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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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神殿へ 1

 カヨとノアとルークが着替え終えて、シーラとマリーシャにノアとカヨは髪を整えてもらって「出かけてきます」と伝言を残して、カヨがユーリを抱っこして、ノアがルークを抱っこした所で準備が整った。そして、結界をかける。


 カヨは頭の中の声に耳を傾けて、1番真摯に祈ってくれている人の元へノア達を連れて導かれるまま瞬間移動した。





 カヨ達は広い場所に出た。


 建物が白い。空が青い。


 目の前には人の波。

 いや、人々がひざまづいて祈っている。


 カヨ達の方角を向いて。


 カヨは一瞬、頭がクラリとした。

 いや、現実逃避したかったのかもしれない。


 1番前で祈っていた人が驚きに目を見開きながらカヨ達を見つめた。

 歳は60歳くらいだろうか?


「も、もしや、運命神の眷属神、希望と破滅の神様では、ありませんか?」


 カヨはやけっぱちになった。


「そうです。1番真摯に祈ってくれましましたね。

 運命神の眷属神・希望と破滅の神のカヨ・カーマインです。こちらは夫の人神のノアール・カーマイン。この子が第一子のルーク・カーマイン。私が抱っこしている子が第二子のユーリ・カーマインです」


 老人?は驚いた顔のまま「お、おお、おおお」と声を出し始めた。


 そして、くるっと後ろを向いたかと思うと大声を出した!


「運命神の眷属神・希望と破滅の神様がご家族と共に降臨されました!これも皆の祈りのおかげです!おお!神よ!感謝を捧げます!」


 老人が再び、くるっとカヨ達を見て土下座した!


 その後ろからは大音量の歓声が聞こえてきた!!


 驚いてユーリが泣いた!

 ルークも尻尾を丸めてノアに抱きつく。


 カヨは大音量の歓声がユーリに聞こえないように両手でユーリの耳を塞いだ。


 ああ、可哀想なユーリ。

 赤ちゃんで大人の都合で連れて来られて怖い思いをしているので1番の被害者かもしれない。


 カヨは諦めの目で自分たちが立っている場所を見回した。


 何処かの遺跡のようだが、輝く白い柱、柱、柱!広大な土地の一際高いてっぺんに太陽に照らされた神殿!


 運命神様、メンリル様、私達家族は神殿に降り立ってしまったようです。


 【神の降臨】ドーン!!!

 て、感じ?


 やっちまいました。

 きっと、神殿の歴史とかに残るんですよ。ぎゃー!




 なんだか、いつまで経っても歓声が止まずに老人も土下座したままだし体に悪いよ。


「あの、私を呼び出したあなた。立ち上がって私を呼び出した要件を教えてもらってもいいですか?」


「ははー!運命神の眷属神の希望と破滅の神様に申し上げます!なにとぞ!なにとぞ!!神官達に会ってはもらえませんでしょうか!?お願い申し上げます!」


 老人は立ち上がってくれずに余計に地面に額を擦り付けるように大きな声で話した。


 カヨは諦めのため息を吐いてから老人の元に歩いて行き、しゃがんで老人の手を取った。

 老人は体がビクリッ!と震えた。その後も小さくふるふると震えている。


「あなたの願いはわかりました。ですが私達は見せ物になる気はありません。あなたが厳選した者たちにだけ会いましょう。私のことはカヨと呼んでください。さあ!立ち上がって!体が痛いでしょう?」


 老人が「ゔ、ゔゔゔ」と声をもらして泣き始めた。体勢を変えずに。

 こうなるともうカヨにはお手上げだ。


 老人の横にまわって治癒魔法をかけた。少しでも痛みが取れるように。そして老人の背中を落ち着けというように撫でる。

 よく見るとこの老人の着ている服は質が良さそうだ。綺麗だし。それと右手の甲に神官の印がくっきりと出ている。

 この歳で神官を引退していないなんてよほど信心深い人のようだ。カヨに届いた祈りも1番真摯だったし。


 しばらくすると、数人の人が控えめにやって来たので老人に用があるのだろうとカヨはノアの隣に戻った。

 するとやって来た人々はカヨ達を見て老人のように土下座して祈ったが、その後にすぐに膝をついたまま老人ににじりより「アルビ様、落ち着かれてください。神様が困っておいでですよ」と老人を説得し始めた。


