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孤児院で生活 14

 10日ほど日々変わらなく過ごした。変わりなくってのはちょっと違うか、孤児院には変化があった。

 孤児院の子供達に仲間が増えたのだ。

 まぁ、孤児が増えたのだが。


 ある日、10歳くらいの子供がその子よりもさらに小さい子供を4人連れてきた。育児放棄にあったそうだ。その子が言うには、子供全員娼婦の子供だと言う。全員兄弟ではなく他人で、1つの部屋で育てられたようだ。

 何日も食事しておらず、1番小さな子3歳くらいの子が病気になった事で、孤児院に助けを求めて来たのだ。子供の病気はフランさんが治した。満足に食事も取らないまま放置された事で免疫力が低下して悪い菌を貰ったみたいだ。


 10歳のカミルくん達は食事も日常的に貰えたり貰えなかったりしたそうで、私が初めて孤児院に来たときに見た子供達よりも、痩せて汚れて見えた。院長が5人にクリーンをかけ、バズさんが卵がゆを作り(卵は提供した)5人に食べさせて、カミルくんは泣きながら「もっと早く助けを求めたらよかった」と言い、お粥を食べた。他の4人も一生懸命、食事をしていた。その後、十分に水分を取らせて空き部屋で寝かせた。


 今回は特殊なケースだそうで、子供達は表に出さず部屋と畑で育てるようだ。親がいなくなった訳でもなく、捨てられた訳でもないので、カミルくん達が帰ると言い出さないなら、もし親が来ても子供保護の為隠すそうだ。


 孤児院が、ちょっと複雑な作りをしていたのが、この為だと分かった。


 子供達が寝て起きたら、私とモニカさんで散髪と新しい服と靴の支給だ。

 髪を切って服を新しくしただけで別人だ。これなら母親にバレないだろう。



 カルロス一家との勉強も次のステップへと進んだ。みんな文字が覚えられたのだ。次は数字の読み書きだ。私は出来るが。


 あとは良い報告だ。カルロスさんが生活魔法を覚えられた。今度からモニカさんとミーチェちゃんへのクリーンはカルロスさんが、する事になった。


 私はカルロスさんに新たな試験を出すことにした。モニカさんとミーチェちゃんが魔法を使えるように魔力訓練をすることだ。モニカさんの魔法適正は、生活魔法と氷魔法で、ミーチェちゃんは生活魔法と治癒魔法の適正があった。カルロスさんは水魔法の適正だ。

 どれくらいの期間で魔法が使えるようになるか楽しみである。



 今は午後の応接室、カルロス一家とルンカさんとお勉強の時間だ。私は法律の教本を読んでいる。ルンカさんが買って来た教本は学生向けの本で比較的安く売っているものだそうだ。そんな本があるなら教えて欲しかった。雑貨屋で売っているそうだ。今度行こう。


 法律の教本は面白かった。前に勉強部屋で院長が、子供達に読んでいたのを聞いて面白いと思ったが、やっぱり面白い。

 獣人の耳と尻尾を触ってはいけません。触るのは家族だけです。とか書いてある。触りたかったけど触っちゃ駄目なのかぁ。残念。セクハラになるそうだ、軽犯罪。子供は駄目?駄目かなぁ。

 同じくエルフの耳とドワーフのヒゲも触ってはいけないそうだ。触ってはいけないと言われたら、触ってみたいと思う矛盾した気持ち。なんだろなぁ。


 そういえば、この街では人間がほとんどで、たまに獣人の人を見るくらいだ、人種差別はしない国だって何処かで聞いたけど、人数が少なすぎる気がする。エルフとドワーフは見た事無いし。困った時のルンカさん!聞いてみると、


「獣人やエルフ、ドワーフはみんな仲間意識が強いらしくて、地方に固まって住んでいるそうですよ。たまに好奇心が強い人が他の場所に旅しているとか、聞いた事があります」


 ルンカさんにお礼を言って、数字の勉強に戻ってもらう。獣人やエルフにドワーフは地方にいるのか。行ってみたい。だってファンタジー!気になる。

 聞いてみたい事を思い着いたので、ルンカさんを呼び聞く。たびたび手を止めさせてごめんよ。


「軽犯罪の人はどういった処罰を受けるんですか?」


「軽犯罪の人は厳重注意と罰金で釈放されるそうです。罰金が払えない場合、期間限定の犯罪奴隷になります。犯罪奴隷の期間が終われば釈放されるそうです。再犯率は高いようで兵士の方が困っていると聞いたことがあります」


 期間限定の犯罪奴隷。初めて聞いた。再犯率が高いのかぁ。怖いね。どうにかならないものか。偉い人頑張って!

