適当に、床に2組置いた後、机の上の虹貨をアイテムボックスの中に閉まって行く。全部閉まった後


「何か今ご入用のものはございますか?」


 と聞くと王太子はびっくりした顔をしたが、真面目な顔に変えて「後は何が貰える?」と尋ねられたので「何でも」と答える。


「毒無効の身につけられる物を複数もらえるか?」


「はい。他には?」


「他に……済まないが時間を貰えないだろうか」


「わかりました」


 と答えコピー用紙とボールペンを王太子に差し出し「この紙に欲しい物を記入して行って下さい」と渡した。

 初老の人と顔を見合わせ「ツブラ殿にはお茶と菓子を用意させていただく、私達は1度席を外させてもらう」と出て行った。執事っぽい人、もう執事でいいか、がお茶とお菓子を準備してくれるらしい。待つか。



 その頃の別室


「何なのだ!あれは!あれだけ移動扉を出して置いて、他にも何かくれるそうだぞ!?」


「殿下気持ちは分かりますが、落ち着いて下さい。何かくれるなら貰えばいいだけの事です。長く待たせてツブラ殿が気分を害されるといけないです。欲しい物を紙に書き出さねば」


「ああ。そうだな悪い取り乱した。悪い。欲しい物を紙に書こう。リンダーン相談に乗ってくれるか?」


「もちろんですとも。せっかくです。実現不可能そうな物も書きましょう。渡すときに用意出来ない物はしなくても良いと言うだけです」


「そうだな。」と王太子殿下もいたずらっ子の顔をした。




 応接室ではツブラがおいしいお茶とお菓子を優雅に食べて飲んでいた。やっぱりこの世界、おいしい物が多いと思いながら。

 お菓子も何重にも生地を重ねて焼いたのか、サクッとした食感がたまらない。味もおいしい。太らない痩せない体質にメンリル様に変えてもらったのでカヨは遠慮しない。優雅に食べているようで、お菓子のなくなり方は早い。時間を持たせなければならないミンドは、甲斐甲斐しくツブラのお世話をしていた。

 ツブラが何度目かのお代わりをしたところで、初老の男性と王太子が帰って来た。紙を机に置き「これを頼む」と渡してきた。私は紙に書かれた内容を読み、お茶を飲む。


「監視がいない、別室を用意して下さいませ」

 と言い立ち上がる。


 ミンドが慌てて「ご案内致します」と部屋を一緒に出て行った。


 王太子殿下とリンダーンは顔を見合わせ、「用意出来ないと言わなかったぞ」「そうですな」と言葉を交わした。



 その頃カヨは用意された客間に1人でいた。気配察知を使い誰もいない事を知り、「あー気疲れした」とソファに座る。

 王太子殿下が欲しい物を書いた紙をみる。魔石が付いているものは隠蔽だな。作るのは毒無効の身につけられる物。男女どちらか言わなかったのでどちらがつけてもおかしく無い物にしよう。王太子様が書いたのよね、王族が使うかもしれないって事か。シンプルな指輪にしようかな劣化するといけないから、ミスリルでサイズ自動調節。数は10個。創造魔法・毒無効の指輪10個!出来た。次は……。




 結構時間が掛かったなぁと思い。応接室に帰る。ドアを開けたら兵士が2人こんにちはしたので、案内してもらう。


「お待たせしました。準備に時間が掛かってしまいました」


「私共の事はお気になさらず」


「そう言っていただくとありがたいですわ。さっそくリストの中から紹介します。その前に自動で移動する馬車ですが動かすには技術と大きな魔石がいりますの、なのでご用意出来ませんでしたわ。」


「用意出来るようにするにはどうしたらいい?」


「説明書を読むか、私が教えるかですが」


「それを明日の日が出ている時間に教えて貰う事は出来るか?」


「まぁ出来ますけども」


「どうしてもお願いしたいのだ。頼む」


「分かりました。でも私、寝起きがとても悪いんですの。お昼過ぎになりますわ」


「それでいい、感謝する」


「では他のものを取り出していきますわ。1つ目が毒無効の指輪10個です。次は自動結界人用10個。そのつぎは範囲結界馬車2台分10個に馬車4台分10個、馬車6台分が10個。マジックバッグ時間停止。バックの好みが分からないので勝手に決めさせてもらいました。容量は特大10個。飛行魔法が使える指輪10個。魔力増幅付きの治癒魔法が使える杖10本。魔力が使えない人でも使える治癒魔法の杖10本。次は……」