 手の甲を見ると神官では無いようなので、この老人・アルビのお世話係か部下と言ったところだろう。


 頑張って宥めようと説得されているが、感極まってしまったアルビは動けないようだ。


 大歓声は収まり、ザワザワと人々の騒めきが聞こえてくる。


 さらに人が来て、動けないアルビを浮遊魔法で浮かせて運び階段を降りていき、カヨ達は神官じゃないがアルビに声をかけていた人達に先導されてついて行った。浮遊魔法を使う人をカヨは初めて見た。ここ、神殿には珍しい能力を持った者達も集まってくるのかもしれない。ノア曰くー地上の楽園ーだそうだそうだから。


 規制縄が張られているのだが、民衆?神官?達から熱い視線で見られる中を歩いて行った。

 誰も彼もが顔を赤くして興奮しており、カヨと目が合った者など目を潤ませてしまう。


 ユーリはずっと泣いているのだが、クリーンを掛けてもダメって事はこの騒めきのせいだろう。


 高い場所にあった神殿から降りて、一際大きい広そうな建物の中に案内された。

 贅をこらされていると言うより、清潔感に溢れた建物だ。


 案内されて行くと、賓客をもてなす為の部屋だろう場所に案内されて、浮遊魔法で運ばれていったアルビがソファに座って涙を拭っていた。


 私達を見つけるとまた土下座しそうになったので慌てて止めてソファに座ってもらった。

 私達はアルビの向かいのソファに座らせてもらい、ユーリに哺乳瓶に入れた母乳を口に含ませるとだんだんと泣き止んできて、最後には頑張って母乳を飲んでいた。

 それを部屋中の人が見てくるから無駄に緊張しちゃったよ。


 ルークもねだってきたからノアに母乳の入った哺乳瓶を渡して授乳してもらった。

 何気にノアが初体験だったから、ルークを飲む体勢にした後にルークが自分で哺乳瓶を持って飲み出したのが衝撃的だったらしく、まじまじと見つめていた。


 ルークが哺乳瓶の母乳を全て飲み干した後に緊張もなくなって部屋の中に興味を覚えたのかウロウロし始めたのでノアが一緒に散歩していた。


 ユーリも授乳を終わらせると、ここに来た用件が終わらないなと思いアルビに話しかけた。


「アルビ、私はあなたに呼び出されて来ました。願いを叶えましょう」


 アルビはまた感動で目を潤ませたが、我慢して鼻水をすすり、カヨに希望を言った。


「は、はい!希望と破滅の神様に申し上げます!希望と破滅の神様に御目通りを願っている神官達に会っていただきとうございます。場所はご用意致します。素早く終わらせるようにも致します。何卒よろしくお願い申し上げます!」


「いいですよ。子供が落ち着かないので長い時間いれないだけですから、早く終わらせてくれるなら構いません。案内をしてくれますか?」


「は、はい!」


 給仕係の人が手を震わせながら持って来てくれたお茶を飲んでから立ち上がり、ノアとルークを呼んでアルビについて行く。


 先触れの人だろうか使用人の人だろうかが、忙しそうに飛び出して行く。お仕事ご苦労様です。


 ルークの歩みに合わせて歩いていると、アルビが気がついてくれてゆっくりと案内してくれた。


 カヨ達がルークに合わせてゆっくりと歩いている頃に、神官達がお世話係の人達に誘導されて着々と大人数が集まっていた。



 ルークが初めての階段に苦戦して登っていたら、今から行く方向からザワザワと大勢の人の気配してカヨは嫌な予感がしていた。


 五段あった階段を登り終えたルークに「上手くできたねー」と褒めて、疲れたルークをノアに抱っこしてもらって、アルビについていくとパッと目の前が開けて騒めきが大きくなった。

 カヨ達は舞台の上にいて、カヨは「講堂だ」と思った。


 舞台下から広がる客席には神官がびっしりと座っていた。


 舞台の中央に椅子2つとその正面に机が用意される。


 説明する人が来てくれた。段取りをしてくれたようだ。


「運命神の眷属神様の希望と破滅の神様とその人神様には舞台上の椅子に座っていただきまして、神官のお世話係達が神官を誘導して御目通りさせていただきますのでのんびりとお過ごしくださいませ」


 促されるまま舞台中央の椅子に座り、お茶が目の前に置かれて、座っていた神官達が誘導されて舞台上に上がって来た。


 挨拶されたり、握手したり、神の印を見せたりして、気の休まる時間が無かった。


 ノアにルークの分の哺乳瓶を渡して授乳してもらい、お昼を過ぎても解放されなかった。

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