 また法律の本を読む。うむ、面白い。



 夕食の時間になったようで、廊下から声と足音が聞こえてくる。私達も夕食だ。


 夕食を食べ始めて、チラ見でカミルくん達を見る。まだ痩せてるけど、顔色は良い。周りの子供とも仲良くしている様だ。子供が元気なのは良い事だ。豆が沢山入った煮物を食べる。バズさんの食事はいつもおいしい。幸せな事だ。病気の時は、何を食べても美味しく感じなかった。それに比べて今の私は恵まれている。


 あとそうそう、フランさんが希望する子供達に服の作り方を教えているそうだ、フランさん長く生きてるだけあって、出来る事が多い。子供達の将来は針子さんかな?


 食事を食べ終わり、みんな部屋に帰る。異空間住居の中にカルロス一家と入り、カルロスさんがモニカさんとミーチェちゃんにクリーンをかける。カルロスさんのクリーンは確かにきれいになっているんだけど、もう少しきれいになるはずなんだよなぁ。魔法はイメージ。イメージ力が足りないって事かもしれない。カルロス一家にお風呂に入ってもらうか。


 家に入って、カルロス一家にお風呂に入りましょうと言う。お風呂は貴族か公衆浴場しかないので、驚いている。モニカさんに、お風呂の沸かし方や使い方を教える。地球通販でシャンプーや石鹸を買って、お風呂に置く。ゴシゴシタオルも買う。使い方を教え、お風呂はいつ入ってもらってもいいと、自由に使って下さいと言いお風呂に家族で入って貰う。

 カルロスさんにはクリーンのイメージを掴むように念を押しておく。

 私は地球通販で体を拭くタオルを人数分出して脱衣所に置き風呂場から出て、2階に行く。


 パソコンでネットサーフィンをして楽しんでから、寝室に行き就寝。



 朝リビングに行ったら、カルロス一家の頭が寝癖だらけだった。ドライヤーを渡すのを忘れていた。前に買った履歴からドライヤーを購入して、丸い櫛も購入する。モニカさんに、ミーチェちゃんの頭を使って寝癖の直し方を教えて、ドライヤーと櫛は贈呈する。家族みんなで寝癖を治しているのを横目で見つつ、朝ココアを飲む。平和だなぁ。




 それからまた10日くらいたった。

 孤児院に増額した援助金が貰えた。院長はあわあわしていたけど、本来はこれが普通なのだ。

 初回だからか、明細が書いてある紙が入っており、院長の給料を引き、奴隷達に金貨5枚ずつ渡す。あとはバズさんに食費を渡し、残りは金庫だ。私とカルロス一家の生活費も院長に渡す。

 院長はお金が貰えた事で一安心した様だ。


 変わった事と言えば、エリックくんがバズさんの買い物に着いて行くようになった。食材の良し悪しや店主との交渉の仕方を教わっているらしい。その途中で同じ歳位の女の子に声をかけられたようだ。バズさんが言うには、その女の子はエリックくんにLOVEな様で、孤児院に住んでいるところまで、エリックくんに聞き出したらしい。なんとも積極的な女の子だ。そのエリックくんだが、魔法の習得を目指して訓練している。あと数ヶ月で成人らしい。頑張って貰いたいものだ。


 カルロス一家の勉強だが、全員数字の勉強を終えてお金を使いながら計算の仕方を教わっている。私は金貨までなら余裕なのだ。金貨までなら!あとはその上の貨幣を教えてもらいたい。





 孤児院に来て、1ヶ月ほど過ぎた。私達も、孤児院に馴染んだものだ。カルロス一家は今も計算を教えて貰っている。


 私はルンカさんに教えて貰った雑貨屋さんにきている。結構広い。雑貨屋と言うだけあって、家庭で使う物から安いアクセサリーまで色々置いている。私のお目当ては本だ。前に本屋でみた本より安っぽい作りだが、実用的に使えそう。勉強の教本はルンカさんが買ってあるので、子供達への本を選びましょう。冒険物が鉄板かなぁ。恋愛ものは早い気がするし、でもこの世界では成人が早いから意識してもらうように買うのも良いかもしれない。孤児院の子供達が、誰ちゃんが好き誰くんが好きってキャッキャしているのを想像してみると可愛い気がする。よし!買いだな。7冊程買った。安かった。雑貨屋は庶民の味方。覚えた。


