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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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院長に打ち明ける

 戸惑っている院長を院長室のソファに座らせて、飲み物の用意をする。野菜ジュースやフルーツミックスジュースが好きなんだけど、院長にはキツいかな?ジャスミン茶を入れることにした。


 院長に飲み物を勧める。


 ちょっと落ち着きのない院長を落ち着かせる為にクッキーも出す。

 私は緊張感がないけどクリムを丸齧りする。最近間食してなかったからね。栄養を蓄えないと。


 私がクリムを食べ終わる頃には院長は落ち着きを取り戻したようだ。今から重大発言をしますからね。


「院長は地上神、運命神の眷属神・希望と破滅の神がこの国から誕生したのは知っていますか?」


「え、ええ。以前にバズさんとエリックが買い出しに外に出た時に役場の前に張り紙がしてあったようで凄い人に驚いて帰って来た時があります。直接は見に行けなかったようですが、重大発表との事で神話の本の印刷が変わると話題になっていました。孤児院では詳しい話は知りませんが」


「まあ、それは創世神話の解釈が違ったのです。

 え〜と、獣神が人神と契り獣人が生まれ、精霊神と人神の間にエルフが生まれ、酒神と人神の間にドワーフが生まれた。だったかな?

 神は自分の伴侶の人を人神に出来ます。なので、神の数だけ人が人神になります。人神は1人じゃない事がわかりました。ここまではいいですか?」


 院長は自分の信じていた創世神話が間違いだと知り驚いている。せっかくお茶を飲んで落ち着いていたのに。


「じゃ、じゃあ、勉強室の神話の本は捨てた方がいいのかしら?いえ、間違った解釈の本が印刷されなくなると貴重だから保管しておいたほうがいいのかしら?どちらだと思います?」


 院長は混乱しているようで、貧乏だった頃の名残が出てしまっている。

 私は無難に「院長室で保管しておいては?」と提案した。


 「そうですね。持って来ましょう」と立ち上がった院長をまあまあと落ち着かせて、ソファに座らせる。


 院長が本を取りに行きたくてもじもじしているので仕方なく「本を取りに行ってください」と送り出した。

 本当にしたい話ができなくてため息が出てしまう。


 抱っこ紐の中で落ち着いているユーリの小さい耳を撫でながら時間を潰す。


 院長が帰って来て、院長室にある本棚に本を収めたところで院長がソファに座って落ち着いたようだ。


「カヨさんは何処からこの情報を知ったのですか?やっぱり役場のおふれからですか?」


 なんだか一気に真実を言った方がいい気がしてきて、ぶっちゃけて話した。


「私が運命神の眷属神・希望と破滅の神なんですよ。首の後ろに神の印があります。そして旦那のノアールが人神です。私の伴侶なので」


 院長がピシッと固まった。持っているお茶が溢れないか心配である。


 なんか、院長が細かく震えている気がする。顔色も良く無い。


 私は排泄したらしいユーリにクリーンを掛ける。綺麗になってご機嫌だ。

 可愛いので、お腹をこしょこしょする。まだくすぐったく無いからか体を少し動かしている。ああ、可愛い顔。


「かみ、さま?」


 院長が小さく声を漏らしたので「はい。神です」と言うと「ひぃぃっ」と院長から引き攣った悲鳴が聞こえた。


 院長には重い事実だったかな?でも親しくしたい院長に黙っているのも何か違う気がする。


 院長が無意識なのか、私から離れようとしているのが悲しくなる。少し時間を置いた方がいいかもしれない。


 机の上にプラチナ貨を5枚置いて立ち上がり、空虚な心のまま裏庭を目指す。


 ミーチェちゃんは何処にいるのかな?と探すと魔法の練習をしている。治癒魔法を使えるから頑張って覚えているのだろう。


 5歳以下の子供達と遊ぶ。

 愛情が欲しい子ばかりだから人懐こい子が多い。空虚だった心が満たされていく。


「あ、あの!姉ちゃん!」


 声をかけてくれた少年を見ると、よその領から保護した子だ。確か今より幸せになるよと神に誓ったんだった。


「元気そうだね。心配事はある?困った事は無い?」


 少年は照れくさそうにはにかんだ。


「う、うん!姉ちゃんのおかげで俺、今、幸せだよ。あ、ありがとう!それだけ!じゃっ!」


 恥ずかしかったのか、お礼だけ言って走って畑まで行ってしまった。

 どうしよう。顔がにやけてくる。かわいい〜!照れた少年、最高だね!


