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孤児院で生活 7

 みんな食堂について、昼食。

 フランさんとルイーネさんも洗濯終わったみたいで、食堂で待ってた。


 厨房を覗いてみたら、バズさんはまだ取り扱い説明書を読んでいた。


「バズさん!昼食ですよ!!」


 と大きい声で言ったらビクッとして「あっ?あぁ」と返事してくれた。

 食器はお椀かスープ皿どっち使いますか?と聞いたらお椀だった。小麦粉で野菜を包んでるから具が熱くて、スープ皿だと飛び散らす人がいるらしい。


 子供達に並んでもらって、配膳する。もう食べ始めている子が「おいしい!」と声を上げていた。

 大人達が終わったら、おかわりの子供が並んでいた。可愛い。何個食べるか聞くと「いっぱい」と元気に答えた。並んでる子がいなくなった隙に自分の分をよそって、席に行く。「おかわりあるよ!」と言いながら。


 初めて食べるマルチャ。

 わくわくしながら食べる。包みを半分齧ると、どぱっと野菜汁が溢れて来た。口の中が幸せだ……。マルチャ舐めてました。野菜なのに甘い。これは齧るんじゃ無くて、一口で頬ばるものだ。冬に食べたらもっと美味しそう。

 私は孤児院に来て初めて、おかわりした。



 午後からは、私とモニカさんだけ分かれて作業だ。何となく子供達のリーダーかなって子に、髪の毛切ってない子を2人呼んでもらう。待っている間に、服や靴のサンプルを並べて行く。

 今朝、マジックバッグをモニカさんに渡したから、今回から散髪道具は自分で管理してもらう事にする。

 さぁ、午後も頑張るぞ!




 終わった。今日も8人。多いとみるか少ないとみるか。子供達が多いんだよ、仕方ないんだよ。

 新しい服や靴を貰えて、嬉しいって笑顔で部屋に帰るから。また、がんばろうって気にもなっちゃうし。



 荷物をアイテムボックスにしまい、厨房を覗きに行く。

 昨日と同じで、バズさんとお手伝いの年長さん達で準備している「おつかれ様ですー」と声をかけながら、食糧庫に行く。じゃがいもが溢れんばかりに置いてある。今日が風の日だったか。調味料を置いてある場所まで行って、在庫を確認。砂糖と塩しか無い。塩が少ないので、地球通販で塩を検索して5kgの塩を紙袋で買い、近くに置いておく。

 明日は、調味料を売っているお店だな。


 食堂で待っていると、遠くからザワザワと子供達の動く音や声が聞こえて来た。厨房を覗きに行き、料理は作り終わったみたいなので、「子供達が来ますよ」と作業を促がす。


 子供達が集まり、配膳が終わり食事が始まる。

 カヨも食べ始める。じゃがいものマッシュと野菜のスープだ。野菜の種類は違うし、肉も小さく切り入っているが、調味料は塩で、旨味は具材からのものである。おいしいがほぼ昨日と一緒だ。スープで具材を柔らかくしているのは小さい子供がいるので、仕方ないのかも知れないが、やっぱり調味料が必要だ。


 食後の片付けをして、カルロス一家と部屋へ引き上げる。異空間住居に行き、全員にクリーンをかけ、おやすみする。





 翌日、朝食後。院長に調味料を売っている店を聞き、マップにチェックする。バズさんにマジックバッグを持ってもらい、一緒に買い物へ行く。店に歩いて行く間に、孤児院の現状を話して置く。余り高い調味料を買えないと。困窮しているのは感じていた様だ。子供達痩せてるもんね。


 お店に着き、バズさんが調味料を吟味する。私も見て行く。大きいお店だ、調味料の種類も多い。市場に行ってから薄々感じていたが、この世界の料理はそこそこ進んでいそうだ。壺に入った何かを発酵したような物、ペースト状の物と色々ある。たまに蓋を開けて、強烈な匂いがする物もある。うろうろしていると、バズさんに呼ばれた。数種類示されて「買ってもいいか?」と聞かれる。私は「大丈夫」と答えた。


 会計が終わった後店番の人に、穀物屋の場所を聞く。何件か教えてもらったので、すぐマップにチェックを入れる。


 バズさんと、教えてもらった穀物店を見ていく。肉屋の時と同じで、すぐ一店舗に決めたようだ。バズさんは穀物を1人で見ていく。私は初めて見る物もあるので、お店の人に案内してもらいながら、鑑定もして商品を見て行く。

 米があった!店員さんに聞くと、麦が主流で、米は貧困層の食べる物だそうだ。1袋30kgはあるようで、私は50袋買う事を伝える。驚いた事に麦は一種類しかないそうだ、野生でも生えるくらい強い種類らしい。麦の挽き方で穀物屋での種類が異なるようだ。

 バズさんが来て、買う物が決まったようだ。米も買う事を伝え、商談に入ってもらう。

 大量買いが良かった様で、安く買えたようだ。


 バズさんが豆を買いたいと言うので、店員さんに売っている場所を聞いてから行く。

 豆も沢山種類があった。バズさんが選んでいる間、店員さんと雑談し「この領都は売っている食品の種類が多いですね」と言うと、ここが領都だからこそだそうだ。王国の直轄地で交易の中心になっているそうだ。