 孤児院に帰り勉強部屋に向かう。本棚に買って来た本を並べると、読み書きの練習している世代が、うずうずしている。「読んで良いよ」と言えば嬉しそうに取りにくる。娯楽が無いのだよ娯楽が。娯楽かぁ。インターネットで調べようかな。


 見ていると「文字が読みにくい」と言う子が出て来た。前に買った子供向けの本より質が良くないし文字も小さいからなぁと思い近くに行くと、ちょっと様子が違う。子供の目をサーチしてみる。視力が落ちている様だ、手を目元に当ててやりヒールを魔力多めでかける。治ったようだ。「見える!おねいちゃんありがとう!」と感謝してくれた。かわいい。

 一人一人健康診断とかした方がいいかもしれない。院長に相談してみるか。


 院長の近くに行き、視力が下がっていた子がいた事、治療したが、他にも知らないうちに身体が悪くなっているかもしれないので、ルイーネさんとフランさんに協力してもらい子供全員に健康診断をした方がいいと話す。

 院長も同じ事を思ったのか、そく「健康診断しましょう」と言ってくれた。明日の午前中にするそうだ。



 翌日、散髪で使っていた部屋にフランさんとルイーネさんと院長。廊下に2列に並んだ子供達+私。健康診断の始まりだ。フランさんとルイーネさんがサーチで病気や悪い所がないか調べる。悪い所が見つかれば、ヒールで治す。この繰り返しだ。フランさんとルイーネさんが途中で魔力切れになったので、創造魔法で魔力譲渡を作り、2人に魔力を注いでいく。魔力が回復したらまた診断だ。診断が終わった子供達は勉強部屋へ向かう。

 全員終わって2人に「どうでしたか?」と聞けば、悪い所があった子供は半分近くいたそうだ。古い骨折あとがあり歪に治っていた子、視力が落ちていた子、腫瘍が出来ていた子、無理に小さい靴を履いて指先が変形した子、いろんな子供がいたそうだ。

 今回の健康診断でみんな治っただろう。院長が2人に「またお願いしますね」と言っていた。


 数日経ったある日、カルロス一家が計算を覚えた。待ちに待った硬貨を教えてもらう日だ。

 鉄貨10枚で銅貨1枚、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨100枚でプラチナ貨1枚、プラチナ貨10枚でミスリル貨1枚、ミスリル貨10枚で虹貨1枚だ。

 教本に書いてある原寸大の絵をみせてもらう。プラチナ貨とミスリル貨は金貨より大きい。虹貨は不思議な色に輝く硬貨だそうで、やはり金貨より大きい。色がついていたらなぁ、とちょっと残念。


 大きいお金を稼がねば!と気合いを入れる。他、日常的な事から旅をする為の常識を教えて貰う。

 仕事が欲しい人は、職業斡旋ギルドへ行くだとか、何かトラブルがあれば兵士の詰所か役場に行くこと。改善して欲しい公共の事があれば役場。お金を借りるなら、信用がある長く民に愛されている商会か商業ギルド。お金を預けたいなら、商業ギルドか冒険者ギルドが一般的。他のギルドにも預けることが出来るが、関係者くらいらしい。治安が悪い所では、子供を1人で行動させてはいけない。この街カリオンでは大丈夫だそうだ。治安が良いってことね。

 この街では門を出たら農業地や酪農家・畜産家に囲まれているから危険は無いそうだが、他の場所に行った時、門の近くに森がある場合は魔物がいるかもしれないので注意する事。旅をするなら護衛付きの乗合馬車か自分1人や身内だけで出掛ける場合は護衛を3・4人連れて行く事。基本的には人がよく通る街道では兵士が見回りをしているので安心な事。逆に人があまり通らない場所は危険らしい。屋台や市場などでは、買物に慣れていないと見られるとぼったくりやお釣りを間違えられるので注意する事。などなど沢山あるなぁ。一般常識一般常識。

 悪い領主が収めている場所は立ち入らないようにする。悪い領主ってどうわかるのさ。農地に元気が無い?へぇ。子供達が遊んでいない。ほぅ、分かりそう。市場などの値札はあらかじめ高く書いてあるので、交渉して安くしてもらうのが普通なのだそう。難しいなぁ。交渉。貴族の子供と平民の裕福な人は学校に通うらしい。はい!ルンカ先生!


「子供を学校に通わせるメリットって何ですか?」


「今の孤児院には院長と私がいるので、知識面は問題ありませんが、ステータスですね、就職する時学校に行っていた人は信用が出来ると見られます。有利ですね」


 そういうことか、中卒ですと言うより大卒ですと言った方がいいような感じか。ミーチェちゃんはどうするんだろう。



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