 いい気持ちになって子供達と遊ぶ。

 ふざけて抱きしめると「きゃー!」と喜んでくれる。可愛い。

 スカートを引っ張ってくる子がいるので、ほっぺをむにむにさせると私の手を離そうと必死になる。

 なんで子供ってもちもちほっぺに触られるのが嫌なんだろう?


 小さい子供と遊んでいると「カヨさん!」という必死そうな声が聞こえてきたので、声の主を探すと院長だった。

 私の胸がズキっと痛む。


 院長の顔が見れなくてユーリを見ていると「カヨさん。ごめんなさい」と謝る院長の声が聞こえた。何に謝ってるんだ。癒される為にユーリの耳を触る。


「カヨさんに怯えてしまいました。カヨさんは変わらないのに、私が勝手にカヨさんを差別したのです。私は、私は、孤児を見下す者と同じになっていました。傷ついたでしょう?ごめんなさい、カヨさん。今まで同様にお付き合いしてくれますか?」


 私はぎゅっと目を閉じた。

 目に涙が滲む。


 思い切って院長の顔を見ると、私を心配するような、申し訳なさそうな顔をしていた。


 私は、ホッとした。

 院長は私を受け入れてくれたんだ。

 どこか空虚だった心が満たされる。

 私、拒絶されて悲しかったんだ。


 私はアイテムボックスから神の母乳を取り出してコップに注いだ。それを院長に突き出す。


「コレを飲んでくれたら許します」


 ちょっと硬い声で言ってみた。相手の好意を試そうとするのは子供がする事だとわかっていても、してみたかった。


 院長は真面目な顔をして私との距離を詰めるとコップを手にして、一気に飲んだ!


「何これ!?美味しい!」


 鑑定で院長を見ると活性化状態になっている。経験からきっと魔法が使いやすくなるだろうと思い、躊躇い無く飲んでくれた院長に心が軽くなった。


「もう2度と飲めないミルクですよ!」


 コップを返してもらい、頬を上気させた院長と目を合わせて笑ってしまった。信頼関係は崩れていないようだ。


 「今日は帰りますね」と言って、院長の隣をすり抜ける。


 「また、いらしてください!」と聞こえてきて、泣き笑いのような表情になってしまった。

 私は振り返って手を振った。


 現金にも機嫌が良くなったカヨは最近ご無沙汰だった鞄屋さんに向かう。

 店に入ると、5割がた鞄が並んでいたので、気に入ったものを次々と手に持つ。少し値段が上がったようだが気にならないくらいだ。今までが安すぎた。


 小さい鞄は買わずに残して、店の奥さんにお会計をしてもらう。

 「お久しぶりですね」と声をかけられて嬉しくなり「今後も贔屓にしますので新作をよろしくお願いします」とお願いしておいた。

 金貨82枚を払って、買った鞄をアイテムボックスの中にしまって店を出た。

 アメ色の鞄はやっぱりいいなぁと思い、自宅に帰った。


 三階のルーフバルコニーを眺められるソファに座って、買って来た鞄をマジックバッグにしていき、一つ一つ眺める。これが手作業って凄いなぁと思いつつ我が子を送り出すようにアイテムボックスにしまった。


 まだまだマジックバッグの在庫が足らないので、地球通販でブランドバッグをどんどん買い、選ぶのが面倒くさくなったので、初めの方の購入履歴からどっさりと購入していく。


 ユーリに授乳した後に少し早い時間だがルークの夕食があるので屋敷に戻り、領主館の庭に行くとルークが砂遊びをして砂だらけになっていた。


 一緒にいたマリーシャに「お世話ありがとう。もういいよ」と声をかけて、ルークを持ち上げて砂場から出して軽く砂をはらった後にクリーンをかけて、子供用ハーネスを着けた。


 歩き出すと私のスカートを握ってきたので、寂しかったかな?とルークの頭を撫でた。幸せな感触がした。やっぱりモフ耳は良い。


 屋敷の厨房に顔を出してルークの離乳食を受け取ると食堂に行き、ルークの子供用ハーネスを外して椅子に座らせた。

 ユーリは寝そうになっていたので、静かにベビーベッドに寝かせた。

 その後にルークの前に離乳食を出すと、ルークがスプーンをはしっと掴んだので、慌ててエプロンポケットを装着させた。喉が渇いていたのか、ストローマグで水分を取り、ツヤツヤした口で離乳食を食べる。

 最近上手に食べれるようになってきたなー。


 ルークの隣の椅子に座り眺める。

 いっぱい遊んだようで、よく食べる。


 ちょっと寂しいだろうが、保育園に入ったと思えばルークを手軽に預けられる。

 小さい頃は色々な刺激を与えて脳の柔らかいうちに経験させるのがいいのだ。私の用事に付き合わさせるとルークの成長を阻害してしまう。

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