 そうなんだ、いい所に来たなぁと思っていると、バズさん買うものが決まったようだ。お会計して。孤児院に帰る。


 昼食の準備を手伝おうとすると、バズさんに「今日は1人で作れる」と言われる。買ってきた豆で豆の甘露煮を作るそうだ。


 昼食はバズさんに任せて、元先生のルンカさんを探す。子供達の勉強部屋にいた。小さい子供の相手をしていたので、一緒に食堂に来てもらう。

 孤児院の現状を話し、子供が42人いるが街からは30

人程度のお金しか貰えていない事を話すと、「役場に相談に行ってはどうか?」と言われる。

 あったんだね役場、役所じゃなく。この世界の事が分からないので、とにかく分かりそうな人に聞くしかない。


 午後から院長を連れてルンカさんと2人で、役場に相談に行ってもらうようにお願いした。ついでに、住民登録はどうしたらいいか聞くと、必要無いと言われた。


 移民というか、冒険者の人達がいて住居を移しても誰も分からないし、お金が徴収出来ないから住民税・人頭税という物はないそうだ。


 都がどうやって税金を得ているかと言うと、役場や商売やギルドの売り上げから。村は日持ちのする作物か現金で徴収するらしい。土地は全部国のもので住民はそこを借りている事になり、家などを買う時だけ土地の広さに応じてお金を払うそうだ。


 市場や露店を借りたいときは、商業ギルドに行きお金を払う。そのお金の中に、ギルドへの手数料・土地税が含まれるそうだ。


 なんと、驚いた事にこの世界の成人は15歳だそうだ。若いだろうと思っていたが、子供時代が短い事の切なさよ。 

 細々とした事をルンカさんに聞いていると、子供達の勉強が終わったようだ。

 

 「ルンカさん色々教えて頂き、ありがとうございます。午後から院長と役場の件宜しくお願いします」


 と言うと了承の返事が返ってきた。


 昼食の時間だ。厨房に行くと甘い匂いがする。お椀を人数分用意して、配膳はバズさんに任せる。

 昼食を食べると、金時豆のような甘い味がする。素朴で美味しい。豆は数種類入っているようだ。栄養ありそう。これは飲み物がいる。と厨房に行き、人数分お茶を入れてカートで配っていく。

 フランさん達、奴隷の人が手伝ってくれた。ありがたい。

 みんな食べ終わり片付けをして、バズさんに炊飯器の使い方を教える。米買ったしね。その後は、モニカさんと午後からの散髪・服など支給にはいる。今日も8人で終わった。


 院長とルンカさんを探して畑に行くが、いない。孤児院の中で、「院長〜ルンカさん〜」と声を上げながら歩くと、ある部屋の中から院長が出て来た。

 部屋の中は書斎の様な、院長室だった。2人で書類を片付けていたみたいだ。

 役場に行ってどうだったか聞くと、職員が孤児院に実地調査にくるらしい。それで必要書類を片付けていたと。とりあえず一歩前進だ。私も書類の片付けを手伝う。


 てっきり異世界文字読めないかと思ってたら、読めたし書けたんだよね。言語理解が仕事してくれたみたい。


 子供達が廊下を歩いてくる音が聞こえる。夕食だ。


 夕食に米が出てきた。しかもアレンジして混ぜご飯みたいになっている!バズさんの料理の腕は本物だ。馴染みのない味だけどおいしい!調味料買ったのも良かったかな。スープも塩だけじゃない味がついてる。


 片付けで、クリーンをする。

 前に院長先生に付与したクリーンだけど、院長先生の魔力がそこまで多くないみたいで、小さい子供中心にクリーンをかけているみたいだ。小さい子供が病気になりやすい事は分かっているみたい。他の子は井戸水で身体を拭いているようだ。


 部屋に帰り、カルロス一家と異空間住居にいく。クリーンをかけてから家の中に入る。リビングで「今日はどうでしたか?」と聞くと。午前中は小さい子供達と遊び、午後はいつも通りだったようだ。異世界通販で、カルロスさん用の長靴を買い、渡す。


「畑用の長靴渡すのを忘れていて申し訳ありませんでした」


「いや、貰えるだけありがたい。気にしないでくれ」


 と言われた。生活に足りない物はないか?辛くはないか?と聞くと「今の生活は夢の様だ」と言われた。一日中働かなくてもいいし、モニカさんは家事をしなくても良いから、生活に余裕が出来たそうだ。

 何も問題が無くて良かった。


 私は、おやすみなさい。と2階に上がる。書斎の様な部屋があるので、そこに入る。実はこの部屋パソコンが置いてあるのだ。私が死んだ後の情報を見ることや、コミュニティサイトや書き込みはできないが、情報を検索し閲覧することが出来る。しばし、調べ物をする。


 満足したところで、電源を切り、寝室に行き就寝する。



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