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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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やりたい!やらなくちゃいけない事がいっぱい!

 無事お肉ももらってくれたから、少し晴れ晴れしい気持ちで王都の屋敷まで歩いて帰ったら、コナーさんが出迎えてくれて、ユーリを抱っこしてもらった。


「可愛らしいお嬢様ですな」


 と言われて少し困ってしまった。だってユーリは両性具有だもの。


「あのね、まだ、女の子か男の子かわからないの」


 私の言葉で悟ってくれたのか「さようでございますか。あまりに愛らしいのでお嬢様と言ってしまいました」と気まずくないようにしてくれた。

 こういうことはこれからもあるだろう。ユーリの番いが現れるまで。

 ユーリはきっと番いの性別に合わせるんじゃないかな?と勝手に予想している。それとも我を通す子になるかな?

 男同士は子供も結婚も出来るんだよね。女性同士はどうなんだろう?


 カーマインのノアの部屋に帰って来て普段着に着替えてからノアに相談した。


 この世界では当たり前らしいけど、私には女性同士の妊娠は衝撃的だった。男女の性交より恥ずかしいかもしれない。顔が真っ赤になっていたと思う。

 何故かノアに顔を挟まれてマジマジと見られたけど。人の赤い顔なんて見ちゃいけません!


 ユーリが泣いたので授乳した。

 そうか、ユーリにはいろんな選択肢があるんだなと再認識した。私がユーリの可能性を狭めたらいけないよね。


 ルークもお乳を欲しがったので飲ませる。

 んー、ルークの背が伸びたからちょうどいい姿勢がわからくなってきた。飲めてるからいっか。


 水分補給を終えたら屋敷裏の果樹が埋まっている所に4人で行く。

 クリムが無くなったから収穫したかったんだよね。

 きっとユーリは自然の中に横になると寝ると思うから。ルークの時がそうだったからね。



 いつものお決まりの場所でお昼寝マットを敷いて、その上にユーリを寝かせる。

 ノアには収穫バサミを持たせてルークの思うがままに果物を切り分けてあげている。振り回されてかわいい。


 ユーリは新鮮な空気とポカポカな陽気にウトウトとし出した。よしよし、もうすぐ寝るな。うーん、こっちも可愛い!


 獣人て自然が好きだよなぁ。


 あ、寝た。

 もう少ししてから抱っこしてクリムを収穫しよう。そうしよう。


 ノアとルークを見たらルークが飛んでて、ノアも指輪に飛行魔法が付与されているから2人で飛んでる。不思議な光景だよな。

 ルークの口がもぐもぐしてる。付き合ってノアも食べてる。ふふっ、仲良いね。


 よし!そーっとユーリを抱っこ紐に乗せてから身体に固定していく。よし、すっぽりとおさまった。ん〜っ!小さい!可愛い!


 クリムは何処に埋まってたかなー?


 見つけた!下の方から収穫して段々と上に行こう!


 ふんふ〜ん♪

 アイリさんの所にもルーフバルコニーで収穫した果物を受け取りにいかないといけないなー。どれだけ収穫してくれただろうか?

 あ!あとは、ロザリーの所にもバナナとチョコをもらいに行かないといけないや。結構放置してた気がする。お給料払わないと。

 いや、お兄ちゃんが経理出来るから自分たちの給料を毎月自分たちで手配してもらえばいいんだ。


 いやー、自宅にはパルコに経理もお給料も全て任せてるから安心しちゃってたなー。

 よし!今年もお給料上げちゃうぞ!

 と、いうか、魔道具屋の仕入れもしないといけない。売り切れが出てる可能性がある。


 あー、散髪屋さんにもバナナとチョコを持って行かないと人気だろうな。他の果物はアイリさんが配達してくれているから大丈夫だろうけど。

 そういや、ジェイスさんの役場への就職はどうなったかな?また話を聞きに行かないといけないな。


 神様業にママさん業に嫁さん業に治癒師業に行商人!


 何兼業だよ!あ、あと店舗を持ってるから実業家?いや、経営者か。


 そういや今更だけど、バッグの仕入れ値をパルコに毎月言ってないな。いいのかな?問題起きてないからいいか。


 あー、もうそろそろニットラーさんの所にもマジックバッグを卸しに行かないといけないし。結構サボり魔だな私。


 そういや年越したから孤児院で年齢がわからない子たちが一斉に15歳になって独り立ちするかもしれない。パルコには言ってあるけど、ちゃんと連絡くれるかな。


 もう!予定はいっぱい入れるものじゃありません!


