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孤児院で生活 11 創生神話

 朝起きて、孤児院に行く準備をする。


 リビングに行き、朝のココアを飲む。思いついた事があるので、生ゴミ処理機を地球通販で選ぶ。堆肥に出来るタイプがいいんだけど。大きめのを探し、口コミや性能で選んでいく。魔道具化して、面倒な手間も無くして中に生ゴミを入れるだけで土になる様に作り変える。ポチッと購入。リビングの床に出てきたのでアイテムボックスに入れる。


 モニカさんが「何を買ったの?」と聞いて来たので説明する。カルロスさんと2人で羨ましがっていた。君たち今は農家じゃないんだから……。


 部屋から出て、食堂へ行く。配膳の列に並ぶと、ルイーネさんとフランさん、ルンカさんがカートに白い飲み物を積んでいた。はて?私は今日牛乳の用意はしていない。この飲み物は何かと聞くと、ボウの乳だと教えて貰った。


 どうやらボウとは家畜化した魔物の様だ。昨日バズさんが買って来たらしい。朝食を貰い席につくと、カートでボウの乳を配っていたので1つ貰う。飲んでみると美味しい!!地球の牛乳の味が、薄く感じてしまうほど濃厚な味だ。こちらの世界、結構食材そのものが単品で美味しい物が多い気がする。

 朝食はいつもの物を少しアレンジした様だ。美味しい。


 朝食の片付けを終えると、ルンカさんの所へ行く。「勉強を何処でしますか?」と聞くと、教材が無いから午前中に買って来て、午後から応接室で勉強するらしい。午前がフリーになった。


 院長が孤児院に欲しい物を紙に書いて持ってきてくれた。タオルやシーツなどのリネン類が多い。午前中のあいだに準備しておこう。


 カルロス一家はいつもの勉強部屋に行き、私は厨房へ。


 バズさんに買った食パンのパン焼き型とパン切り包丁を出し「使って下さい」と机の上に置いていく。バズさんは真剣な顔をして器具を見ていた。裏口から出てすぐの所に、生ゴミ処理機を置いてバズさんに使い方を教えると、バズさんに真剣な声で呼ばれた。


「カヨさん俺や孤児院にはありがたいが、商業ギルドにはこの品物や魔道具は登録してあるのかい?俺はこの孤児院に来てから、カヨさんが用意してくれる物は初めて見る物ばかりだ。カヨさんが魔道具の作り方を知っているなら商業ギルドに特許登録したらどうだい?」


 と言われるが、私の国にあった物だと言うと、それはこの大陸の物か?と聞かれたので、違うと答えた。本当は地球の物だからね。それなら問題無いだろうと言われる。船で外の大陸に行く事は命がけなのだそうだ。カヨさんは知っているだろうがと言われたが、私知らないからね!別の大陸人と思われた様だ。そんな訳で、流通していてもごく少数だろうから登録した者勝ちだといわれた。バズさんも好意で言ってくれているから、商業ギルドに行って来ると伝えた。


 その前に確認だ。自分の部屋に行き異空間住居の中に入る。地球通販でドライヤーを魔道具化してコンセントの紐をなくして言語を異世界のものに変える。購入し、ドライヤーをバラす。中を見ていくと魔法陣の様な物が書いてあるだけで、機械の部品が出てこなかった。魔道具化した時に機械の部分は魔法陣と置き換わる仕様の様だ。これなら登録しても大丈夫。ドライヤーを組み立てておく。ついでにこれも登録だ。


 地球通販で院長からのリクエスト品を購入する。タオルなどは沢山だ。


 院長に頼まれた品を渡して、お礼を言われ、商業ギルドの場所を聞き、マップにチェックして出掛ける。今まで購入した魔道具は、購入履歴にデータが残っている。大丈夫だ。



 商業ギルドに着いた。大きい建物だ倉庫もあるみたい。扉は開いているので、中に入る。フロアも広い何人か職員の人達がお客に対応している。


 私は空いている所に行き、魔道具の特許登録をしたい事を話す。「ギルドカードはお持ちですか?」と聞かれたので、持っていないと言うと、作る事になった。用意してくれた紙に必要事項を記入していき、受付に提出する。

