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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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まさひめ

 雑貨屋を後にして、まだ時間があるので、日本一甘い桃の『包近(かねちか)の桃』の【まさひめ】を地球通販で購入して食べた。


 ヤバい。言葉に出来ないほど美味しい。


 あっという間に種だけになってしまったので、ユーリをベビーベッドに寝かせたまま空いているスペースに大きいプランターを買い、土を適量入れて【まさひめ】の種を真ん中に埋めて土を被せた後に魔力を種に向かって注いだ。ちょっとイタズラ心が顔を出したので神の力も混ぜる。


『虫がつかない菌に強い病気にならない甘い桃になれ!』


 神の力も混ぜたおかげかいつもより吸い取られる魔力が少なくて心配になったが、グングン成長していき、成木になり実が膨らみ始めた。

 白桃と違い、真っ赤になった桃はカヨには見慣れなくて心配になり鑑定してみた。


ー神の桃ー

 神の力と魔力で育てられた桃は糖度40を超え、神魔木となり神がおもわず食べたくなる味に昇華された。この実を食べた者はしばらくの間、多幸感を得る事が出来る。


 「うお!」っと驚いたカヨは恐る恐る一つ収穫して皮を剥き、ゆっくりとかぶりついた。


 頭がジンッと痺れて、口は動いているのに身体が硬直してしまったかのように動きを止めた。

 カヨは惚けた顔をした後に正気に戻り、手の中の桃を無くなるまで一気に食べた。


 部屋の中にふらふらと入りソファに腰掛けて全身の力を抜いた。

 カヨは鑑定通りに凄い多幸感に包まれていた。


 ハッと正気になったカヨは神の桃を収穫して一階の神棚に供えた。正しく神の為に育てられた桃だと思ったからだ。

 そして同時に【危険だ】と訴えかけてくるものがある。


 キッチンに行き、桃を数個渡して「絶対にお客様に食べさせないように」と念を推してから試食してもらうと、みんな惚けた顔になって止まってしまった。

 カヨはまた【危険だ】と思った。

 効果が【麻薬】のようなのだ。

 ルーフバルコニーに置いておいてはいけないと考えて部屋に戻ってルーフバルコニーに行き、異空間住居を開いて念動力で【神の桃】を家の庭に置いてから扉を閉めた。


 安易に神の力を混ぜるものじゃないなと勉強し、もう1つ【まさひめ】を地球通販で購入して実を食べてから、さっきの場所にプランターを出して土を入れて種を埋め土をかぶせて手を土の上に置いて魔力を放出した。


『虫がつかない菌に強い病気にならない甘い桃になれ!』


 今度もメキメキと成長して大きくなり、また真っ赤な実をつけた桃がなった。

 鑑定をする。


ーまさひめー

 急激な魔力の注入により魔木化した木に成った桃。糖度30度以上あり、虫の寄らない病気にならない魔木となった。


 不穏な文字は書いてない。


 カヨは収穫して、恐る恐る食べてみると、幸福な味は感じたが意識を飛ばすほどの物じゃなくて安心した。


 種は取っておいて領主館の裏に植えようとアイテムボックスにしまった。


 まだ時間があったので、バナナの種類を書いたメモを取り出してもう1枚に書き写し、地球通販で以前に大量に買ったバナナを入れる為の大きめの収納袋を種類分購入してアイテムボックスにしまい、ユーリを抱っこ紐で抱っこしてノアの部屋に戻った。


 領主館から出てコナーさんのお店に向かうと、久しぶりの領都の散歩だからか領民みんなが挨拶してくれる。嬉しいな。カヨも挨拶を返す。

 コナーさんのお店は高級店だからか領主館から近い。

 店の中に入って19個買った収納袋を出して刺繍をお願いする。

 店員さんが生地の手触りを確認して刺繍糸を持って来てくれたので、出来るだけ丈夫に作ってくれるようにお願いする。

 特注なので高くついたけれど、お金を払って受取日を確認してからお店を出て領主館に帰る。


 夕方の爽やかな風が吹いて心がリラックスする。

 ユーリも見ると目を細めて気持ちよさそうだ。


 領主館の裏に回ろうとしたけど、ユーリがお乳を飲みたそうだからノアの部屋にに行き授乳した。

 あー、授乳が終わったら夕食の時間にちょうどよさそうだな。


 ゆっくりとした授乳が終わって、搾乳機で母乳を搾ったあとにユーリを抱っこして食堂に向かった。


 食堂に着いたら1番初めについたようで、カトラリーを並べるメイドさんがいるだけだった。


 ユーリをベビーベッドに寝かせてクリーンを掛けたところで、マリーシャとルークが来たので、マリーシャにお礼を言ってからルークのお世話道具を返してもらった。


 ルークを抱っこして椅子に座らせてから、スプーンを握らせて離乳食を食べるのを見守った。


 ルークめ、私がいなかったのにご機嫌とは何事か?お母さんはいりませんか?