「少しお待ち下さい!リストを作りますので」


「急いで下さいな」


「はい」




「ツブラ様出してもらって大丈夫です」


「続けていきます。次は魔剣を10本。物理攻撃無効と魔法攻撃無効の指輪……」





「……時空間魔法が使えるようになるスクロール10個、希望の物はすべてです。私帰りますわ」


「お送り致します」


「結構ですわ、1人で帰ります」


 カヨは外に出て前回と同じく飛行魔法で帰って行った。


 カヨが出て行った応接室では王太子殿下とリンダーンが度肝を抜かれていた。


「リンダーン、ツブラ殿はすべて用意されていったぞ」


「そうですな。まさかすべて用意してあるとは」


「ツブラ殿は我々の想像の上をいかれたな」


「そうですな」


 2人共短時間に感情を揺さぶられ続けて疲労困憊していた。




 一方インビジブルをかけて孤児院に帰ってきたカヨも疲れていたが、明日の為の準備をしなければいけない。異空間住居の庭でキャンピングカーの検索をしていた。


「王族が使うかもしれないから豪華に、トイレと風呂が付いている物がいいな、ベットがついた物も準備してキッチンは欲しいよね。ソファでくつろげる物もいいし。魔道具化して魔石を隠蔽して、結界石を組み込んで、速度を出すと危ないから馬車より少し早いスピード、最高速度は35キロまでにして劣化防止を安全の為に付けて、文字を異世界の言語に変えてとこんなところでいいかな購入」


 カヨは疲れ過ぎて独り言が出てしまっている。

 目の前には、キャンピングカーが4台鎮座していた。全てをアイテムボックスに入れて、自室へ向かうと頭の上に置いてある目覚まし時計をセットして眠りに落ちた。





 翌朝、目覚まし時計で目が覚めたがまだ眠い。1階に降りカルロス一家に挨拶して、驚かれた。変身魔法をかけたままだったみたいだ。

 まだ眠いから眠ると報告すると、体調が悪いのかと心配されるが、寝不足なだけと言い、一家を部屋へ送り出す。カヨは2階に行き二度寝した。



 昼近くなって起きたカヨは朝の準備をして孤児院の部屋に戻り、部屋から出て行く。


 厨房を覗くと昼食が出来ていたので、先に貰えないか聞いてみたら、いいと返事をもらい昼食を食べる。朝食べていないから昼食が余計おいしく感じる。


 食べ終わる頃に子供達が来て「おはよう」と挨拶すると、元気良く「朝じゃないよ!」と言われてしまった。そうだね、お昼だね。


 院長が来たので午後から出かける事を話す。食器を返却して、孤児院から外に出た。


 人けがないところでインビジブルを掛け、変身魔法もかける。飛行魔法で空を飛び代官屋敷が見えたので、近くに下りる。兵士さんがまた沢山いたので声を掛けて屋敷に案内される。今日は外で用事があると言えば、呼びに行って来ますと屋敷に入って行った。


 執事さんと王太子殿下、初老の男性が出てきたので、キャンピングカーを持って来た事を言うと?が飛んだので馬なし馬車だと言った。運転する物を呼ぶと言うので、アイテムボックスの中からキャンピングカーを4台外に出した。中を見たいと言うので、案内する。皆、外なのに部屋みたいな中を見て興奮していた。


 「この4人に教えてくれ」と言われたので、みんなまとめて教える事にした。

 鍵を取り出し開け方を教え、椅子に座らせ椅子の位置ミラーの角度を合わせさせる。運転の仕方を教えて助手席に乗り、馬車より少し早いくらいの速度を意識させ運転させる。鍵を閉める事とシートベルトを締める事を徹底させる。カーブする時にコツがあると言うと、御者をしていただけあって分かったようだ。他の人に教えてあげてと言えば、素直に他の人に教えに行った。「もう乗れるのか」と聞いて来たので「もっと練習がいる」と答えておいた。


 私の用事は終わったので帰ると言うと、王太子殿下に引き止められ、また連絡するにはどうしたらいいか聞かれたので、気が向いたら来ると答えた。王家の紋章が入った指輪を渡されたが、要らないと言えば無理矢理手に持たされた。「じゃあね」と言い空を飛びインビジブルをかける。



 孤児院の部屋に行き、変身魔法とインビジブルを解除する。


 応接室に行き、ルンカさんに


「挨拶はどうしたらいいですか?」


 と聞くと右手を胸の上に手を当てて腰から30度くらいお辞儀するようだ。ひっそり勉強に加わる。


 キラキラしい人には関わらないと誓った。お金がない時は例外だが。


 

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