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【旧作】私は異世界で自由に生きる〜子供達に癒される〜  作者: 春爛漫


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予期せぬ妊娠

 足元からつま先までバインドでぐるぐるにした兵士達は町長屋敷の玄関前に転がしておいた。

 町長の居場所を聞くと屋敷にいると言われたので来ている。

 町長の住む屋敷にしてはちょっと大きい気がする。


 門番の兵士たちが今にも飛びかかってきそうなので、悪人だけバインドでぐるぐるにする。兵士は悪人しかいないんだけどね。


 無断で町長屋敷に入って人を探知する。


 屋敷の周り、庭か裏門にも人がいるので歩いて行く。


 屋敷の人が私を見つけたら訝しげな顔をする。


 女で、そこそこ良い服を着て普通に歩いているのが不思議で怪しいのだろう。


「おい!お前!何処の所属だ!」


 私は笑ってしまった。


「いうならば『神族』?かしら?」


 理解出来なかった黒いモヤを出している悪人兵士をバインドで捕まえて転がす。

 庭師は善良な人だが、脅されて仕事をしているのかビクビクとしていた。


 屋敷を一周回ったら屋敷の中に突入だ。


 屋敷の正面入り口の扉を開けると鍵がかかってなかったのかスッと開いたので中に入る。

 探知の示すままに人を探して神の目で見るが、使用人数人は善良な人で、地下室には奴隷にする為だろう普通の人がいた。

 悪い奴は問答無用でバインドで転がしている。


 さて、悪の親玉は大体が高い場所にいる事が多い。2階にいきますか。


 階段を飛んで2階まで行き出会う悪人だけをバインドで転がしていく。部屋の中も当然見る。

 一際豪華な扉に嫌な気分になりながら開けると黒いモヤに覆われた人が数人見えた。これは神の怒り案件だな。


 部屋の中にいた男女4人にバインドを掛けて転がす。そして読心をonにする。

 扉に一番近い男が誰何してきた。


「誰だ?!」


「神よ!何の為に民間人を奴隷にしているの?!」


 沈黙で返してきたが、心の声までは止められない。


『何故民間人を奴隷にしているだって?金になるからに決まってるじゃないか』

『くそ!この黒いものが取れん!この国はメイデン様の物になったのではないのか!?反乱組織が出来たのか!?』


「そこの口汚い男はメイデンを知っているようね?メイデンって誰かしら?」


『メイデン様を知らないのに刃向かってるのか?国外組織か?』

『我慢だ。待っていれば助けが来る』


「あらやだ、そこの壮年の男は助けが来ると思ってるの?この屋敷は制圧済みだから助けは来ないよ」


 部屋で転がっている男女の視線が一気に鋭くなった。

 私はメイデン様と発言した男を足で転がした。屈辱的な顔をしている。


「メイデン様に助けを求める?一緒に行くわよ?」


『何?!メイデン様が怖くないのか!?』


 カヨはわざとらしく上から目線で見下すように男を見下ろす。


「メイデン?怖くないわね?さあ、一緒に行きましょうか?」


 カヨは1番心の中がうるさい男を飛行魔法で浮かせた。

 町長が真犯人ではなかったので、今からメイデンとやらの所に案内してもらう為だ。


 カヨも飛んで、地下の捕まっている人を解放してから、この町の外まで飛んで出た。

 男は恐怖なのか未知の体験なのか絶句している。


「さて、メイデンは何処にいるの?」


「お、王都に決まっているだろ」


 引き攣った声で答えた。


 サチはその王都がわからないのだ。外国だとは思っているが。

 犯罪者の頭はどうなってもいいかと、創造魔法で記憶探査を作って男の頭の中を覗いた。


『うわ!悪人の頭の中なんて覗くもんじゃないわ。ロクな記憶がない』


 カヨは嫌な気持ちになりながらも、『メイデン』『王都』の場所を探った。

 どうやらここは小さな国のようだ。


『王族を弑虐するのは天罰になると考えて全て閉じ込めているみたい。裏稼業の人間が宰相に雇われて、逆に宰相を脅して王の座に居座ったのか』


 とりあえず王都の場所も王族の場所も王城も分かった。

 記憶を探った男は泡吹いているから屋敷に置いてこよう。

 瞬間移動で屋敷に一度戻ってから町の外に出て、山を目印に瞬間移動を繰り返して、なんとか王都の近くまで来たが、カーマインの屋敷に置いてきたユーリとルークが心配だ。昼食の時間になるし一度帰ろう。