 少し待ったあと「出来たカードに魔力を流して下さい」と言われたので流す。小さく光った。これで登録完了だそうだ。

 ちょっと好奇心で、魔力を流せない人はどうするのか聞くと、唾液か血をカードに落として貰い本人の身体情報をカードに覚えさせるようだ。これで、本人以外使用出来ないようにするらしい。なんか痛そうだし、汚い。魔力を使えて良かったと思う。


 魔道具の登録という事で別室に案内された。担当者が来るまで時間がかかると言われたので、案内のお姉さんが飲み物を用意して出て行った所で地球通販を開く。履歴からどんどん今まで作った魔道具を購入し、アイテムボックスにしまっていく。泡立て器や食パンの型、パン切り包丁に天板にラックも購入した。時間が出来たので、魔道具化しない手押しポンプを検索する。沢山出てきたが、簡単そうな作りの物を選んで購入する。扉がノックされたので地球通販を消して、返事をする。


「お待たせしました。魔道具担当のヘイムと申します。よろしくお願いします」


 初老に入ったくらいの男性だ、挨拶をかえす。床に置いてある手押しポンプを見て魔道具だと思ったようだが、違うと否定する。アイテムボックスにしまうのを忘れてしまっていた。使い方を説明すると、画期的だ!との事で「担当者を連れて参ります!」と出て行ってしまった。

 手持ち無沙汰になったので、地球通販であたりめを買い食べる。たまに食べたくなるんだよね。


 ノックの音がしたので返事をすると、ヘイムさんと職人の様な筋肉がついた人がきた。


「魔道具では無い、普通の道具を担当しています。レンダンと申します。よろしくお願いします。お話はヘイムから聞きました。これが現物で?触ってもよろしいですかな?」


 了承の言葉を言うと床に座り込んで、調べ始めた。ヘイムさんは、私の正面に座ってお茶を飲んでいるが、視線はあたりめだったので「食べますか?」と容器を机に置くと「いやはやお恥ずかしい、催促してしまったようで」と言いながらも嬉しそうに口にする。食べて驚いた様だ、固いもんね。「噛むほど旨みが出ますな」と言いながら手は止まらない。ハマったようた。


 2人で黙々と食べていると、レンダンさんが


「これはいい物ですが、井戸の中に落ちてしまいませんか?」


「木でも金属でも良いですが、井戸に蓋を付けるのです。そうすれば、ポンプも落下しませんし、汚れや埃などが井戸に入るのも予防出来ます」


 「なるほどと」ともう一度ポンプを見てから、ヘイムさんの隣に座った。鞄から書類を取り出し、


「こちらの手押しポンプですか?特許登録しましょう他にも登録する道具はありますかな?」


 聞いて来たので泡立て器を出して渡す。調理器具です、と使い方の説明をする。2人はなるほどと「他には?」と聞いて来たので、登録する予定の魔道具と一緒に使う物ですが、と言いいオーブンを出す。

 これには2人共驚いた様で、立ち上がる。


「調べさせていただいても?」


 了承の返事をして取り扱い説明書を渡す。「パンを焼く魔道具でオーブンと言います」と紹介する。ラックと天板と食パンの型、パン切り包丁を出していく。「初めて見る物ですな」と見ていき、ヘイムさんが魔石の所で止まった。真剣な緊張した顔でソファに座り話しかけてきた。


「カヨさん、私は鑑定ができましてな、魔石を鑑定したらーカヨの魔石ーと出て来ました。これは他にバレれば困りますぞ。カヨさん貴方がです。貴方は自身で魔石が作れますな?」


 ごまかそうかと考えたが、ヘイムさんは質問しているようで、ほぼ確信しているだろう聞き方だ。ここは隠すのは悪手だ。正直に言おう。


「そうです。私は魔石が作れます。ナイショにしてもらえませんか?」


「これは、これは……。前代未聞ですな。魔石が作れる人など聞いたことがございません。私達2人が内緒にしていても鑑定が使える者なら分かってしまいますぞ。どうなさいますか?」


 私が作った事を隠せないかな?そうだ!隠蔽魔法を作ろう。創造・隠蔽魔法!私はオーブンの魔石の所に行って魔石を鑑定し、カヨの魔石の部分だけ隠蔽した。これでいいと思うんだけど……。


