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孤児院で生活 13 神官

 朝起きて食堂に行き朝食を食べた後、表の広場に子供達が集まる。

 今日は教会に魔法適正を調べてもらうのだ。


 子供達は2列に並び隣の子と手を繋いでいる。

 大人は院長とバズさんとルイーネさんと私だ。子供達を囲みながら進むのだ。


「皆さん!行きますよ!」


 院長が言うと「はーい」と元気に返事をしていた。子供達はご機嫌さんだ。

 みんな子供達の歩く速さに合わせてゆっくり歩いていく。通りかかった大人達が驚いて、何事か囁いていたが、子供達はどこ吹く風、街の風景に興奮してはしゃいでいる。たまに、列から離れそうになる子に注意をして戻ってもらう。


 教会に着いた、院長が受付で説明してお金を払っている。神父様やシスターが出てきて案内してくれる。1人ずつ調べてもらうようだ。


 1番に調べてもらった子が適正が書いてある紙を持って、院長に報告している。生活魔法と水魔法のようだ。2人・3人と院長にみんな報告に来る。泣いている子供が来て院長に抱きついた。7歳くらいの子供だ。どうやら適正が無かったようだ。こんな事もある。


 全員が終わり、私は院長にも適正検査を受けるようにすすめる。遠慮していたが受付にお金を払うとシスターが院長を連れて行ってくれた。


 院長が来たらまたみんなで並んで、手を繋いで孤児院に帰る準備だ。さあ孤児院に帰ろう!


 孤児院に着いたら、院長は子供達と勉強部屋へ行った。バズさんが「時間がねぇなぁ」と言い厨房に入っていく。私は自分の部屋から異空間住居のリビングに行き、椅子に座り地球通販でショートケーキを孤児院にいる全員分買い、アイテムボックスへとしまう。


 部屋から出たら勉強部屋だ。院長は魔法と本の説明をしていたらしい。適正が無かった子供達が隅で暗い顔をしている。これじゃダメだと思い、本棚から物語の本を取って子供達の所へ向かい、本を声に出して読み出すと、本へ興味が移ったのか顔が明るくなって来た。もう大丈夫だ。

 ここの子供達は精神的に強い。ひもじい中、力を合わせて生きてきたのだ。こんな事でへこたれない。

 3冊全部読んで本を渡してあげたら、「私このお話が面白かった」「僕はこっちの方が」と感想を言って、また読み出す。


 うん。子供は元気なのが良いよ。私は幼児さん達のところへ行き、5歳くらいの子供に魔法適正の紙はどうしたのか聞くと、小さい子供達の分は院長が預かっているらしい。そうだよね、紙を破いたり、食べちゃう子がいるといけないからね。子供達をわしゃわしゃ撫でた後、厨房に向かった。


 バズさんが1人で料理していた。 何を作る予定かと聞くと、時間が無いからじゃがいもをマッシュした物に調味料で味つけするらしい。手伝いに入る。食後にケーキを食べる準備がしてあると言うと、「じゃあ、昼食は少し少なめだな」とじゃがいもを何個か回収して食糧庫に持っていった。皮を剥き終わったら、バズさんがじゃがいもを茹で始めた。


 バズさんが後ろを向いている事を確認し、地球通販で折り畳み椅子を買う。組み立てて座り、茹で終わりを待つ。


 茹で終わったら、急いでじゃがいもを潰していく。バズさんに小さいかけらは潰さなくていいと言われた。ちょっと、ごろっとした食感にするようだ。 


 食事と食器の準備が終わったら、ショートケーキを出していく。食堂がざわざわして来た。子供達が昼食にきたのだ。バズさんが配膳している時に「食後におやつがあるからな」と子供達に声をかけていく。子供達は「おやつ!」と嬉しそうだ。

 食後、大人達でケーキを配っていると、子供達から歓声が上がった。よほど嬉しかったようだ。食べ始めてからも「おいしいおいしい」と聞こえてくる。準備していて、よかった。



 午後はカルロス一家と応接室で勉強だ。

 まだ文字の勉強をしていたので、私はルンカさんに教本を借りて読んでいく。ティニース王国の歴史書だったので、言葉は堅苦しいが物語のように読んでいく。今は王国暦587年だそうだ。ルンカさんが買ってきた最新の本だから間違いないだろう。10年ごとに記念祭が国中で開かれるようで、どんなお祭りだろうと想像してみる。絶対参加しよう。


 誰これが何してこうなったと書いてあるが、うん、分からん。そういえば歴史ってそんな物だっけなぁと思い出してきた。暗記問題だ。歴史はそんなに真面目にしなくていっかーとパラパラ見てみると、ちょいちょい地理的な事も書いてある。どこそこで何かの栽培が成功したとか……。ちょっとだけ真面目にしようと思った。特産品とか好きなんだよね。


 最後のページを見て見るとティニース王国の地図が載っていた。この情報は欲しい。マップを起動して画像を取り込め無いか試して見る。出来た!自分の居場所が分かった。王都が中心くらいにあり、そこから西へ進んだところが私達の住んでいる街カリオンだ。以外と王都に近い。そこからもっと西へ進むと海がある。行ってみたい。海岸線は南・西から北側をコの逆字で通っている。塩はここから運ばれて来るのか。高いのがわかるなぁ。他国に接しているのが東側と……。


 創造神が作った神殿はどこだろう。ルンカさんに聞いてみよう。


「ルンカさん、創造神が作った神殿て何処にあるんですか?」


 地図を見せる。


「王国の右中央、大陸のちょうど真ん中にあると言われています」


 地図を指差して教えてくれる。マップに軽くチェックをする。


「もう一つ聞きたいんですが、神殿を管理している神官はどうやって選ばれるんですか?」


「神官は神に真摯に祈った者の手の甲に、神官の印が現れるそうです。現れたからと言って神殿に勤める義務はないのですが、不思議な事に生活が困窮していたり、自身や身内が不幸だったりする家庭に現れる事が多いそうです。神官になると、家族の生活は神殿の近く実り豊かな、治癒魔法使いもいる所で暮らしていけるので、ほとんどの人が神官になると言われています。寄付金は各国から集まるので生活は豊かだそうですよ。ですが、神官を務める者はごく少数ですが、印が突然なくなり、神官を続けることが出来なくなるそうです。住まいも神官の住む区画に居られなくなるので悲惨らしいですよ」


 疑問が1つ解けた。ルンカさんに「ありがとうございます」と勉強を続けてもらう。

 各国は神託が降りたらいち早く伝えてほしいから寄付するんじゃないかな?お金と人が集まれば経済が回る。んで、豊かになると。あえて、権力を持ったら傲慢になりやすい人は選ばないと、神様考えてるね。




 みんなと勉強していると、廊下を歩く子供達の音が聞こえてきた。夕食だ。今日は終わりだなと、ルンカさんに教本を返す。

 応接室にいたみんなと食堂に行くと子供達はもう配膳の列に並んでいた。私達も並ぶ。今日は、炊き込みご飯にゴロゴロ野菜のスープ。炊き込みご飯!バズさんの成長が素晴らしい。やっぱりおいしゅうございました。



 部屋に帰り異空間住居に行く。玄関を入ったところで、カルロスさんが「生活魔法の練習を今日からします」と教えてくれた。私は「頑張って下さい」とおやすみをした。



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