 瞬間移動で屋敷に帰ってきたカヨは自身にクリーンを掛けてからユーリとルークが来るだろう食堂に行った。


 今まさに食堂に行く所だったみたいで、お母様と歩いているルークの可愛い小さな後ろ姿が見えた。


「ルーク!」


 カヨは駆け寄って隣に並ぶ。

 この屋敷は広いので横に並んでも大丈夫だ。

 ルークがカヨに気がついて手を伸ばしてきたので抱っこした。


「お母様、ありがとうございました。ちょっと神様案件が時間がかかりそうで午後からも子供達の子守りをしてもらえますか?」


「いいですよ。お疲れ様ですね。子供達は私に任せてちょうだい」


 頼もしいお言葉をいただいた。甘えよう。


 帰ってきたことを確かめるようにルークのほっぺにちゅっちゅっとキスをした。ルークはのけぞって笑っている。平和だなぁ。


 食堂についたらルークを椅子に座らせて、ベビーベッドに寝かされたユーリの顔を見る。ちょっと眠そうだけどお腹は空いてないみたいだから、出かける前に授乳したらいいかとクリーンだけ掛けてルークの食事を見守った。


 うん、今日の離乳食は小さく切り分けているものばかりだから、ルークが一気に口の中に入れなければ詰まる心配もなさそうだ。

 ちょっとにやけた顔でルークの食事姿を見守る。

 ルークは手に持ったスプーンで料理を口に持っていき、まぐまぐと食べている。たまに、にこぉっとこっちを見てくるのがポイントが高いぞ!


 猛烈にルークの頭を撫でたくなったが、グッと我慢して食事を見守る。ああ、うちの子かわいい。


 そうこうしているうちに、ライラさんや子供たちも来て食堂が賑やかになり、男性陣も来たのでノアを迎えてハグしにいった。

 ちゅっとキスされて、ノアはおねむのユーリを見て、食事中のルークを眺めてから席に座った。そうしないとルークがノアを見つけて落ち着かないのだ。


 お父様の挨拶で大人達も食事を始める。


 カヨはルークをチラチラと見ながらもお腹が空いているのでパクパクと食事をした。子供の食事は時間がかかるのだ。

 たまにルークの食べこぼしがエプロンポケットに入るのを見守りながら食事を進める。

 あー、我が家が貴族でよかった。大分家事で楽をさせてもらえる。


 ちょっと、みんなの健康診断がてら家族のみんなを鑑定していく。

 ルークは、健康。ノアも、健康。ノアは人神だから病気しないかな。ウィルくんは、健康。ティモシー君も、健康。ライラさんも、健康。お母様も、妊娠ー!!?


 カヨの喉がぐふっ!と大きな音を立てて、慌てて箸をお皿に置いて、むせた口の中を苦しいながらも落ち着かせた。ノアが心配そうに背中をさすってくれる。

 なんとか吐き出さずに口の中の物を飲み込めた。苦しかったが。


 お父様もみんなもカヨがむせたのを心配そうに見守ってくれていた。


「カヨさん落ち着いてゆっくりと食べてくれて良いのよ?同じ母親として子供が気になるのはわかるけれど」


 ライラさんが検討外れな心配をしてくれるがそれどころじゃない!カヨは落ち着いてみんなに事実をありのまま伝えた。


「お母様、今、鑑定で見たのですが、妊娠しています。1ヶ月目です。多分お父様との子供でしょうが」


 というか、お父様との子供じゃなけりゃ困る。


 みんなが一斉にお母様とお父様を見た。

 お父様は物凄く驚いた顔をして、お母様は食事の手を止めて呆然としていた。


 その中でカヨは発言する。


「お母様、妊娠おめでとうございます。ですが、高齢出産にはリスクが伴います。お母様の高血圧・血が昂りやすくなったり流産になったり胎児の異常であったりします。食事が終わった後にお母様と胎児の状態を見せてください」


 カヨの発言を聞いてお父様は心配そうにお母様に声をかける。お母様は正気になったようで「そうね、食後にお願いしようかしら」とこちらも心配げにお腹を押さえた。

 さりげなく料理長もびっくりしていたのだが。


 皆、お祝いの言葉を言いながらも心配そうに食事が進んだ。


 ルークだけは関係なしにキャッキャとご機嫌で食事をしていたのだが。


 

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