 そういや、もうそろそろルークのお昼寝の体内時計を作らないといけないかもしれない。基本的にはウィル君達と同じ時間でいいかな。


 そして、そろそろノアとルークが果物狩りをやめないとルークが吐くぞ。子供の胃袋は小さいんだから。


 ふよふよとゆっくり飛んでノアとルークに近づく。


「ノア、あんまりルークに食べさせると吐いちゃうよ。お昼寝マット敷いてルークをお昼寝させて」


「そうしようか。ちょうど困ってたんだ。子供の相手って大変だね」


 ノアが困ったパパの顔になってお昼寝マットを持って、ルークを捕まえて地面に降りていった。ルークがイヤイヤしてる。


 さて、クリムの収穫に戻ろう。


 ユーリが起きないようにふよふよと飛んでいく。


 クリムの木を丸坊主にしちゃうぞ!


 最近ちょっと困ってるのがねー『希望と破滅の神様、会いに来てください』ってダイレクトに願いが複数来るんだよね。

 絶対コレってアレでしょ?神殿関係。

 面倒くさいから放っといたんだけどね?無視出来なくなって来たのだよ。

 あー、ノアが休みだから明日にでも一緒に行こうかな。でも、神の力がまだ回復してないから後回しにしようかな?この頭のすみで内緒話されている感じが嫌なんだけどね?ノアと行けば「人神様!」と注目が二分されるのじゃないかと企んでますよ。

 あー、でも子供達どうしよう。連れて行くしかないんだけど。




 ルークがお昼寝から起きて、ユーリに授乳してから夕食に行き、ルークの食事風景を眺めて上手く食べれたら褒めてあげて、自分もモリモリと食事してから、リビングで家族団欒をして、子供達がおねむになって来たら解散して部屋に戻ってきた。

 甘えたになったルークがお乳をねだってきたので授乳してから、前室に寝かしつけてほっぺにちゅうして寝室に戻った。

 ユーリにも授乳してゲップさせた後にクリーンをかけてあげてからベビーベッドに横に寝かせた。

 たまに頭の位置を変えてあげないといけないから大変なんだよね。失敗すると頭の形が絶壁になってしまう。


 搾乳機でお乳を搾り出した後に片付けて、服を夜着に着替えてから、ベッドに座っているノアの腕に懐く。

 ああ、ほっとする。


「カヨ、真面目な話しがあるんだ」


「どうしたの?改まって?」


 カヨは不思議になりノアの腕から身体を離した。

 ノアは真っ直ぐにカヨを見ていた。

 そっと、カヨの両手を大きな手で包み込む。

 「離さないよ」と言うように。


「今日、王宮でカヨの神様としての仕事の話があったよね?私は仕事の内容を聞かされていなくて初耳だったけれど」


 カヨは問い詰められている気分になってきた。何か悪かった?

 カヨが戸惑っているとノアが話し出す。


「私はね、きっとカヨが思うよりもカヨの事を愛してるよ。自由も認めてる。それがカヨの魅力の一つだからね。

 でも、危ない目に遭ったら事後報告でもしてほしかった。私はカヨに信用されていないのかな?」


「信用してる!ただ、心配を掛けたくなかったの。忙しいノアの負担になりたく無い!ノアには安心して過ごしてほしいの」


 それを聞いてノアは儚げに笑った。


「私はねカヨ。カヨの苦楽も共にしたいくらいにカヨに溺れているんだよ。隠し事をされたら正気じゃいられない。カヨの全てを知りたいし、共感したい。私は番い狂いだよ」


 淡々とした言い方でも内容はかなり執着している内容だ。


 カヨは少し体の芯が冷たくなった。

 ふるっと震える。


「怖い?獣人だと当たり前だよ?相手の全てを自分のものにしたい。当たり前だろう?そうやって獣人は育ってくる。番いを見つけて、結婚して、ベッドを共にして、やっと足りなかったものが満たされて、後は相手を縛り付ける子供を作るだけ。そして初めて心から満たされる。普通の獣人ならね?どうやら私は執着心が強いようでね?領主館で休憩時間に同僚と話していても共感出来る部分が少ないんだ。私はカヨと離れている時間すら苦痛に感じるのに。普通は子供が出来たら満たされて、一緒にいるだけで幸せを感じるらしい。私も一緒にいると幸せだよ?だけど同時に飢えも感じるんだ。真実満たされるのはカヨが私の腕の中で私だけ見て一つになった時だけだ」


 そう言った後に猛烈に噛み付くようなキスをされた。食べられてしまいそうだ。


 しばらくそうしてるとノアは満足したのか顔を上げてカヨの蕩けた顔をジッと見た後に目に熱を灯した。


「カヨ、私に秘密にしないで。何でも話して。幸せな事も辛い事も危ない事も。私はカヨの全てが知りたいんだ。休みの日はいつも一緒にいるからね」


「ん」


 カヨが返事をするタイミングでまた噛み付くようにキスされた。


 その日は、カヨを責めるように膜を隔ててくれなかった。

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