 自分からルークを離しておいて、ちょっと拗ねるカヨだった。

 だって、ノアと別れる時はルーク泣くもん。出会った時も歓喜するもん。


 今日は料理長が早くにルークの様子を見に来てくれた。

 食事をしているルークを止めて口の中を覗き込んで歯の様子を見ていた。

 すぐに終わったので、ルークは食事を再開して、私は料理長に「私の料理人の教育をお願いします」と頼んでおいた。

 若く見える料理長は笑顔で「お任せください」と言ってくれて頼もしかった。

 ノアに出会ってなかったら惚れてまうやろー!


 私の好みって抱擁力のあるイケメンで優しい人なんだよね。だから騙されやすいとも言う。


 ちょっと落ち込んだ気持ちをルークを見て解消させる。

 はぁ〜、ルークの顔が仕草が可愛い。

 たまに私がいるのを確認するのも可愛い。全てが可愛い。


 ルークにでろんでろんに顔を崩していたら、ライラさん達がやってきた。

 ビクター君、ユーリより少し大きいよな。ティモシー君は今日はなんだか疲れてる気がするけどどうしたのかな?


「ライラさん、ティモシー君、疲れてません?」


「ああ、今日からお昼寝をやめて、王都の屋敷の部屋を整えに行ったのよ。それでちょっと疲れてるみたい」


 なるほろー。

 子供の頃って14時くらいに眠くなってくるんだよね。

 眠気があっても眠れない。ストレスだ。


 お母様を鑑定とサーチする。

 うん、順調っぽい。お腹の子に栄養がいっている。

 お母様はビクター君とユーリにめろめろだ。

 そういえば、お母様って何獣人なんだろ?尻尾がフサフサで触りたくなる。

 代々の領主がホワイトオオカミの訳がないだろうから……。いや、同種を選んで番いを探している?そうだよ!お母様もライラさんも子供達もみんなホワイトオオカミだ!


 ユーリはどうなるんだろうか?私の色素が混ざってしまっている。ホワイトオオカミではないだろう。雑種のオオカミかもしれない。

 やっぱり、今のうちから全国に行けるようにした方がいいかもしれない。地図を作ろう。記憶が無くなるといけないから大きい地図に書き込んで、獣人の目撃情報も探そう。出来るだけ見かけた獣人をカーマインに来るように勧誘して番いが出来やすいようにしていこう。

 特に行く目的が無かったから行ってなかったけど、奴隷の獣人がいるといけないから奴隷商にも寄るようにしよう。

 対策はこのくらいかな?


 あ、男性陣が来た。

 ノアをお出迎えする。

 「ただいま」と言ったノアの声にルークが反応した!耳がくるりと回ったぞ!


 ルークが一生懸命に後ろを向いて「ぱぱぁ!」と喜んでいる。ノアも隠れるのをやめてルークの視界に入りやすい場所に移動してルークの頭を撫でている。

 この2人そっくりだから見てて和む。


 ノアが程よいところで切り上げて私の隣に座ると、ルークが頑張ってノアの居場所を特定している。

 ……ママは邪魔かい?ルーク。悲しくなるよ。


 ルーク、今日は早く食事を食べ始めたから残りが後わずかだ!頑張って食べろ!


 お父様のお祈りに合わせて私達もいただきます。


 う〜ん、ルークがひょこひょこしてるのが気になる。


 うん?ノアが私の肩から首筋の匂いを嗅いでいる。どうした?


「カヨ、なんだかいい匂いがするね。今日何かしていた?」


 あ、忘れてたけど『神の桃』を作ってしまってからクリーンを掛けていない。


「新しい桃を植えたからかな?今度のは糖度が高いの。美味しいから明日にでも収穫するね」


 ライラさんがぴくりと反応した。


「カヨさん、新しい桃って今までの桃と違うの?」


「はい、赤みが強くて、いつものより甘いですよ」


「私も食べたいわ。裏の畑に成ってるのかしら?」


 ライラさんがいつもよりぎらぎらしてる気がする。


「いえ、自宅に植えたので、裏の畑には明日埋めに行きます」


「植えたら厨房に報告してくれる?」


 おお!変な所で未来の、いや、現領主夫人の威光が出てきたぞ。


「分かりました。少し味見用に収穫してから報告に行きますね」


「お願いね」


 ふぅー。ライラさん、一般庶民だったはずなのに貫禄がありすぎる。やましい事があるから緊張しちゃったじゃないか。

 でも、心なしか子供達も嬉しそうだ。甘味が少ないからね。果物は贅沢品だ。


 おっと、ルークをほったらかしていた。大丈夫か?ルーク?


 ん?カトラリーで遊んでいる。残りあと少しで完食なのに。

 ルークのスプーンでおかずをすくって食べさせる。嫌そうではないから遊びたい気分だったのかも。子供の食事は難しい。

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