「ヘイムさん、もう一度魔石を鑑定してもらえませんか?」


「カヨさんこれは!どうやって……。いや、世の中知らない方がいい事もありますな。レンダン!今の話しは誰にも言ってはいけないぞ!」


「ああ、分かった」


「これなら問題ありますまい、もう少し調べさせてもらいます」


 とオーブンを見に行った。ヘイムさんもレンダンさんも良い人でよかった。えーい!迂闊だ私。反省。

 他の魔道具も出して行って魔石を全て隠蔽する。部屋が魔道具でいっぱいになっちゃった。2人も驚いている。


「カヨさん魔道具の作り方が書いた物はございますか?あれば見せてもらいたいのですが」


「作り方を書いた物はありません。現物を置いていきますので、解体して設計図を作って貰えますか?」


「それはこの魔道具と道具をただで譲っていただけるということでよろしいですか?」


「はい、そうです」


 分かりましたと、魔道具の見聞に戻った。魔道具を解析出来る人がいるらしい。私はお茶を飲み、この魔道具は何ですかと聞かれれば説明し、のんびりソファに身体を沈ませた。

 洗濯機だけはお湯を出す魔道具があるので、魔石の代わりに取り付ける事になった。例の水色に赤のマーブル模様がついた魔石は見た事がないと言われて、生産する時に用意出来ないと言われた。付けていたお湯が出る魔石は、創造魔法で剥離を作り、取り外した。



 全ての見聞が終わった事で説明を受ける。すべて初めての魔道具ばかりだと。コンロの魔道具は今までもあったのだが、火力調節が出来なかったらしい。


 魔道具や道具を売り出した場合、開発者が特許登録していれば、売り上げの10%が貰えるらしい。売上は商業ギルドカードに振り込まれるそうだ。洗濯機だけは、追加でお湯の魔道具を付けるので5%になった。契約内容を確認し、魔法の契約書だそうで名前をサインしたら光った。1つの道具につき3枚記入していく。凄い数だ。

 1枚は商業ギルドが管理して、もう1枚はカヨ。そして、もう1枚は商業ギルド内にある小神殿、商業神様に奉納するそうだ。契約内容を破った場合は天罰がくだるらしい。

 なんか前もそんな事聞いた。この世界の神様は随分、人と距離が近いんだなぁ。



 契約が終了して、ヘイムさんとレンダンさんに見送られて商業ギルドを後にした。ギルドカードと契約書は無くしたらいけないのでアイテムボックスにいれておく。


 孤児院に帰ったら表の広場で子供達が運動していた。ルイーネさんがいるから、冒険者志望の子供達だろう。挨拶して中に入り厨房に行く。バズさんに声を掛け、「登録してきました」と報告する。いい笑顔で「そりゃ良かったな」と言ってくれた。厨房にも子供達がいた。ここでも職業訓練だ。


 勉強部屋に入って小さな子供達がいる所に行き、一緒に遊ぶ。あー癒しだ。癒されるー。たまに体当たりされるが、それもいい。かわいい。


 勉強が終わったみたいで、子供達と食堂に行く。子供達が並んで昼食を貰っている後に続く。あ〜!これうどんだ!スープかけたあとは、野菜とお肉が盛られてるけど。席に座って食べる。スープが日本の物で無いせいか、洋風スープだけどおいしい。それにしても、この丼ものの器。厨房では見た事なかったけど何処かにしまってあったのかな。



