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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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自宅の見回り 2

 次はまた数歩歩いた先に『結婚相談所』。


 ここは裏口からすぐ中に入る。


「久しぶりですー。家主が来ましたー」


「カヨ様!」


 コリンが気がついてくれる。


 今は写真を撮っているお客様が1人だけ。

 従業員は3人とも出勤か。


「コリン、コリン、何か足りない物有る?」


「ありますよー。もう少し早く来てくださいー。在庫ギリギリですよ!」


「申し訳ない」


 すっかりさっぱりと忘れてたんだよ。


「足りない物は、予備の紙と写真のフォトプリント用紙とお茶と軽食ですね。軽食は評判がいいんですよ。あ、果物はアイリさんが届けてくれるのでクッキーだけでいいです」


 地球通販でどっちゃりと買った。また来るのを忘れるといけないので。

 クッキーは無添加の物を選ぶよ。少し味は素朴になるけど。私も何個か食べてお菓子を新規開拓しないといけないな。美味しいか不味いかわからない物を提供出来ないからね。


 コリンがせっせとマジックバッグの中にクッキーとお茶の葉を入れている。真面目だなー。お給料アップしちゃうぞ!


 あっ!コピーしないといけない物があった!コピー室3階の部屋なんだよな。私が行かないとな。

 今までどうしてたんだろ。ファイルを開いてみると、手書きー!手書きしてくれてたんだ!泣ける!仕事がブラックだ。定規なんて置いて無いのに。健気すぎる。結婚相談所!


「コリン、今、抜けれる?」


「お客様1人しかいませんからね。ソフィアとイーサンに任せられますよ」


「じゃあついてきて。仕事を教えるから」


 コリンの顔がキュっとした。


「はい!」


 コリンを連れてエレベーターまで行く。

 コリンをチラッと見ると不思議そうな顔をしている。


 扉が開いたら乗り込んで、コリンも呼ぶと入って来た。

 ③の数字を押してコリンに乗り方を教える。

 すぐに着いたのでエレベーターを降りてからみんなの部屋の前を過ぎて、私の寝室の隣の部屋の中に2人で入る。


 コピー機と椅子しか無い部屋にコリンが不思議そうだ。


「コリン、これは『コピー機』の魔道具。使ってて魔石が無くなったら教えてね。新しい魔石をつけるから。この蓋を開けて、ここに数字が書いてあるでしょ。読めないよね?私の故郷の文字だから。これが4。この数だけ覚えていてくれればいいから。複製したい紙を4の数に合わせて裏返して置いたらいいから。置いたら蓋をゆっくりと閉めて、ここに紙をセットして。やり方はこう。覚えた?」


「はい。多分」


「じゃあ、実際にやってみて」


 コリンはコピー機の蓋を上げる所から始めた。意外と言ってはいけないのだろうが若いのに慎重だ。


 白い紙のセットで戸惑っていたが、何度か繰り返して覚えている。真面目だ。

 出来たみたいなので次を教える。


「コリン、ここに枚数を入力するんだけど、50。この数字を覚えて。50を押したら決定を押して、こっちの大きいボタンを押して」


 コリンがスタートを押したら、コピー音がし始めて、コリンが驚いている。

 あ、1枚目のコピーが終わった。


「ここから印刷された紙が出てくるから50枚全部終わったらでいいから取ってね。わかったかな?」


「……一度全部1人でやってみていいですか?」


「いいよ」


 向上心があっていいじゃないか。


「あと、インクがあるから無くなったら教えてくれる?パルコに連絡してくれたら私に伝わるから」


「はい」


 椅子をもう一つ出して座ってコピーが終わるのを待つ。


「最近、サヤちゃんとどう?」


 ちょっと悩んだ後に話し出した。


「自分の奴隷買い戻しのお金を一緒に貯めてくれてるんですけど、なんだかサヤが買いたい物まで我慢して貯めてくれてるのがわかるんですよね。なんだかそれがつらくて申し訳なくなくて……」