 みんな食べ終わり片付けしようとしたら、バズさんに止められた。洗い物も練習だからと。了解です。子供達に任せます。



 ルンカさんとカルロス一家と応接室へ行く。みんなが座ったら、気になっていたことを聞く。この世界と神様と人の事。

 ルンカさんは創生神話の話しをしてくれた。


 創造神がこの世界を造り、夫婦神が人を地上に産み落とした。獣神が人神と契り獣人が生まれ、精霊神と人神の間にエルフが生まれ、酒神と人神の間にドワーフが生まれた。皆子供を地上に落とし、植物神が緑を生やし獣神が沢山の獣を野に放った。食物神が種を蒔き、海神が世界の海に命のかけら達を散らした。世界が色づいていく。人が増え人同士で争いが起こる。そこで悪神が世界に悪のかけらを落とした。魔物の誕生である。人々は争いをやめ、魔物と戦う様になった。魔法神が世界に魔法の種をまくと、魔法を使える人や魔物が出て来た。創造神が神殿を地上につくり、神官が生まれた。神が地上に神託を下すことが出来るようになった。時の為政者が神託を偽ると炎につつまれ死んだ。神に逆らう事・神託を偽る事は悪とされ、神の怒りが下されると人々は神を敬い恐れた。神はいつの時代になってもその力を示した。神と神の子供である人は共に歩んでいく。



 創生神話だ。この世界の人々と神の近さに納得した。人々は神がいる事を知っているのだ。

 ルンカさんに、神は何柱いるのか聞いてみたら、分からないらしい。分からないほど多くいるようだ。教会では、すべての神を祀っていると言っていた。多いからだ。納得した。


 ルンカさんに勉強を初めて下さいと言う。文字の練習だ。この世界の言語は日本語が近いと感じる。漢字が無い、ひらがなとカタカナで構成されている様なものだ。文字さえ覚えればあとは単語を記憶するだけだ。

 私は言語理解で文字は読めるし、不思議だが書ける。文字の勉強はしなくていい。ルンカさんは1番覚えが悪そうなミーチェちゃんについている。私は横を向き地球通販で無地のノートを沢山購入する。ソファの横に山積みになってしまった。ノートを3冊だけ持って後はアイテムボックスの中に入れる。鉛筆を4本取り出したらミーチェちゃん、モニカさんカルロスさんにノートと鉛筆を渡す。「書いて覚えて下さい」と。私は鉛筆だけ持って、モニカさんとカルロスさんに分からないところを教える。今日は文字の練習で終わりそうだなぁと。




 文字の練習だけで、終わったな。

 でも2人共うろ覚えだと言っていた割によく書けていた様に思う。あれだな、覚えたけど使わないで忘れちゃったパターン。ミーチェちゃんも思ったより出来ていた。


 さて夕食夕食!モニカさんがミーチェちゃんのノートと鉛筆を預かっている。カルロスさんはアイテムボックスへ。廊下に出るとパンの焼けた美味しそうな匂いがただよっている。今日パン焼いたんだな。

 みんなは食堂に居てもらって、私は厨房を覗く。


「バズさん天板足りましたか?」


「もう少し‥‥後10枚有れば助かるな」


「分かりました。明日持って来ます。生ゴミ処理機はどうですか」


「あれはいいな。大人数作るから、ムダにしない感じがいい」


「よかっです」


 食堂に戻る。畑の子供達も来た。みんなで行列だ。今日の夕食はロールキャベツもどき、なぜ、もどきかというとキャベツより柔らかい野菜の中は肉がぶつ切りで入ってる。おいしいけどさ、これじゃ無い感がすごい。いい匂いさせてただけあってパンはとてもおいしい。食材がおいしいのって、神様が居るからかな?



 夕食後、各々部屋へ帰る。カルロス一家と私は異空間住居へ、クリーンをかけて家に入る。今日はミーチェちゃんがお疲れのようだ、モニカさんに引っ付いて離れない。玄関を上がった所でカルロス一家におやすみする。


 2階に上がり着替えてから2階の空き部屋に行く。地球通販で座り心地が良さそうな、高級ソファを検索する。色々あって迷うなぁ。座り心地が合わなかったら商業ギルドに売ればいっか。とりあえずポチッとな。目の前に大きいソファが現れる。机も選んでポチッとな。うん、いい。いい!前世でソファ買って見たかったんだよね。座り心地も最高!地球通販を開き天板10枚を履歴から買う。あと、ミンサー買おう。今日の夕食気になってたんだよね。電動式は簡単そうだけど、孤児院に魔道具増やしすぎるのも良くないって思ったんだよね。維持費がかかるから。手回しミンサーにしよう。机に挟むタイプが良いかな。購入!全部アイテムボックスの中に入れ寝室へ。


 今日は慣れないことしたから疲れた。おやすみー。





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