「コリンとサヤちゃんが選んだ道は楽じゃないよね?解決するのに時間がかかる。

 あのね、みんなにはまだ言ってないけど私、神になったんだよね。昨日、神殿に行って来てたくさんの神官に会って来たよ。

 まあ、話は変わっちゃうけど、コリンとサヤちゃんは主人が変わる事を恐れてるんだよね?」


「……それもあります。でも、今は仕事が順調だから……言葉が悪くなるんですけど、カヨ様が死ぬのを恐れていると言うのがしっくりきます。サヤと離れ離れになるんじゃないかって」


「そうだね。きっとコリンだけの心配じゃないよ。この人だと思えた主人に出会えた奴隷みんなの意見だよ。きっとね。話しは戻るけど、私、凶悪な魔物を一種類この世から絶滅させたら運命神様の眷族神になったの。ほら、ここの首の後ろ見える?神の紋様なんだけど」


 コリンが呆然とした顔でうなじを晒した私を見る。


「見えます。ほ、本当に?神様?」


「そう、初めての地上神になったの。今も私、というか神様に呼びかける声が頭に聞こえるよ。神様業もしないといけないから呼びかけに応える事もあるけどね。

 まあ、何が言いたいかと言えば、私、カヨ・カーマインは不老不死になりました。急いでお金を貯めなくていいよ。死なないからいつまでも待つよ。昇給もあるからね。子供は若いうちに作った方がいいよ」


 最後は揶揄うように言った。


 コリンもサヤちゃんも若いからそういう事もあるだろう。我慢していたら可哀想だ。


 気が抜けたように椅子に座り込んだコリンは目を閉じたままだ。自分を納得させているのだろう。


「サヤちゃんにも言っていいよ。いずれ大陸中に知れ渡るから。無理してお金貯めなくてもいいよってね。コリンとサヤちゃんは私が生涯雇います。子供が産まれても奴隷にしません」


 「あと、私の旦那は人神ですー」と言っておく。


 あ、ユーリが起きてぐずり出した。

 クリーンを掛けて、授乳ポンチョを被ってお乳を飲ませる。

 それを見て、コリンは不思議になったのだろう。


「あの、お子様も、神、ですか?」


「ううん。ルークとユーリは獣人だよ。人と同じ時を生きるの」


 それを聞いて感じる所があったのだろうか?静かになった後に「ピー」と機械音が鳴った。


「コリン、コピーが終わったから次の印刷をお願い」


「あ、は、はい!やってみます!」


 慌てて立ち上がったコリンは印刷物を取り出してから、さっきと同じ手順でコピー機を動かした。


 1人で出来たじゃん!コリン頭が良いのかも。


 また、機械音の響く中でユーリだけが静かに動いていた。



 次の50枚コピーが終わったのか音が鳴ってから静かになった。


「コリン、コピーが終わったよ。お店に帰っていいからね。あ!あと、体調が悪い時は男女、休日関係無く休んでいいからね!治癒が欲しい時はパルコに頼んでね」


「は、はい!」


 印刷物を確認した後にコリンは出て行った。

 エレベーターの使い方、覚えてるかな?


 ユーリが動きを止めたのでおっぱいを外してあげてから膝の上に寝かせてポンチョを脱いだ。


 ちょっと休憩しますかー?ユーリ。


 部屋を出て、ルーフバルコニーの部屋に行く。


 ソファにユーリを寝かせてから、プイの収穫をしに行く。

 プイの恵みを沢山作らないといけないからね。


 ていうか、ちょっと待て。気がついてしまったぞ。美容室で20代以上はタエだけだ。

 パルコは何て言ってた?


 きゃ〜〜!パルコ、真面目な顔してむっつりだったのか、タエが好きなのか、どっちだ!!

 だってタエのお尻を見てたって事だよね?それで血の痕を見つけちゃって心配になって報告してくれたんだよね?


 なんだか、ほのかな愛を見つけちゃった気持ちだ。しみじみ。


 あ、ユーリが泣いてる!時間的にオムツだ!


 飛行魔法で飛んでいたので、ルーフバルコニーに着地してユーリの元まで行く。


 クリーン!ユーリを抱っこして宥める。ほーら泣きやめー。泣きやめー。

 ソファの寝心地が悪かったかな?



 泣き止んだユーリを地球通販の購入履歴から買ったベビーベッドに寝かせて、プイの収穫に戻る。

 まるはげにするぞー!

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